私学ガバナンス会議の議論に関連し、家族が文科省に申し入れ―甲南大学事件―

最近相次ぐ私立大の不祥事(理事長が逮捕された日本大学の事件を含む)を受け、私立大学のガバナンス強化をめざし、いわゆる「私立学校法改正案」が昨年から文科省の有識者会議で議論されてきた。まず20年1月に設置された有識者会議は21年7月に改革会議となり、12月に改正案を示したが、私学側の猛反発に会い、今年1月新たな会議*を作った。

*学校法人制度改革特別委員会https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/010/index.html

3月に明らかにされた報告書案では、

  • 理事会に対する評議委員会の監督権限の強化
  • 私立学校法に贈収賄罪や特別背任罪を新設すること

が盛り込まれている。すなわち、理事長への権限集中や評議委員会(現行制度では理事長に諮問機関)のチェック機能形骸化を防ぐ仕組みづくりを提言している。

https://news.yahoo.co.jp/articles/4cd329c30246204c05a29b7683340b28387d4df1

具体的には、理事の解任について評議委員会の関与を強化し、法令違反など問題のある理事は評議委員会が理事会に解任請求し、放置された場合は訴訟を起こすことが出来るとした。また、これまで認められてきた、理事と評議員の兼任も禁止する。

これに関しては、早大総長の田中愛治氏、元衆議院議員の塩崎恭久氏、東大大学院教授の両角亜希子氏がそれぞれの立場から意見を述べている次の記事が興味深い。

https://digital.asahi.com/articles/ASQ1G2W2XPDFUPQJ01C.html?oai=ASQ5B53M1Q5BUTIL00Q&ref=yahoo

 学校法人制度改革特別委員会第4回会議には、全私学連合から「学校法人ガバナンス改革に関する考え方」なる文書が資料として提出され、

それについての説明を上記田中愛治氏が会議の中でも行っている:

第4回会議議事録

われわれが注目する文言は、この資料の「なお書き」の中にある、以下の文書である:

○ 理事に法令違反もしくは社会的規範から逸脱した行為があったと相当の根拠をもって疑われる事態が発生した場合、もしくは監事による理事会への是正勧告に理事会が従わないなど理事会が自浄作用を発揮出来ない場合には、評議員会が理事長または理事、もしくはその双方を解任する権限を認める。

同様の項目が評議員、監事に対しても続き、いわゆる「三すくみ」の仕組みを提案している。両角亜希子氏の上記論評によれば、大学に自浄作用が期待出来ないとき、或いは行政指導で改善が見られない場合、文科省は「立ち入り検査や、理事・幹事の退任勧告といった措置を取ることができる」ということです。

しかしながら現状では、問題のある大学幹部に対する文科省からの言葉のみによる指導には強制力がありません。

上記のような議論の進展を前提にすれば、既に各地の私学で数多く頻発している様々な不祥事に対し、本法律を先取りする形での文科省からの強い働きかけ・指導があって然るべきではないだろうか?

 

大学ハラスメント被害学生の家族による切実な申し入れは以下のような形で行われた:

文部科学大臣、及び学校法人制度改革特別委員会委員各位 殿

 

 大学理事の社会通念に反する誤りが是正されていない事実を、大学ハラスメント被害抗議自死学生遺族としてご報告します。新聞社の調査報道による根拠のある情報、遺族の言葉として、甲南大学において学生を自死へと追い詰めた人物が学長・理事に就任し、大学から学生の死への対応が一切 皆無である事実を「アカデミックハラスメント情報室」HPに投稿しています。 大学として間違いがあったにも拘らず是正されていない実例として、文科省と学校法人制度改革特別委員会委員の皆様に (本事例を) ご承知おきいただきたく存じます。よろしくお願いします。

 

2022年5月10日

甲南大学事件被害学生家族

 

結局は5月に、文部科学省はこの改正案を今国会へ提出することを見送った。

https://digital.asahi.com/articles/ASQ3K6JTDQ3KUTIL031.html?oai=ASQ5B53M1Q5BUTIL00Q&ref=yahoo

夏の参院選との絡みはあるが、1日も早くこの種の法律が成立・施行され、殆ど野放し状態にある、理事や大学執行部へのガバナンス強化への第一歩として機能することを期待したい。

最近甲南大学のホームページで公表されているKONAN TODAY 58には次のような記述がある:

「人間教育率先の理念をより高いレベルで実践する意欲と経験に満ちた新たな布陣」?「前例のない危機も乗り越える100年かけて培われてきたKONANの土台の確かさ」?「ハラスメントを放置したまま『人間教育』などと笑顔で世の中に発信するギャップに、抗議自死学生の家族としてやり切れない思いです」(被害学生家族)。

キャンパス・スクールセクハラ性暴力前科者への警告ー(1)

昔のことだから、大したこともしてないから 逃げられると思っている多くの「隠れ加害者へ」ーいつ告発が来るかもしれません!謝罪は今からでも遅くないのでは?

(1)朝日新聞の一、二面記事

https://digital.asahi.com/articles/DA3S15167368.html?_req

学内セクハラ、整わぬ相談体制 大学が被害調査、説明・謝罪なし

https://digital.asahi.com/articles/DA3S15167321.html?_req

ハラスメント対応、募る不信感 教授「俺の女に」、懲戒処分なく

☝️某医療系大学のキャンパス

 これらの記事では、九州にある医療系の大学(九州保健福祉大学、延岡市)を相手取り、損害賠償請求訴訟を起こしている宮崎県の女性と、東京都内の私立大学の大学院生のとき教授によるセクハラにより中退させられ、やはり損害賠償請求訴訟を起こしている女性が取り上げられている。

最初の事件は以下にも詳しいが、

https://mainichi.jp/articles/20211014/ddl/k45/040/277000c

https://mainichi.jp/articles/20211029/ddl/k45/040/221000c

http://university.main.jp/blog/

(以下引用)

 指導教授からセクハラを受け始めたのは、母校の大学院に入学した6年前である。入学から半年後辺りから、タクシーの中で手や足を触られたり、忘年会の二次会で体を触られるようになり無理やりキスされた。そのため、精神的に不安定になり、心療内科を受診。うつ病と診断される。

 しかし大学にはハラスメント相談窓口が無く、ホームページ掲載の、兼務で相談に乗る教員に相談したところ、調査委員会への申し立てが必要と言われた。その後躊躇していると、その教授が、女性とのことは男女間のもつれだったと大学に説明したことを耳にする。怒りがこみ上げ、(2017年8月)調査委員会に訴えたが、3か月たっても大学からは何の説明もなかった。不安が募り弁護士を通じて尋ねると、やっと調査委員会の開催された日時、報告書がまとまったこと、処分については検討中、処分になったら通知する、という内容の書面が示された。調査委員会は、教授のセクハラを認め、懲罰委員会は教授を停職1か月の懲戒処分とした(2018年1月。女性がこのことを知らされたのはさらに3週間後)。

 大学からはこれまで謝罪の言葉はなく、相談後も、申し立てるまでは対応してくれなかったことに納得できず、2018年3月訴訟に踏み切る。2021年10月に出た宮崎地裁延岡支部の判決は、教授の行為をセクハラと認め、教授と大学に慰謝料など132万円の支払いを命じた。一方で、大学が適切な事後対応を取らなかったという点については認めなかった。女性と大学はともに控訴している。

 これに関連して、大学側の更に許せない点は、その教授の懲戒処分直前(2017年12月)に、この女性とパートナーを含む4人にいきなり雇止めを通告してきたことである(2018年1月5日)。表向きの理由は博士号が無いこと等としているが、セクハラ告発に対する報復以外の何ものでもないことは明らかである。懲戒処分を受けた教授は在籍したままであるのに。この雇止めに対する地位保全の請求に関し、2019年2月に同延岡支部は雇止め無効の仮処分を下している。これに対し大学側は、仮処分決定に応じない上、更に裁判で争う姿勢である。ちなみに、2020年6月に九州保険福祉大学運営の学校法人の理事長に就任したのは、加計勇樹氏という人物で、名前からもわかるとおり、岡山で岡山理科大学を経営し、安倍の後ろ盾で強引に香川県に獣医大学を作った加計一族の一員である。岡山、香川と同様に、地域で存在感のあることを良いことにやりたい放題である。まさに一族の醜い体質が現れていて、今後の裁判闘争にも注目し、厳しい眼を向けていかねばならない。現在、大学のHPにはキャンパスハラスメントへの注意喚起が呼びかけられているが、

九州保健福祉大学HPにあるハラスメントへの取り組みページ

まずはこの問題に関し、関連被害者らの復職・未払い賃金の支払いと加害教授の解雇を進め、公的予算の支援を受けている延岡地域・宮崎県の住民に説明責任を果たすべきであろう。加害教員も大学の強硬姿勢に隠れて逃げ切りを謀るべきでなく、即刻辞任すべきである。被害職員や心ある学生や地域の人々は決して忘れない。

https://digital.asahi.com/articles/ASM346JXHM34TNAB00S.html?iref=pc_ss_date_article

(2019/3/6) 雇止め無効の仮処分、元助教ら会見「大学に憤り」

https://digital.asahi.com/articles/ASM345R22M34TNAB00K.html?iref=pc_ss_date_article

(2019/3/6) 助教夫妻、同時に無職に 第2子出産…大学と争った1年

https://digital.asahi.com/articles/ASM4K42R7M4KTNAB00B.html?iref=pc_ss_date_article (2019/4/17) 雇い止めで大学を提訴 セクハラ告発の元助手ら4人

https://digital.asahi.com/articles/ASMDR31PHMDRTNAB003.html?iref=pc_ss_date_article (2019/12/28) 九保大雇止め訴訟 仮処分1年、まだ復職出来ず

https://digital.asahi.com/articles/ASN105HZ0N10TNAB00H.html?iref=pc_ss_date_article

(2020/2/1) 大学側の異議申し立て認めず 雇止めで地裁支部

(以下引用)

 2番目の事件では、被害者の女性は大学院生の時指導する男性教授方セクハラを受けた(「俺の女にしてやる」など暴言)。コース主任の教授に相談したら、「あまり外では言わない方がいいよ」と言われ(その結果)、女性は教授への恐怖や大学への不信感からほとんどの授業に行けなくなり、中退した。

 中退後の2018年4月、意を決して大学のハラスメント防止室に相談。だが、中退者の申立は受けない場合もあると伝えられ、家族と一緒に書面で大学の総長に直訴した。大学側は申し立てから1か月後に教授の調査報告書をまとめ、「俺の女、、、」発言などはセクハラに当たると認定し、教授を解任した(退職金は出る!)。主任については「隠蔽の事実は認められないが、誤解を招く発言があった」として訓戒処分とした。

 だが、女性と教授・主任の言い分の食い違う部分は認められなかった。なぜ懲戒処分ではないのか?主任は(ハラスメントを)隠蔽しようとしたのでは?これらについて納得がいかず、調査委員会のメンバー構成を尋ねたが、「外部の弁護士も加えたとは伝えられたが詳しい構成は教えてもらえず。再調査を求めても認められなかったため、2019年6月、女性は元教授と大学を相手取り、損害賠償を求める訴訟を起こした。現在は、係争中を理由に、元教授も大学もダンマリを決め込んでいる。この訴訟の行方も是非注目していきたい。

 この事件については改めて詳しく扱うが、なぜこういうことが今頻発しているのか。この点に関し記事の最後では、全国のほとんどの大学でハラスメント対策が実施されていて(ハラスメントの定義が成文化され、防止についての呼びかけ、研修などを行う)相談窓口も設置されているのに、それらが実質的に機能していないことを挙げている。本ブログでも、開設当初からその問題点は一貫して指摘続けてきた。この問題を克服するためには、現状では、当事者には多大な精神的・経済的負担になるが、司法の場に持ち込むしかないかも知れない。まさに、次の記事がその典型であるが。

質問書に文科省から回答! 甲南大学事件(本ブログでこの間の経緯を紹介中)

2021年11月10日に、末松信介文部科学省大臣宛に、甲南大学ハラスメント抗議自死学生の母として代理人から質問書を送付し同年1130日までに回答を求めたところ、文部科学省省(高等教育局 学生・留学生課 厚生係)から回答がありました。以下に質問書の抜粋と回答書を公開します。赤線は、ご家族によるもので、回答の重要と思われるところです:

(文部科学省HPより)

 

質問書(抜粋)

質 問 書

末松信介文部科学大臣 殿

(所管 高等教育局)

前略 私は、神戸市東灘区にある私立甲南大学(学校法人甲南学園が設置)に通学していた*****君の******の*******です。以下の点をについて、ご質問しますので、令和3年11月30日までにご回答下さい。

次の点をふまえ、質問をします。

【事件の概要】

 自らの大学に所属する学生が、大学公認の活動がきっかけとなり、また、その後大学による適切な相談支援がなされない中で抗議の自死をしたにも関わらず、

 甲南大学では、大学に学籍があった当該学生の死に際して、一般社会の常識からかけ離れた対応がまかり通っています。その後、**君に自死の原因となる対応を行った当事者である中井伊都子氏が大学の象徴的存在である学長に就任し、公には「甲南大学は、みなさんの健康・安全と学修を守るために全学を挙げてサポートシステムを展開してまいります。ぜひ安心してください。」と笑顔でコメントを発信しています。

 現在に至っても、被害者自死学生に対する甲南大学からのお見舞やお花等、弔意の意思・謝罪は一切皆無で、重大な人権侵害に対する何らの問題意識・反省はありません。

 遺族の告発によって、2020年3月の新聞・TV報道で事件が明るみになりましたが、その際、甲南大学は「大学の対応には問題は無い」とのコメントを行っており、更に酷いことには「**君が問題になるような発言をしていた」とメディアを通じて発信しており、被害者が死に至っても大学による名誉棄損被害を受けています。

 私どもの要望する第三者による公正な調査を拒否し、未だに検証作業すらも行われていません。

【国会での質疑】

 この問題は、令和3(2021)年5月13日に開かれた参議院文教科学委員会においても取り上げられています(本ブログ6月の記事を参照して下さい)。(以下略)

【毎日新聞の報道】(略)

【遺族の訴え】

 わが国において、少子高齢化、子どもの自殺等が社会問題とされ、安心して子どもを産み育てられる環境を実現することの重要性が指摘されています。

 しかし、親が大切に産み育てた子どもが、大学生にまで成長し、高額な学費を支払った教育の場で、パワーハラスメントによって平和な学生生活が破壊され、やむなく遺書を残して自死に至っても、事実関係を調査し、再発を防止する制度等は公に検討されておらず、個人の問題として放置されています。

 また、私立大学の自治の名の下に、学生の命を守るという基本的な事項について、大学に対する国または地方公共団体からの適切な指導監督がなされておらず、本件では、深刻な被害が隠蔽され、被害者が泣き寝入りを強いられる一方で、アカデミックハラスメントに加担した当事者が学長に就任している現状さえあります。このような営利優先の無責任な教育方針下では水面下での学生の被害や自殺者が後を絶つことはないでしょう。「改めなければ、今後も同じことが起こってしまう」と生前、被害学生が大学に直訴しています。命をもって抗議した学生の存在を被害者として大学は今も扱いません。国として、私立学校に対する適切な監督のあり方について考え直すべき時期に来ているのではないでしょうか。

【質問事項】(以下の回答文を参照して下さい)

(1/6頁)

(2/6頁)

(3/6頁)

(4/6頁)

(5/6頁)

(6/6頁)

 

 

 

中井伊都子氏(甲南大学長、人権委員会委員)への対応求める、国連人権委員会へ送付した書簡(日本語版)を掲載します。

2つ前の記事の書簡(英語版)に対応する日本語文は以下の通りです:

************************************

国連人権理事会 御 中

結 論

1 国連人権理事会諮問委員会委員(任期2019年10月~2022年9月)としての中井伊都子氏(現甲南大学学長)の委員任命の撤回を要望する。

2 中井伊都子氏の前項の任命について、国連特別報告者による見解表明と勧告の実施を要請する。

国連特別報告者に対する要望

A)自らが学長を務める学内の人権問題にさえ誠実に対応して来なかった中井氏を、国連の諮問委員として任用している理由及びその適格性についての見解を明らかにして下さい。

B)現在、中井氏を学長とする当大学は、今回の事件を検証するための第三者委員会の設置を拒否しています。この設置を求めるとともに、大学が加害者として学生を抗議の自死に至らせたことへの責任を認め、誠実に対応すべきことを中井氏と甲南大学に促してください。

理 由

中井氏の不適切なハラスメント対応によって、2018年10月17日、一人の大学生が自死に追い込まれた。中井氏は、自殺の原因となった重大な人権侵害行為に加担している。

甲南大学が公認する文化会部の課外活動において、被害学生が所属する部の部長を中心とした上級生が、被害学生を活動から排除するため、名誉棄損情報を捏造し吹聴した。

被害学生は、1年生ながら、部活動で統率力を発揮したことによって上級生に嫌われ、半年前の大学の学園祭においてクラブが出店した模擬店の売上金を横領したとの事実無根の疑惑が同クラブに所属する部長らによって、根拠のないまま、大学内外の関係団体にながされた。その結果、被害学生の「強制退部」、更には「入部拒否の要請」が発出され、この大学公認の通知によって、被害学生による横領がなされたとの虚偽の情報が関西一円の学内外に爆発的に広まってしまった。

実際には、横領の事実はなく、最終的には加害学生もこれを認めているにも関わらず、中井氏はハラスメント委員会委員長として「ハラスメント行為はなかった」との判断を行い、加害者学生たちへの処分もなされなかった。被害者学生は中井氏(当時副学長で、現在は学長)を中心とする甲南大学への適切な対応を求め続けたが、甲南大学は、大学のブランドを守ることを優先し、被害者を被害者として扱うこともなく、事件は隠蔽された。

被害者学生は、最終手段として、自身の尊厳を守るための自死を決行した。被害学生は、

「名誉棄損による精神的ダメージ(中略)甲南大学の対応の遅さにより神経が著しく削られ私は自殺します。」と遺書を記し、その被害の記録一式を残している。

当該学生の自死から現在まで、中井氏からの弔意の意思表示・行動は一切皆無である。遺族の告発によって、2020年3月の新聞・TV報道で事件が明るみになったが、取材に際し、中井氏を学長とする甲南大学は「大学の対応には問題は無い」とのコメントを行っており、重大な人権侵害に対する何らの問題意識・反省もない。

中井伊都子氏が国連人権理事会諮問委員に相応しいと言えるのか重大な疑問がある。

2021年8月15日

被害学生の* ****

連絡先:****、*******

*****************

 

付記

1 当問題は、2021年5月13日、日本の国会(参議院文教科学委員会)において審議されました。審議の内容を資料して添付しました。

また、日本の代表的なメディアの一つである毎日新聞がこの事件をとりあげていますので、参考資料として添付します。なお、日本の主要メディアである朝日新聞、産経新聞でも大きく報道されています。

2 甲南大学とは

兵庫県神戸市に本部をおく日本の私立大学。1951年設置。人文・社会科学と自然科学、いわゆる文系と理系両方の学部を備えた総合大学です(5つのキャンパスをもち、学生数約9000名、教職員数約500名の中規模大学)。

3 中井氏の経歴

中井氏は、本件事件当時、甲南大学のハラスメント委員会の委員長及び副学長の地位にあり、自らの対応により死者を出した当事件から一年も経過していない2019年10月10日に、国連人権理事会(UNHRC)諮問委員に就任しました。就任に際して、この事件に中井氏が関与していることは隠されたままで、中井氏に帯する倫理的な側面に関する事前調査が不十分であったと考えられます。

同時期、今回の事件について、何の検証もせず、死者を出した責任も明らかにしないまま、甲南大学の大学長・理事に就任しています。

今回の学生自死について、甲南大学は、文部科学省や大学が所在している兵庫県に対して、死亡事故報告を行っていません。現在に至っても、被害学生の命の尊さは軽視されたままです。

相手によって、態度や言葉を変える中井伊都子氏に国連人権委員の資格はありません。

************************************

また最近、日本私学連盟が行った「大学の未来へ ー継承と発展ー」と題するオンライン座談会で、中井伊都子氏は次のような発言もしている:

1-4人の痛みを自らの痛みとして知ることができる人間に

植木 さまざまな社会問題を自分事として捉えることの重要性など、田中先生と各務先生のお話は非常につながっていると感じました。中井先生は、国連人権理事会諮問委員会委員を務めるなどのご経験からグローバルリスクを意識する機会も多いかと思いますが、いかがでしょうか。

中井 私は、2020年の4月からこの職に就いており、国際人権法を専門としています。専門の関係で、国連の活動にも一部参加させていただいておりますが、残念ながらコロナ禍で国連の活動はほとんど止まってしまいました。人権、人道問題については危機的な状況を迎えているにも関わらず、意思決定の部分で国連が動けないという残念な状況になってしまっています。私の専門から発言をしたり、学生に伝えたりする際に心掛けているのは、世界で何が起こっているのかを考えるときに、自分と異なる属性や考えを持った人でも、等しく大切だと思える人になってほしいということです。
それを具体的に実践していくことは難しいですが、本学ではさまざまな課題について、すべての学部の学生が混じり合いながら考えることができる基礎共通演習という場を設定しています。また、各専門分野に分かれた後もこれらの問題を自分事として捉え、もっと深く掘り下げたいと考えた時には、どの時点、どの学部からでもプラスアルファで学べるような、より彩り豊かな共通教育の構築を検討しているところです。今地球の裏側で起きていることも自分のことだと、海の中にたくさんのプラスチックがあることは、昨日の自分の行動の帰結なのだと、そういった痛みを感じられるような人間を育成するための仕組みを考えています。

 

3-4これからの社会に向けた大学教育のあり方
中井 人が集う場としての大学の意味も、より一層重要になるのではないかと考えています。多様な人々を受け入れていけるキャンパス、例えば子育て支援や心のケアの場など、多様な役割を探り、実現していけたらと思います。
被害者学生の人権と、人命に何の配慮もないまま、公へは満面の笑顔で理想論を語る。まさに厚顔無恥としか言いようがない。まずは自らが「具体的に実践」、「実現」して欲しいものである。

大学生へのハラスメント 文科省、学内の第三者相談体制巡り初の調査 – 毎日新聞

甲南大学事件に関連して5月に行った、国会参議院文教委員会での立憲国会議員と文部科学大臣・局長との間で行われた質疑

【『甲南大学のハラスメント・2018被害者学生自死事件』を2021年国会の場で問う】

に関し、毎日新聞に新しい記事が掲載されましたので紹介します(2021年9月8日):

毎日新聞記事

甲南大学事件、国連人権委員会に書簡を送付し、中井伊都子氏(甲南大学現学長、国連人権理事会諮問委員)への対応求める

甲南大学の事件を詳報してきた一連の記事にあったように、事件当時の学内ハラスメント委員会のトップであり、この事件について「大学の対応について問題は無く」、「ハラスメントにはあたらない」と結論を下した張本人、中井伊都子現学長が2019年より、国連人権理事会諮問委員会の委員を務めていることに関し、異議を申し立てると同時に何らかの対処を求める書簡を9月初めに国連人権委員会に提出した。申し立ての書簡と受取の返信をここに紹介する。

まず書簡であるが、人権理事会宛のものを以下に示す。特別報告者宛のものもほぼ同じなので、省略する:

1/6頁

2/6頁

3/6頁

4/6頁

5/6頁

6/6頁

国連人権委員会からの返信

地方(国立)大学はどこを向いているのか?(誰が監視しているのか?)

暫く前の案件であるが、やはり地方の国立大学で信じられないような重大なハラスメント事件が起きていた。管理者は殆ど知らなかったが、今回その詳細を知るに至り、見逃せない事件と考えられたので、関連情報をここに提供する:

国立大にパワハラを捏造され、解雇通告を受けた教授の告白

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/51266?imp=0

宮崎大学珍事件

https://jun-jun1965.hatenablog.com/entry/20170409

また関連した記事として

同志社大学の名物教授が「突然の退職」を通告されるまで

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/51247

事件はいまだ完全に解決しているとは言えないらしいが、それも関係者(特に最初の大学)のやる気のなさと怠慢が放置に繋がった結果であろう(他の国立大学でもよくある話であるが)。

一般に日本の多くの地方(国立)大学は、その地方、もしくは近隣自治体ではある程度その動向が注目されるが、全国レベルでそのスキャンダル・関連事件などが報道されることは殆ど無い。それどころか、各地方、或いは都道府県での地方紙や放送局に大学自らが裏から手を回し、「不祥事」の情報自体の報道・拡散を潰してしまうこともしばしばである。

こういう地方の特殊性を隠れ蓑にした、本来公開されるべき地方大学の情報の意図的な隠蔽は、特に税金で運営されている国公立大学では許されないものである。残念なことではあるが、地方の住民一人一人にも、もっと大学などの動向に関心を持ち、地方のマスコミを突き上げるなどして大学を監視していくことが求められているのではないだろうか?

教職員間での(同僚に対する)ハラスメントがこの酷さであるから学生・大学院生がおかれているアカデミックハラスメントの状況はさぞ救いようのないものではと想像・危惧される。

 

甲南学園から「回答」届く

引き続き甲南大学についての投稿が続きます。

代理人弁護士によると「申し立ての前段階として、最終の通知を甲南側に送付しましたが、先ほど返事がきました」ということです。

 甲南学園の代理人からの連絡は

「本学としての一連の対応において不適切な点があったとは考えておらず」、これを「前提とするこのたびの各申し入れにつきましては、お請けすることはできません」

というものでした。

************************************

 2017年(平成29年)甲南大学入学式の時点では、甲南大学の「朗らかに」という言葉とKONAN♾無限大の校章を見聞きし、親子してこれからの将来へ♾の可能性を信じていた。
 まさか1年後に、真面目に活動したが故に、逆に「部活上級生パワーハラスメント」、更には「大学組織による事件隠蔽のためのアカデミックハラスメント」という、とんでもない人権問題に自分達が被害者として遭遇し、救けを求めた大学ハラスメント窓口の暴言に疲弊し、息子が名誉毀損への抗議自死に追いやられ、最愛の息子への弔意もなく、大学によって真実さえ捻じ曲げられ隠蔽されるとは。まさに悪夢としか言いようがなく、できることなら、甲南大入学以前に時間を巻き戻したい。

(写真は、甲南大学2017年4月1日入学式におけるクラブ紹介の様子)

現在日本各地の大学で報道されているハラスメント被害はおそらく氷山の一角に過ぎない!
 被害者遺族になった後で知ったことだが、(2017、1/12河野太郎氏ブログ記載既に2017年、文部科学省には大学ハラスメント実態調査の必要が指摘されているが、現状の細かい調査は行われていない。大学ハラスメント対応窓口に被害を申し出た被害者の大半が窓口で相談を握り潰されたり、加害者側からさらなる不利益を被り、ハラスメント被害が長期化することで解決が難しくなり、自殺に追いやられた悲惨な事例は後を絶たない。そして「全国学校事故を語る会」を通じて知った更にショッキングな事実は、学校側の主張によって遺書が無いこと等を理由として「明らかに自殺」であっても「変死」として闇に葬られ、被害者としてその申し立てもできず泣き寝入りを強いられている遺族さえいるという実態である。
 失意のどん底で被害者遺族は、やむなく民事訴訟を起こす羽目になる。加害者側に無罪判決の出るリスクを背負った長期間の裁判に気力を奪い取られつつ、最愛の子供の尊厳を守るために命がけで闘っている被害者遺族達の声に日本の社会はもっと耳を傾けてほしい。
 「学生間のハラスメント」及び「学校組織によるハラスメント隠蔽」は、命さえ奪う犯罪行為であり、社会全体の問題である。現日本では、先進国として学生をハラスメント被害から守る人権擁護システムが整っていない。ハラスメントを隠蔽し学生を自死に追いやっても、その大学職員には何の制裁も無いばかりか昇進が約束される。そして有ろう事か、その加害当事者が、大学のみならず、国を代表するリーダーとして特別な理由もなく「国連の人権委員」に就任していることは、日本人として恥ずべきことであると思われる。

 われわれは、今後の対応も見据え、これまでの記事「甲南大学の学生自死事件、その後 (1)~(5)」の中で、匿名扱いをしていた甲南大学事務部門の何名かにつき、実名掲載へと踏み切リました。詳細は、お手数ですが、各記事、特に(1)の再読をお願いしたいと思います(2021年7月10日)

【『甲南大学のハラスメント・2018被害者学生自死事件』を2021年国会の場で問う】

これに先立つ5つの記事(甲南大学学生自死事件 その(1)~(5))に続き、本記事では、5月に本事件が国会で取り上げられたことについて、その経緯と審議内容などをやはりご家族の手記の形で報告する。この国会審議の詳細は今でも「参議院インターネット審議中継」ホームページ・2021、5・13文教科学委員会で視聴できる。

(参議院での質疑の様子)

 一連の前記事のように、自死学生に関わったハラスメント当事者たちに反省の色は全く無い。このままでは甲南大学の営利優先・隠蔽体質の中、「ハラスメント自体が無かった」、「大学に問題がなかった」、と個人の被害は組織力に踏み潰され、泣き寝入りで終わらされてしまう。被害者である息子の尊厳を守るためには、「国に社会問題として発信できる精鋭」に母の生の言葉で訴えるしかないと考えた。

息子が大阪の中学高校に通学していたことから、私的には無党派であるが、信頼できる人物として、地元大阪の辻元清美議員に声をかけた。甲南大学被害者学生・母としての自分の身元を知らせ、やり取りを繰り返すことにより、辻元清美事務所に当事件を社会問題として認識してもらうことが出来た。辻元清美衆議院議員の国会での所属は予算委員会であるため、文教科学委員会委員の石川大我参議院議員に本件を取り次いでもらい、石川大我事務所にも当事件を社会問題として認識してもらうため、石川大我議員と母が直接zoomで対面することになった。石川議員と母の対話において、私立・甲南大学ハラスメントに毅然と闘った当時の息子の頑張り、事件発生から現在に至る緊迫した状況、母親の必死の思いをストレートに受け取ってもらえたと感じた。

そして、2021年5月13日、石川大我議員からの発信により、国会の場で「教育研究機関である大学におけるハラスメントや、学生間のハラスメントは、決して許されるものではない」との再認識がなされた。

「2018年甲南大学学生自死事件と当該大学におけるハラスメント横行と被害者学生への大学対応の現状、今後の文科省から大学への対応について」に関する石川議員の質疑は以下の内容である。

(石川議員)

「小中高にはいじめ防止法と学校側と被害者側それぞれから委員を選ぶなど公平中立性が確保された第三者委員会設置等のガイドラインがあり、社会人にはパワハラ防止法の制度があるが、大学生の部分だけすっとそのシステムが抜け落ちているため、ここへの手当てが必要です。大学生間のハラスメントに対する文科省から講ずべき通知、法制度が現在不十分ではないでしょうか。これまで私立大学は各大学の自主自立に任されておりハラスメント委員会の共通の設置基準が無いため、酷いところになると、大学に学生が相談しても、大学側が問題を解決するというよりも逆にハラスメント委員会の中で握りつぶして外に出ないようにする役割をはたしてしまうということがある、残念ながら大学の保身ということもあるといった話をよく聞きます。当甲南大の件も、この男子学生は一人でかなり頑張って、横領をでっち上げた部長に謝罪文を書かせ強制退部と他部への入部拒否の要請を撤回させたが、甲南大学の事実公表文掲示は無く、結果的にハラスメント偽情報放置で被害者学生の名誉回復には至らず、更には、被害を訴えたハラスメント委員会で大学側は『これはハラスメントに当たらない』としたばかりか、逆に当人に問題があったかのような発言で被害者を追い込んでいきました。当ハラスメント委員会のメンバーの中身は、副学長、学生部、学生室事務部、総務部の部長、学長が指名する選任教員で構成されていて、全て大学内部の人員で済まされています。こういったハラスメント委員会ではダメで、ハラスメント委員会の議事録の公開や学外の専門家を含むなどの客観性、中立性がどのように担保されたのかなどの疑問が残ります。

やはり文科省としては何らかの法整備を求めていく必要があるのではないか、そういった時期に来ているのではないでしょうか」等の鋭い質問・追及が行われた。

伯井文部科学省高等教育局長上写真)からは、

「大学でのハラスメント対策について、文部科学省としても指導教員の能力の強化と、学外での民間相談窓口、ハラスメント被害は大学を通さずに相談できるような制度を横展開していきます」。という内容の発言があった。

また、萩生田文部科学大臣(下写真)からは、

「教育研究機関である大学においてハラスメントはあってはならない。(中略)ご指摘のように学生間のハラスメント対応は法の外に置かれてしまっている。そうは言うものの、ちゃんとしてくださいねという概念は法律上にはあるのですが、私は就任以来、日本の最高学府の大学ですから、自主性、自立性、独立性を重んじて、あまり箸の上げ下げみたいなことは言わずに、色んなことを信頼して今日まで一緒に仕事をしてきたのですが、そうでもないなと思うことが沢山ありまして、かなりきめ細かく言わないとなかなか対応していただけない部分があるなと感じております。今回のご指摘は極めて重要でありまして、他大学の事例事件事案などで、こういった事には気を付けましょうという事を含めて何らかの形で国公立・私立含めてすべての大学に同じ問題意識を持ってもらうようなそういう方針をしっかり立ち上げて、話し合いをしていきたいと思っております」。との答弁があった。

更に石川議員からは、文科省の取り組みとしてのアンケートに関する質問に合わせ、

「甲南大学ハラスメント委員会での議事録詳細は自殺した学生への聴取録以外は非公表で、調査をした教職員の肩書や名簿も非公表。大学の規定では外部専門家の出席をさせることが出来ると記載があるが、残念ながら今回外部の専門家が入った形跡がない。ヒアリングの中でご遺族は『今回の大学の対応自体がハラスメントであった』とおっしゃっています。この学生は遺書の中で『自殺の原因は(中略)甲南大学の対応も遅く私は限界となりました』という言葉を残して自死しています。お母さまとのお話の中で『最初、母の私も死のうと思った。けれども、甲南大学組織に抗議した息子の意志を受け継いで、母である私が大学ハラスメントの事実を社会に伝えることが息子の尊厳を守ることになる。そのために生きようと思った』という言葉が大変印象的でした。当然そういった意味で、これから目指す方向は大臣と一緒だと思いますので、一緒に歩んでいきたいと思います」。

とのコメントがあった。

また、「現在、大学へのハラスメントについてのアンケートの内容では、学内におけるハラスメントの防止を実施している大学は99.7%という調査が出ておりそれ自体は良いのですが、今お話をしたような問題があります。文科省の取り組みとしての大学へのハラスメント防止対策調査のアンケート内容は現在ざっくりとした3項目しかなく、例えばハラスメントの調査をする人間が学内だけなのか学外も入るのか、議事録の公開などによる調査の公平中立性の担保の方法なども含めて、調査等へのもう少し細かい内容の法的な調整が是非、必要ではないでしょうか」との指摘を行った。

(萩生田文部科学大臣)

それを受けて、萩生田大臣からの答弁は、

「文部科学省では、隔年で大学に調査を行っていますが、ご指摘のように第三者委員会窓口の設置状況等については現在調査に含まれていません。私は、一義的には学校が責任をもって対処すべきであると考えますが、他方、ご指摘になったように、たとえば学内での不名誉な事案については学校の評判が落ちるなどということで、できるだけ内部で穏便にということで表面化しないで、結局どなたかが泣き寝入りするという事例が今までもありました。したがって、学校関係者じゃない人に相談をしたいという学生のニーズもありますので外部の法律の専門家などに気軽にアクセスができる仕組みというものが今後必要になってくると思います。ぜひ次の機会から第三者窓口の設置について、その設置状況を項目に入れてヒアリングをしていきたいと思っています」。

というものであった。

この様子詳細は、「参議院インターネット審議中継」のホームページ・2021、5・13文教科学委員会、立憲民主党、石川大我議員検索で視聴可能。大学に関する他の問題等も審議されている。

甲南大学での学生自死事件、その後 (5)

 その後、(4)が非常に長くて読みにくいと思われましたので、ほぼ半分に分割し(4)と(5)として再編しました。特に(5)では、その後の甲南大学の家族に対する不誠実な対応と対外的なパフォーマンスを報告します。これらは、明らかに、事件を無かったものにすることを狙ったものと言えます。

 これまでと同じく概略の経過を示す:

甲南大学は、「学生の命の重さ」よりも「営利重視」の大学である事実を息子の抗議自死後も嫌というほど見聞きした。

甲南大学は、1951年創立の、実質的にまだ歴史の浅い大学であるが、甲南学園として、被害者学生抗議自死直後から、「甲南大学文化会表彰式」「課外活動祝勝会」「元旦新聞・甲南大学全面祝賀広告」「100周年記念音楽祭」「甲南学園100周年記念パーティー」のお祭り騒ぎ、祝賀会を繰り返し、甲南大学幹部たちは、被害者学生抗議自死の事実を隠蔽したまま、満面笑顔の記念写真によってブランドイメージを強調する広報、例えば「世界の甲南」、「『人創り』の教育」、「甲南大学は、皆さん(=学生)の健康・安全と学修を守るために大学を挙げてサポートシステムを展開してまいります。ぜひ安心してください」などと世の中に発信している。

https://www.kobe-np.co.jp/info/go_university/konan.html

ミディアムサイズの大学、甲南大学の閉塞したシステム内において、息子はハラスメント被害を問題化することすら困難な状況に置かれた。甲南大学と大学内加害者の「責任を取りたくない。事態は無かった事としたい」という利害目的は一致しており、大学幹部は負の英知を結集して、一学生である息子の甚大なる被害と悲痛な訴えを握りつぶした。

息子は、死にたくて死んだわけではない。大切な命を懸けて、自身の尊厳を守るために、大学ハラスメント問題の不合理を世の中に発信したのである。

「かかる瑕疵についても、現在に至ってなお、格別問題視すべき事情までは無いといえる」という文言列挙の中井ハラスメント委員長の結論。「君が脈絡も無く攻撃的に話をしたことから、あのような状況になった」という中村英雄学生部事務部長の発言。秋宗学生部長による「いじめがあれば問題と考えたがそれはなく、君自身の言動が原因になっていると思われる」等の被害者を被害者として扱わない冷酷な暴言の数々。大学組織ぐるみのそれらのハラスメントが、被害者学生にどれほどの苦痛を背負わせたか、それらが現実的に息子の将来をいかにぶち壊す行動であったか、を当該関係者たちが深慮することも無く現在に至っている。しかしながら、もし自分自身や御家族に同様のハラスメント被害が降りかかったとしたら、わが息子と同じように、「瑕疵では済まされない」と、誰も決して納得できないはずである。

甲南大学の「全学生・教員・卒業生・父母・家屋敷や多額の寄付をした関係者・100周年記念コンサート等関係者」の名誉のためにも、甲南大学の不適切な対応を正す必要があると捉えている。

○ 第三者による検証すらもなされていない

代理人弁護士を通じて文科省・萩生田光一大臣に甲南ハラスメント事件を報告した(2019年11月26日付)。私立大学は、現在自治に任され外部の目が入っていない。そのため、倫理観が欠如した私立大学では組織防衛のために情報が操作され、被害者は泣き寝入りを強いられるという現状の問題を投げかけた。早期に文科省がガイドラインを作成し、私立大にも中立性が確保された第三者委員会の設置し、検証と指導の必要性がある。本件は、文章を送付しただけでなく、2019年12月12日、「全国学校被害の会」内海会長が文科省に出向き、口頭でも陳述した。

学生が残したハラスメント被害記録文章・資料は、現在複数の有識者が保管している。

○ 人権を守る発想・資格のない中井氏が国連人権理事会諮問委員に就任??

2018年に潔白な学生が抗議自死を行い、遺族が苦しみでのたうち回っている中で、2019年学生自死の翌年、当時の中井伊都子ハラスメント委員長が「国連人権理事会諮問委員」に就任したようである。大学の学生の人権を守れずに国連で人権をどのように語るのか、大いに疑問であり不気味(ブラックジョーク)に感じる。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/hr_ha/page3_002980.html

https://www.suzukikeisuke.jp/令和元年11月29日%E3%80%80人権関連国際選挙当選祝賀レセ

「人権理事会諮問委員会の候補者の指名は「候補者の技術的・客観的な要件として、人権分野における定評ある能力と経験を有すること、高潔な倫理観を有していること、独立性と公平性を有すること」とされている。2019年10月から、アジア5議席の一人として就任している。外務省の国連人権理事会諮問委員会のHPは 以下。

人権理事会諮問委員会

「日本は、国・地域の人権状況及び人権上の諸問題の解決に向けて、引き続き人権理事会の活動に積極的に貢献していきます」とされているが、人権を破壊される究極の状況で、被害者学生は何度も中井伊都子ハラスメント委員長と話をしている。母親も直接話したが、途中から「距離を保つ」と面会拒否であった。被害者学生が中井氏に電話をしたが、電話口の事務職員は「取り次げません」の返答、「電話を直ぐに取り次ぐように、直ぐに!」と切羽詰まって緊迫した被害者学生の声が、この事務職員の耳には今でも残っているだろう。

 母親は、次のように話をしている。

「我が息子の抗議自死の行動は、どんな言葉よりも雄弁に甲南大学ハラスメント対処の失敗を世に示している」

「『被害者学生の若い命が失われた悲劇』の真実を社会に知らしめることは、抗議自死学生の母親としての義務である。人生には、きっぱりとNOを言うべき時がある」

被害者学生と遺族に対して、最悪の禍根を残す結果を引き起こし、目の前にある人権の問題に向き合おうともしない中井氏が、「国連人権理事会諮問委員」という重責(アジア5議席のひとり)を担うことは、到底可能だとは思えない。国際社会には、真のリーダーとして相応しい人物を送り出してほしい。間違った人事が横行しているのであれば、引責辞任するべきである。

不適切な人事が是正されないまま、誰かがその首に鈴をつけるのを待っていては、更なる悲劇が繰り返されてしまうのではないだろうか?