公益通報の現状と課題(4)公益通報事件において通報者をまもるには?様々なケースまとめ

少しまとめた記事も紹介する:

毎日新聞の記事(2026年1月19日付)

「すべての報復から守って」 公益通報の当事者、法改 正求め署名活動https://mainichi.jp/articles/20260114/k00/00m/040/290000c

この記事は、12月に施行される改正法でも不十分だとして、実体験に基づきさらなる法改正を訴える当事者たちの署名活動と切実な願いを報じたものです。

1.小林さんの訴え:すべての不利益処分に「立証責任の転換」を

  • 背景: 製薬会社の不正を告発後、左遷(配置転換)された小林さんは、会社を相手に裁判を起こしましたが、「報復であること」を自分側で証明できず敗訴しました。
  • 署名の目的: 約2万5000筆の署名を提出。改正法では「解雇・懲戒」に限り立証責任が企業側に移りますが、小林さんは最も多用される報復手段である**「配置転換」についても企業側に立証責任を負わせるべき**だと訴えています。

2.加藤さんの訴え:報復目的の「スラップ訴訟」防止

  • 背景: 医療機器販売会社の贈収賄を警察に通報した加藤さんは、通報の正しさが認められたにもかかわらず、会社から約4800万円の損害賠償を求め提訴されました。
  • 署名の目的: このような嫌がらせ目的の訴訟(スラップ訴訟)を、裁判所が早期に棄却(門前払い)できる仕組みの導入を求めています。裁判が長引くだけで通報者は経済的・精神的に疲弊してしまうためです。

3.当事者たちの共通の願い

  • 現状の限界: 現行および改正法の内容では、通報者が救済されるまでのハードルがあまりに高く、「いばらの道」となっています。
  • 未来への思い: 自身が苦しんだ経験から、「これから通報しようとする人が報復を恐れずに声を上げられる社会」にしたいという強い思いが活動の原動力になっています。

【全体を貫く論点】 法改正により「解雇」などの強い処分には一定の歯止めがかかりましたが、「配置転換(左遷)」や「多額の賠償請求(訴訟)」といった、より巧妙で執拗な報復から通報者を守る仕組みが依然として欠落していることが浮き彫りになっています。

 

また、次のようなまとめ記事もある:

共同通信(2026年2月14日付)の記事

「虐待を通報したら、クビにされました」障害者 施設スタッフの告発の行方は…裁判で逆転「大 勝利」 似たような目に遭ったほかの人たちは どうなった?

https://news.jp/i/1389062201227248445?c=39546741839462401

この記事は、障害者施設での虐待や不正を告発した職員たちが、解雇や損害賠償請求といった激しい「報復」に遭いながらも、司法の場で闘っている現状を報じたものです。

1.栗田さんのケース(社会福祉法人ときわ会)

  • 内容: 職員による暴力や役員のわいせつ行為を市や家族に告発したところ、「プライバシー侵害」を理由に懲戒解雇されました。
  • 結末: 裁判の結果、2024年に「解雇撤回」と「解決金480万円」での和解が成立。実質的な勝訴(大勝利)を収めました。なお、虐待事案については行政によって正式に認定されています。

2.大兼政さんのケース(社会福祉法人ゆっこら)

  • 内容: 性的虐待を行政に通報後、減給処分を受け退職。
  • 結末: 2025年7月、東京高裁は減給を無効とし、理事長による「守秘義務違反だ」との非難を名誉毀損と認定しました。しかし、裁判費用に約150万円かかったのに対し、認められた慰謝料等は8万円にとどまり、「経済的にはマイナス」という通報者の重い負担が浮き彫りになりました。

3.現在も係争中のケース

現在も報復とみられる処遇を巡り、以下の裁判が続いています。

  • ベルデさかい(三篠会): 虐待を通報した看護師3人が、自宅待機命令や解雇、配置転換を受けたとして大阪地裁で係争中。

  • 日本リメイク: 不正請求等を内部告発した元取締役の青木さんに対し、会社側が「資料の無断持ち出しで損害が出た」として約4130万円の損害賠償を請求。青木さんは「報復のためのスラップ訴訟だ」として反訴しています。

4.共通する課題と叫び

  • 行政の不手際: 栗田さんのケースでは、市役所への通報内容が法人側に漏洩していた疑いがあり、行政の対応の甘さが指摘されています。
  • 制度の限界: 公益通報者保護法には賠償請求を禁じる規定がありますが、企業側は「資料持ち出し」や「別の問題行動」を理由にすることで、法の網をかいくぐり報復を行っています。
  • 当事者の声: 「声を上げた人が守られないと、誰も虐待を止められなくなる」「報復訴訟への罰則が必要だ」と、制度の抜本的な改善を求めています。

【全体を貫く論点】 虐待から弱者を守ろうとした「正義の通報」が、組織による執拗な「犯人捜し」や法的攻撃を招いています。裁判で勝訴しても多額の費用や精神的苦痛を伴う現状は、通報者保護制度が依然として「いばらの道」であることを物語っています。

 

公益通報の現状と課題(3)最近の公益通報事件における通報者の状況2(悪質な報復とスラップ訴訟)

最初は、やはり今年1月に取り上げられた次の記事である。

毎日新聞の記事(2026年1月18日付)

公益通報後に仕事⼲され… ⼥性社員「専⾨職のキャリ ア失った」https://mainichi.jp/articles/20260114/k00/00m/040/284000c?utm_source=article&utm_medium=email&utm_campaign=mailasa&utm_content=202…

この記事は、製薬会社での不正を実名(仮名)で告発した女性が、通報後に仕事を奪われ、キャリアを破壊されていく過酷な現状と、それを守りきれない法律の限界を報じたものです。

1.通報の経緯:患者の命を守るための告発

  • 不正の発見: 2013年、アレクシオンファーマに入社した小林さん(仮名)は、自社薬「ソリリス」について、有効性が確認されていない疾患にも効くかのような不適切な宣伝が行われていることを知りました。
  • 行動: 社内通報を経て、2017年に厚生労働省へ公益通報。その結果、厚労省が会社を指導し、薬の「添付文書」に注意喚起の文言が追加されるという大きな成果を上げました。

2.通報後の「報復」と仕事の剥奪

  • 配置転換: 成果を上げた直後、専門職(MR)から外される異動を命じられました。その後、部署の廃止や1人部署への異動が繰り返されました。
  • 「干される」実態: 2020年〜23年の1日平均の実働時間はわずか37分。ネット上の感染者数をエクセルに打ち込むだけの無意味な作業を命じられたり、自宅待機を強いられたりする日々が続いています。

3.司法の壁と「悪魔の証明」

  • 裁判の結果: 小林さんは「配置転換は報復だ」として提訴しましたが、裁判所は「報復と認めるに足りる証拠がない」として敗訴が確定しました。
  • 立証の困難さ: 会社側が「報復である」と認めない限り、労働者がその動機を証明するのは極めて難しく、小林さんはこれを「悪魔の証明」と呼んで憤っています。

4.制度の欠陥と法改正への訴え

  • 法律の限界: 2026年12月施行の改正法では「解雇」については立証責任が会社側に移りますが、経済界の反対により「配置転換」は対象外とされました。つまり、巧妙な左遷や嫌がらせからは依然として守られません
  • 活動: 小林さんは自身のキャリアを失いながらも、同じ境遇の人を生まないために署名活動(約2万5000筆)を行い、さらなる法改正を求めています。

【記事のまとめ】 「命を救うための正義」を貫いた通報者が、組織内で巧妙に仕事を奪われ、社会的に抹殺されそうになっている実例です。現行の公益通報者保護法が、解雇以外の「目に見えにくい報復(配置転換や業務剥奪)」に対して極めて無力であることを浮き彫りにしています。

次の記事は別の例である:

毎日新聞の記事(2026年1月20日付)

「機密漏れた」とPC没収 NHKの情報源と疑われ私は解雇されたhttps://mainichi.jp/articles/20260115/k00/00m/040/378000c?utm_source=article&utm_medium=email&utm_campaign=mailasa&utm_content=202

この記事は、医療機器メーカーの贈収賄事件を警察に通報した元社員が、会社から「犯人捜し」の標的となり、解雇や巨額の賠償請求訴訟(スラップ訴訟)に直面しながら闘い続けている実態を報じたものです。

1.事件の背景:医師への「謝礼」工作

  • 不正の内容: 眼内レンズメーカー「スター・ジャパン」にて、医師に手術動画作成の名目で謝礼を支払う販売促進キャンペーンが計画されました。
  • 懸念: 当時経理課長だった加藤さん(仮名)は、公立病院の医師への支払いが「贈収賄」にあたると危惧しましたが、会社側は強行。加藤さんは会議から外されました。

2.通報と執拗な「犯人捜し」

  • 外部通報: 内部通報窓口の秘匿性に不安を感じた加藤さんは、警察に告発するため、社内データベースから384点の資料を収集・保存しました。
  • PC没収と解雇: NHKがこの問題を報じると、会社側はデジタル解析で加藤さんを特定し、「機密情報の持ち出し」を理由に即刻解雇しました。
  • 捜査の進展: 加藤さんの粘り強い告発により警察が動き、結果として医師が収賄罪で有罪、社員らが贈賄罪で罰金刑を受ける刑事事件へと発展しました。

3.会社側の「反撃」と司法の判断

  • 賠償請求: 刑事事件の決着後、会社側は「資料を外部に漏らし顧客を失わせた」として、加藤さんに約4800万円の損害賠償を求めて提訴しました。
  • 歴史的判決: 2025年12月、東京地裁は「資料持ち出しは公益通報目的であり妥当」と認定。違法性は阻却(否定)されるとして、加藤さんの全面勝訴を言い渡しました(会社側は控訴中)。

4.残された課題と署名活動

  • 免責規定の欠如: 現行法には、通報目的の資料持ち出しを免責する明確な条文がありません。そのため、通報者は常に「窃盗」や「営業秘密侵害」で訴えられるリスクを抱えています。
  • 提言: 加藤さんは、どこまでの情報持ち出しなら許されるのか、事前に判断できる明確な基準の整備を求め、署名活動を行っています。

【ポイント】 正義感から警察を動かした通報者が、会社から「容疑者」のように扱われ、解雇と高額訴訟で報復されるという過酷な構図です。「資料持ち出し」の正当性が認められた1審判決は大きな一歩ですが、通報者が安心して行動できる法的ルールの不備が改めて浮き彫りになりました。

スラップ訴訟については次の記事がある:

毎日新聞の記事(2026年1月21日付)

告発者へのスラップ訴訟なぜ防げぬ︖ 企業の⼿⼝と専 ⾨家の⾒解https://mainichi.jp/articles/20260115/k00/00m/040/380000c

この記事は、企業が告発者を萎縮させるために起こす「スラップ訴訟(どう喝訴訟)」がなぜ現行法で防げないのか、その法的な抜け穴と専門家による改善案を解説したものです。

1.スラップ訴訟の狙いと現状

  • 目的: 資金力のある企業が、勝訴の見込みが薄くてもあえて提訴することで、告発者を経済的・精神的に疲弊させ、口封じ(萎縮)すること
  • 日本の現状: 日本にはスラップ訴訟を直接規制する法律がなく、野放しに近い状態にある。

2.公益通報者保護法「第7条」の抜け穴

公益通報者保護法には、通報者への賠償請求を制限する規定がありますが、以下の理由で機能不全に陥っています。

  • 限定的な解釈: 同法第7条は「公益通報そのものによる損害」の賠償請求は禁じているが、「別の理由」(例:通報のための資料持ち出し=情報流出)を名目にすれば提訴が可能。
  • 「通報前」の行為は対象外: 専門家(日野勝吾教授)は、資料収集といった「通報前の行為」に対する賠償請求が制限されていないことが、企業側の「反撃」を許していると指摘。

3.解決に向けた専門家の提案

通報者が在職中・退職後を問わず守られるよう、以下の法改正が提案されています。

  • 「提訴」を不利益取扱いに加える: 現在は解雇、降格、減給などが「禁止される不利益取扱い」として明記されていますが、ここに「裁判の提起(提訴)」自体を追加すべきという考えです。
  • 期待される効果: これにより、報復目的の提訴そのものが違法な「不利益取扱い」とみなされれば、スラップ訴訟に対する強力な抑止力となります。

【ポイント】 企業は「情報漏洩」という名目を使って法律の網をかいくぐり、告発者を追い詰めています。「裁判を起こすこと自体が報復になり得る」という認識を法律に組み込めるかどうかが、今後の焦点となります。

 

 

公益通報の現状と課題(2)最近の公益通報事件における通報者の状況1

*サカイ引越センター事件

次に紹介するのは、毎日新聞の記事(2026年1月16日付)

俺が容疑者? 「正義の通報」が⼀転、5時間に及んだ取り調べhttps://mainichi.jp/articles/20260111/k00/00m/040/132000c

である。以下がAIによる記事の要約である:

この記事は、顧客の個人情報流出を告発した引っ越し大手の元社員が、会社側から執拗な追及や法的措置を受け、精神的に追い詰められていく実態を報じたドキュメントです。

1.事案のきっかけ:ゴミ捨て場の個人情報

  • 発見: 2022年春、サカイ引越センターの社員寮のゴミ捨て場に、顧客406人分の個人情報が記載された書類が大量に捨てられているのを男性が発見。
  • 行動: 証拠写真を撮り、労働組合に通報。その後、隠蔽を恐れた労組がメディア(東京新聞)に情報提供し、事実が公表された。会社側は当初、事実を認め謝罪した。

2.会社による「犯人捜し」と警察の介入

  • 特定: 写真に写り込んだ「手」などから、会社側は男性を情報漏洩者と特定し、元上司が電話で接触するなど圧力をかけた。
  • 刑事事件化: 会社側は「書類を持ち出した行為」を占有離脱物横領容疑で刑事告訴。男性は警察で5時間に及ぶ取り調べを受け、「容疑者」として扱われた(後に不起訴が確定)。

3.多額の損害賠償と「押し掛け」による威圧

  • 高額請求の示唆: 会社側弁護士から「損害は1億5000万円に上る」とする文書が届き、男性は自己破産を覚悟するほど追い詰められた。
  • 自宅訪問: 連絡を絶っていた男性の自宅に、弁護士と社員が直接押し掛け、玄関ドアを叩いて回答を迫るという異例の事態に発展。

4.泥沼の法廷闘争へ

  • 民事訴訟: 調停を経て、会社側は2025年、男性らに対し100万円の損害賠償を求める訴訟を提起。「会社に損害を与える目的だった」と主張している。
  • 男性の決意: 一時は解決金を払って終わらせることも考えたが、「自分の正義を曲げたくない」「子供に堂々とした背中を見せたい」と、裁判で戦うことを決意した。

【記事の背景・問題点】 本来、公益通報は社会的な不正を正すための「正義の行動」として保護されるべきですが、本件では企業側が「書類の持ち出し」を犯罪(横領)や不法行為として訴えることで、通報者に多大な社会的・精神的制裁を加える「報復」のような構図が浮き彫りになっています

*通報者を守る「盾」の弱さ

次は、毎日新聞の記事(2026年1月16日付)

発者守れぬ「もろい盾」︖ 公益通報、ルール⾒直し も実効性に疑問https://mainichi.jp/articles/20260111/k00/00m/040/146000c

です。まずは現状につての3枚の図解です:

また、以下が本記事のAI要約です:

この記事は、12月に施行される改正公益通報者保護法の内容と、それでもなお残る「通報者保護の限界」について深く掘り下げたものです。

1.改正法で強化されたポイント(新たな「盾」)

  • 立証責任の転換: 通報から1年以内の解雇や懲戒処分は「通報が理由」と推定されるようになります。これにより、会社側が「通報以外の正当な理由」を証明できなければ、通報者が勝訴しやすくなります。
  • 刑事罰の新設: 公益通報を理由に解雇・懲戒を行った法人や担当者に対し、懲役や罰金などの罰則が科されるようになります。
  • 探索行為の禁止: 兵庫県知事の事例などを踏まえ、「誰が通報したか」を捜し出す行為が初めて法律で禁止されました。

2.依然として残る「実効性」への疑問(もろい盾)

  • 配置転換や嫌がらせは対象外: 最も多い報復手段である「配置転換(左遷)」や「職場での無視」については、刑事罰の対象外であり、立証責任も通報者側に残ったままです。報復が解雇から配置転換にシフトする恐れが指摘されています。
  • 裁判負担の重さ: 救済を受けるには依然として数年に及ぶ裁判が必要であり、通報者の時間・費用・労力の負担は解消されていません。実際、過去の裁判で通報者の保護が認められたケースは極めて少数です。
  • 探索行為への罰則なし: 犯人捜し(探索)は禁止されたものの、それ自体に罰則はないため、抑止力不足が懸念されています。

3.日本の組織風土と課題

  • 「裏切り者」とみなす文化: オリンパスやビッグモーターの事例、兵庫県の内部告発問題などが示す通り、日本の組織には通報を「密告」と捉える根強い風土があります。
  • 今後の展望: 改正法は一歩前進ですが、日弁連などは「依然として不十分」と批判しています。施行から3年後の再見直しも検討されており、社会全体での意識改革が求められています。

【ポイント】 「解雇」などの極端な報復への防御力は上がりましたが、「巧妙な嫌がらせや左遷」からは依然として守りきれないという、制度の構造的な弱点が浮き彫りになっています。

この度の改正でも、公益通報者を保護する「盾」は、極めて穴だらけで脆弱であるようです。これでは、ごく普通の人が公益通報に踏み切るのはほとんど無理、と言える。

*通報者保護制度:EU、米国との比較

最後の記事は、毎日新聞の記事(2026年1月16日付)

通報者の保護、⽇本は後⼿︖ EUより狭い対象範囲、重い訴訟負担https://mainichi.jp/articles/20260114/k00/00m/040/300000c

である。この記事のAI要約は次のようである:

この記事は、日本の公益通報者保護制度をEUや米国と比較し、日本の制度がいかに「後手」に回っているかという課題を浮き彫りにしています。

1.EUとの比較:広範な保護と厳格な義務

EUの「公益通報者保護指令」と比較すると、日本の制度の狭さが目立ちます。

項目 日本 EU
対象となる違反 刑事罰・行政罰(過料)の対象のみ 各分野の違反行為を広く含む
保護される人 労働者、退職者、役員など 株主、研修生、採用段階の人も含む
窓口設置の義務 従業員300人超の法人 従業員50人以上の法人
立証責任の転換 解雇・懲戒のみ(改正法) 配置換え・ハラスメント等も含む

2.米国の特徴:強力な「報奨金制度」

米国では単一の法律ではなく、分野ごとの法律で通報者を守ると同時に、積極的なインセンティブを設けています。

  • ドッド・フランク法: 証券取引などの不正通報により制裁金が得られた場合、通報者に報奨金を支払う。
  • 司法省の取り組み: 2024年から、企業の不正を通報した個人に報奨金を支払うプログラムを開始。

3.日本が抱える今後の論点

専門家(柿崎環・明治大教授)は、日本の遅れを解消するために以下の見直しが必要だと指摘しています。

  • 不利益取り扱いの範囲拡大: 日本では「配置転換(左遷)」や「嫌がらせ」の立証責任がまだ通報者側にあり、これが通報をためらう最大の要因となっている。
  • 企業規模の引き下げ: より小規模な企業(300人以下)にも体制整備を義務付けるべき。
  • 文化の醸成: 通報を「密告」ではなく、社会的に意義のある「奨励されるべきもの」と捉える企業文化への転換が必要。

【結論】 日本の制度は「刑事罰レベルの違反」に限定されるなど対象が狭く、また通報後の嫌がらせに対する法的防御も不十分です。EU並みの包括的な保護や、米国のような実利的な通報促進策に比べ、「通報者の心理的な安全性」の確保において大きな差をつけられています

まさに投稿者が前の記事で指摘した通りである。

公益通報の現状と課題(1)改正公益通報者保護法とは?

改正公益通報者保護法に関するAIによる説明は以下である:

改正公益通報者保護法(2025年6月成立、2026年12月1日施行)は、企業の不正を通報した人が不利益な扱いを受けないよう保護を強化する法律です。主な改正点は、フリーランスの対象追加、通報者の探索行為の禁止、不利益な取扱いに伴う刑事罰導入、内部通報体制の整備義務化です。
改正の主なポイント(2026年12月施行)
  • 保護対象の拡大: 労働者だけでなく、業務委託先のフリーランス(特定受託業務従事者)も保護対象に追加。
  • 刑事罰の導入: 公益通報を理由に解雇や懲戒を行った事業者に対し、刑事罰(6ヶ月以下の拘禁刑、30万円以下の罰金)を導入。
  • 通報者の探索・妨害の禁止: 通報者を特定する「通報者探し」や、通報を妨害する行為を法律で禁止。
  • 体制整備の義務化: 301人以上の事業者は内部通報窓口の設置・運用が義務付け(300人以下は努力義務

用語と関連情報

  • 別名・関連語: 「内部通報者保護法」「ホイッスルブローワー保護法」とも関連。
  • 過去の改正: 2022年6月にも改正が施行され、この時も通報体制整備が義務化された。

この22年6月改正後の保護法の概要は以下の図面で説明される(消費者庁による):

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/overview/assets/consumer_partnerships_230725_01.pdf

また昨年6月にさらに改正された新しい保護法の主な改正点は以下である(同じく消費者庁HPより):

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/overview/assets/consumer_partnerships_cms205_250611_01.pdf

以上を予備知識として、主に毎日新聞の公益通報に関する一連の記事などを引用しながら、公益通報(者保護)制度の2026年5月時点での現状と課題(不十分点)について議論してみたい。

最初の記事は、毎日新聞の記事(2026年1月16日付)

セクハラやパワハラは対象外︖ 初⼼者にも分かる公益 通報のルールhttps://mainichi.jp/articles/20260111/k00/00m/040/139000c

である。以下はAIによるこの記事の要約である:

この記事は、「何が公益通報として保護されるのか」という基本ルールと、その課題について初心者向けに解説したものです。

1.公益通報の対象となる「不正」とは

  • 基準: 国民の命・健康・財産に関わる法律違反で、刑事罰や行政罰(過料)の対象となるものに限られます。
  • ハラスメントの扱い: 単なるパワハラ・セクハラは対象外となることが多く、刑法上の暴行や強制わいせつレベルに達していないと、法的な保護の対象にはなりません。
  • 今後の動き: 現在の対象(約500本の法律)は狭すぎるという批判があり、原則すべての法律違反を対象とする「ネガティブリスト方式」への改正を求める声が出ています。

2.通報先の3つのルート

通報先によって、保護を受けるための条件(ハードル)が異なります。

ルート 種類 特徴・条件
勤務先 内部通報 組織の自浄作用を期待する最も基本的なルート。
行政機関 外部通報 警察や監督官庁など。噂話ではなく証拠や確信が必要。
外部機関 外部通報 報道機関や消費者団体。証拠に加え、「内部通報しても調査されない」等の追加条件が必要。

3.なぜ外部通報はハードルが高いのか

  • 基本的には組織の自浄作用に期待しているためです。
  • 内部通報に誠実に対応できるかどうかは、その組織の価値を測る指標にもなります。

【まとめ】 現状の公益通報制度では、ハラスメントなどは犯罪レベルでない限り保護の対象外ですが、組織の自浄能力を高めるために内部通報をどう活用するかが重要視されています。

すなわち、現行の公益通報制度は、通報へのハードルが高く(犯罪レベルのものしか通報できず)、また通報者保護も不十分であることがわかる。

 

 

5月11日(月)、甲南大学との第三回目の調停が行われました。また、お蔭様で、Change org署名が6,000筆を突破しました。

5月11日(月)に、甲南大学との第3回の調停が行われました。また、本事件の当事者で現学長の中井伊都子氏は、われわれの訴えを無視し続け、何らの回答もせずに3月末に退任しました。その一方で、皆様のお蔭で署名は順調に増え続け、6,000筆を突破しました。この数は今や甲南大学の学生数を越えようとしています。

この間の調停における甲南大学の姿勢は相変わらず不誠実なものですが、今後も私たちは、本調停において、何度でも、被害学生を「指導死」させた経緯、甲南大学のその後の対応の不誠実さや文科省の度重なる「指導」も無視し続ける態度をさらに明らかにし、甲南大学の新執行部に前執行部の過ちを認めさせ、しっかりとした謝罪をさせたいと考えています。

今後、甲南大学新執行部のより誠実な対応と謝罪を勝ち取るべく、皆様のご協力でさらに署名数を積み増し(次の目標10,000筆)、遺族と代理人をより一層支援する態勢を強化したいと考えています。本署名の再度の拡散に向けた皆様のご協力をどうぞ宜しくお願い致します。

署名発信者

”はぐくみネット” NPO法人化、キックオフイベントも開催

このブログでも以前から紹介してきました、看護学生へのハラスメントの問題を扱ってきた、”全国看護学生はぐくみネット” https://change-school.org/ NPO法人が設立され、記者会見が行われました。以下はそのニュースがNHK全国版で流れたときの様子です。

本ブログ管理者もこの団体については、初期から関わらせて頂き、メンバーの一員でもあります。

☝ NHK報道記事(pdf)です。

この設立を記念しアピールするためのキックオフ講演会も3月末に開催されます。看護学生や看護教員の関係者の皆様、及びアカデミックハラスメントに関心をお持ちの方々の積極的な参加を希望します。

なお、会場はJR 東海道線穂積駅(岐阜駅から大垣方面へ2駅)から南西へ徒歩10分です。

2月2日(月)、甲南大学との第一回目の調停が行われました。また、お蔭様で、署名が5,000筆を突破しました。

現在、甲南大学抗議学生自死事件に関連し、Change orgの署名を進めています。

署名ページ:https://c.org/ZJhtZLwsz4

その現状報告と2月から始まった甲南大学との調停についてお知らせします。

【神戸地方裁判所】

2月2日(月)に、甲南大学との第1回の調停が行われました。また、本事件の当事者で現学長の中井伊都子氏の退任時期も3月末に迫っています。皆様のお蔭で、署名数も5,000筆を突破しました。

今後私たちは、本調停において、自死に至った経緯や甲南大学の対応の不誠実さをさらに説明し、しっかりとした謝罪をさせたいと考えています。中井伊都子氏の無責任な退場は許すつもりはありません。

この調停において、出来れば中井氏在任中に、甲南大学のより誠実な対応と謝罪を勝ち取るべく、さらに署名数を積み増し、遺族と代理人を支援する態勢を一層強化したいと考えています。本署名の再度の拡散に向けた皆様のご協力をどうぞ宜しくお願い致します。

本ブログ編集者、署名発信者

甲南大学学生自死事件 文科省から新たな回答を得ました。

内閣が変わったので、新たな(文部科学大臣)に通知文を出していましたが、このほど以下が回答がありました。これまでと同じように、甲南大学に対し、遺族への丁寧な対応を要請しています。

 前記事にもあるように、10月末、遺族は神戸地裁へ調停申請をし、来年1月に調停が始まる可能性があります。このような要請をずっと受けているにもかかわらず、調停申請に関する朝日新聞の取材への返答にも誠意は見当たりません。すなわち、「相談を受けた当時から可能な限りの対応をとってきた、大学の対応に問題は無かった」と、一辺倒の回答を繰り返しています。
朝日新聞digitalの記事(11月19日掲載):
 現在本件のChange org署名(https://c.org/mcdnPKZ4V8)を続けています。文科省の度重なる要請を無視し続ける甲南大学に対し、真に誠実に「学生の死」に向き合うよう、この署名への賛同と拡散をお願いしています。署名数がどんどん伸びれば(12/1現在1500筆超)申請した調停を強力にバックアップするものになります。宜しくお願いします。

甲南大学抗議学生自死事件遺族、甲南大学に謝罪と損害賠償を求める調停申し立て

11月20日付け下記朝日新聞記事(朝日新聞大阪本社版朝刊より引用)の通り、神戸簡裁に調停を申し立てました。今後については進展が有り次第、また報告させて頂きます。

またAsahi Digitalにおける記事は昨日19日夜、既に掲載されました。

https://digital.asahi.com/articles/DA3S16347774.html?iref=pc_ss_date_article

pdf:消えないデマ、大学の責任は 自死した学生の母親が調停申し立て

甲南大学学生抗議自死事件、文科大臣が変わったため再度通知文書を作成し、文科省に送付しました。

高市政権発足により文科大臣が変わったこともあり、再度文書を作成し、文科相に送付しました。11月5日発送しましたので、もう着いていると思われます。

以下送付文書です:

                                   通知書(引き続きの対応の要請)

松本洋平文部科学省大臣 殿

前略 私は、神戸市東灘区にある私立甲南大学(学校法人甲南学園が設置)に通学していた●●の母〇〇の代理人をつとめる弁護士です。

平成30年3月、当時甲南大学一回生であった●●が所属していた同大学の〇〇部の部長及び前年度の部長が、●●が〇〇部において出店した学園祭の模擬店で売上金を横領した等という事実無根の名誉棄損情報を流し、根拠なく強制退部としました。この名誉毀損情報は、学内の数多くの文化部、文化部に所属する学生、さらには他の学生のほか、他大学の団体にも拡散し、●●は、多数の見知らぬ他者からの心無い中傷を口頭やSNSで受け、本人にとって大切な「信頼」という財産をぶち壊され、将来の社会的生命を絶つ取り返しのつかない事態を招きました。甲南大学は、当時、●●本人から相談を受けていたにも関わらず、適切な名誉回復措置をとらず、さらには、●●が当該名誉毀損情報の拡散がハラスメントであると申立をしたにも関わらず、大学のキャンパス・ハラスメント委員会はこれに該当しないと誤った判断をしたこと等から、●●は、平成30年10月に、抗議の自死に至りました。

【要望の趣旨】

 令和4年3月14日付で、御省から当職宛に「大学に対し、御遺族に対して丁寧に説明することなど、真摯に対応するように要請しております。こちらの要請に対して、大学からは、丁寧に対応していくとの回答をいただいております」とのご連絡をいただいており、令和7年9月22日付で御省の文書においても、大学から説明を受け遺族に丁寧な対応を行うよう改めて要請したとありますが、本日現在、未だに大学側からは、何の連絡もありません。

  • ●及び〇〇に対し、大学が真摯に事実関係を調査の上、謝罪するよう指導をしていただきたく改めて要請します。なお、この件について、母〇〇からのコメントがありますので、添付します(●●を被害学生と表記しております)。

 ※本要請に対する文部科学省についてなされた対応や文科省の考えを、本書到達後2週間以内に書面でご回答下さい。