大学教員採用時ハラスメント処分歴の調査・確認・対処徹底の動き!現教員、特に幹部(執行部)教員へこの動きを速やかに拡大すべき!?(2)

大学教員採用時ハラスメント処分歴の調査・確認・対処徹底の動き!現教員、特に幹部(執行部)教員へこの動きを速やかに拡大すべき!?(2)

民間のDBS議論

NHKの解説記事

https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/487681.html

によれば「日本版DBS」とは、子どもと接する職業に就く際、性犯罪歴がないことの証明を求める新たな仕組みであるとされている。(以下記事から、文章と図面を引用)、、、「DBS(=Disclosure and Barring Service)」はディスクロ―ジャー・アンド・バーリング・サービス、前歴開示・前歴者就業制限機構の略で、それぞれの単語の頭文字をとって「DBS」と呼ばれています。子どもに接する仕事に就く人に性犯罪歴がないことを確認する制度で、すでにイギリスで導入されています。
 制度の概要は、まず子どもに関わる職業や活動を行う事業者が就業を希望する人の承諾を得てDBSに性犯罪歴などのチェックを依頼します。DBSは裁判所や警察の情報などを照会し、仕事に就きたい人本人に証明書を発行。事業者にも通知します。これによって性犯罪歴がある人の採用を未然に防ぐことができます。

現在のところ、子ども家庭庁の有識者会議から制度の方向性を示す報告書が出された段階であるが、議論が煮詰まらず先の国会での法案提出・成立には至らなかった。今後議論を詰めるべき課題としては、制度の対象をどの範囲まで広げるか、或いは過去の犯罪歴を遡るとき、どの時点まで問題にするのかなどがある。

これらの資料を見ると、制度適用の範囲として1)教育に関する職種(いわゆる教員から関与する事務職員、雑用係まで?)と2)「性犯罪の中身」(通報、不起訴・起訴、執行猶予、無罪・有罪)についての慎重な議論と線引きが必要になると考えられる。その一方で、大学教員についてはどうあるべきなのか?われわれの見解は

新採教員のセクハラ歴のチェックだけで十分か?大学版DBSの導入を!?

というものである。以下その方針と理由を説明する:

具体的には、この調査・確認・対処方針を次の3つの方向に拡張すべきである:

1)新たに教員として採用しようとする人をチェックするなら、その前にチェックする側、即ち全ての国公市立大学現教員のハラスメント調査を並行してやり、結果を公表すべきである。

2)特に(まずは)全所属教員を「管理指導」する立場の執行部メンバーのハラスメント履歴を丁寧に調査し、結果を速やかに(一般教員の結果より先に)公表すべきである。何故なら、執行部教職員は、教育・研究者としての高い実務能力に加え、高度な管理能力と道徳的規範や倫理性が求められる立場にあるからである。また公的・私的に発言する機会も多くその社会的影響力は無視出来ない。まさに、鯛は頭から腐るからである。

3)そして、ハラスメントの処分歴のある者は言うまでも無く、以前通報されたもの、疑わしい事例に関与したものへは、過去事例の徹底再調査をさらに進め明確なハラスメント行為が確認された場合は、直ちに辞職勧告を行うべきである。

 即ち、新規(若手)教員の採用時に前歴を調査し選考の基準の一つに使うなら、まずは今大学に籍のある教員・研究者がその資質に関し自ら点検する姿勢が必要である、と考えられる。なぜなら、このブログでも散々指摘してきたように、現教職員によるハラスメントにより、日々学生や教職員の被害者が再生産され続けており、自死事件も度々起こっているからである。さらなる問題は、次の点である:文科省の「指示」により、全ての大学でハラスメント相談を受け付ける機関や相談について「審議」する組織は一応設置されているが、現場の声を聞くと、事実上機能していない場合が殆どである。原因は「加害者」の抵抗により、「審議会」で問題が棚上げにされたり放置されている間に、被害者学生・教職員は卒業・自死・強制退職していき、加害者側はハラスメントがなかったことになるという状況が再生産されている。この意味で、残念ながら大学にはこれらの問題に関し、当事者能力は皆無で、その状況を解決するための第三者委員会は大学では殆ど設置されない。また時々噂を聞く、大学の学長選考に関する派閥争いや軋轢は大規模なパワーハラスメントの格好の舞台であり、大学全体の力が著しく削がれていることも多い。

 ハラスメント問題に関して大学という知の殿堂、或いは高い教育理念を持つ組織にふさわしい当事者能力を絶えず形成・更新して行く第一歩として、まずは自らのハラスメント履歴の点検・公開・それに基づく処分を早急に進めるべきである。近い将来、この面での大学の姿勢が研究成果や学生・大学院生を育てる実績以上に、受験生・保護者のみならず社会から評価されるときの重要な指標となると考えられる。或いは大学評価の重要な位置基準になると考えられる。

 このことは、多くの会社・メーカーの社会的評価が色々な面(原材料の調達・サプライチェーン、廃棄物排出が及ぼす環境影響、労働者の働き方・広義の労働条件など)で人権を尊重する姿勢が一貫しているか、で議論され始めているのと対応している。