甲南学園から「回答」届く

引き続き甲南大学についての投稿が続きます。

代理人弁護士によると「申し立ての前段階として、最終の通知を甲南側に送付しましたが、先ほど返事がきました」ということです。

 甲南学園の代理人からの連絡は

「本学としての一連の対応において不適切な点があったとは考えておらず」、これを「前提とするこのたびの各申し入れにつきましては、お請けすることはできません」

というものでした。

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 2017年(平成29年)甲南大学入学式の時点では、甲南大学の「朗らかに」という言葉とKONAN♾無限大の校章を見聞きし、親子してこれからの将来へ♾の可能性を信じていた。
 まさか1年後に、真面目に活動したが故に、逆に「部活上級生パワーハラスメント」、更には「大学組織による事件隠蔽のためのアカデミックハラスメント」という、とんでもない人権問題に自分達が被害者として遭遇し、救けを求めた大学ハラスメント窓口の暴言に疲弊し、息子が名誉毀損への抗議自死に追いやられ、最愛の息子への弔意もなく、大学によって真実さえ捻じ曲げられ隠蔽されるとは。まさに悪夢としか言いようがなく、できることなら、甲南大入学以前に時間を巻き戻したい。

(写真は、甲南大学2017年4月1日入学式におけるクラブ紹介の様子)

現在日本各地の大学で報道されているハラスメント被害はおそらく氷山の一角に過ぎない!
 被害者遺族になった後で知ったことだが、(2017、1/12河野太郎氏ブログ記載既に2017年、文部科学省には大学ハラスメント実態調査の必要が指摘されているが、現状の細かい調査は行われていない。大学ハラスメント対応窓口に被害を申し出た被害者の大半が窓口で相談を握り潰されたり、加害者側からさらなる不利益を被り、ハラスメント被害が長期化することで解決が難しくなり、自殺に追いやられた悲惨な事例は後を絶たない。そして「全国学校事故を語る会」を通じて知った更にショッキングな事実は、学校側の主張によって遺書が無いこと等を理由として「明らかに自殺」であっても「変死」として闇に葬られ、被害者としてその申し立てもできず泣き寝入りを強いられている遺族さえいるという実態である。
 失意のどん底で被害者遺族は、やむなく民事訴訟を起こす羽目になる。加害者側に無罪判決の出るリスクを背負った長期間の裁判に気力を奪い取られつつ、最愛の子供の尊厳を守るために命がけで闘っている被害者遺族達の声に日本の社会はもっと耳を傾けてほしい。
 「学生間のハラスメント」及び「学校組織によるハラスメント隠蔽」は、命さえ奪う犯罪行為であり、社会全体の問題である。現日本では、先進国として学生をハラスメント被害から守る人権擁護システムが整っていない。ハラスメントを隠蔽し学生を自死に追いやっても、その大学職員には何の制裁も無いばかりか昇進が約束される。そして有ろう事か、その加害当事者が、大学のみならず、国を代表するリーダーとして特別な理由もなく「国連の人権委員」に就任していることは、日本人として恥ずべきことであると思われる。

 われわれは、今後の対応も見据え、これまでの記事「甲南大学の学生自死事件、その後 (1)~(5)」の中で、匿名扱いをしていた甲南大学事務部門の何名かにつき、実名掲載へと踏み切リました。詳細は、お手数ですが、各記事、特に(1)の再読をお願いしたいと思います(2021年7月10日)

【『甲南大学のハラスメント・2018被害者学生自死事件』を2021年国会の場で問う】

これに先立つ5つの記事(甲南大学学生自死事件 その(1)~(5))に続き、本記事では、5月に本事件が国会で取り上げられたことについて、その経緯と審議内容などをやはりご家族の手記の形で報告する。この国会審議の詳細は今でも「参議院インターネット審議中継」ホームページ・2021、5・13文教科学委員会で視聴できる。

(参議院での質疑の様子)

 一連の前記事のように、自死学生に関わったハラスメント当事者たちに反省の色は全く無い。このままでは甲南大学の営利優先・隠蔽体質の中、「ハラスメント自体が無かった」、「大学に問題がなかった」、と個人の被害は組織力に踏み潰され、泣き寝入りで終わらされてしまう。被害者である息子の尊厳を守るためには、「国に社会問題として発信できる精鋭」に母の生の言葉で訴えるしかないと考えた。

息子が大阪の中学高校に通学していたことから、私的には無党派であるが、信頼できる人物として、地元大阪の辻元清美議員に声をかけた。甲南大学被害者学生・母としての自分の身元を知らせ、やり取りを繰り返すことにより、辻元清美事務所に当事件を社会問題として認識してもらうことが出来た。辻元清美衆議院議員の国会での所属は予算委員会であるため、文教科学委員会委員の石川大我参議院議員に本件を取り次いでもらい、石川大我事務所にも当事件を社会問題として認識してもらうため、石川大我議員と母が直接zoomで対面することになった。石川議員と母の対話において、私立・甲南大学ハラスメントに毅然と闘った当時の息子の頑張り、事件発生から現在に至る緊迫した状況、母親の必死の思いをストレートに受け取ってもらえたと感じた。

そして、2021年5月13日、石川大我議員からの発信により、国会の場で「教育研究機関である大学におけるハラスメントや、学生間のハラスメントは、決して許されるものではない」との再認識がなされた。

「2018年甲南大学学生自死事件と当該大学におけるハラスメント横行と被害者学生への大学対応の現状、今後の文科省から大学への対応について」に関する石川議員の質疑は以下の内容である。

(石川議員)

「小中高にはいじめ防止法と学校側と被害者側それぞれから委員を選ぶなど公平中立性が確保された第三者委員会設置等のガイドラインがあり、社会人にはパワハラ防止法の制度があるが、大学生の部分だけすっとそのシステムが抜け落ちているため、ここへの手当てが必要です。大学生間のハラスメントに対する文科省から講ずべき通知、法制度が現在不十分ではないでしょうか。これまで私立大学は各大学の自主自立に任されておりハラスメント委員会の共通の設置基準が無いため、酷いところになると、大学に学生が相談しても、大学側が問題を解決するというよりも逆にハラスメント委員会の中で握りつぶして外に出ないようにする役割をはたしてしまうということがある、残念ながら大学の保身ということもあるといった話をよく聞きます。当甲南大の件も、この男子学生は一人でかなり頑張って、横領をでっち上げた部長に謝罪文を書かせ強制退部と他部への入部拒否の要請を撤回させたが、甲南大学の事実公表文掲示は無く、結果的にハラスメント偽情報放置で被害者学生の名誉回復には至らず、更には、被害を訴えたハラスメント委員会で大学側は『これはハラスメントに当たらない』としたばかりか、逆に当人に問題があったかのような発言で被害者を追い込んでいきました。当ハラスメント委員会のメンバーの中身は、副学長、学生部、学生室事務部、総務部の部長、学長が指名する選任教員で構成されていて、全て大学内部の人員で済まされています。こういったハラスメント委員会ではダメで、ハラスメント委員会の議事録の公開や学外の専門家を含むなどの客観性、中立性がどのように担保されたのかなどの疑問が残ります。

やはり文科省としては何らかの法整備を求めていく必要があるのではないか、そういった時期に来ているのではないでしょうか」等の鋭い質問・追及が行われた。

伯井文部科学省高等教育局長上写真)からは、

「大学でのハラスメント対策について、文部科学省としても指導教員の能力の強化と、学外での民間相談窓口、ハラスメント被害は大学を通さずに相談できるような制度を横展開していきます」。という内容の発言があった。

また、萩生田文部科学大臣(下写真)からは、

「教育研究機関である大学においてハラスメントはあってはならない。(中略)ご指摘のように学生間のハラスメント対応は法の外に置かれてしまっている。そうは言うものの、ちゃんとしてくださいねという概念は法律上にはあるのですが、私は就任以来、日本の最高学府の大学ですから、自主性、自立性、独立性を重んじて、あまり箸の上げ下げみたいなことは言わずに、色んなことを信頼して今日まで一緒に仕事をしてきたのですが、そうでもないなと思うことが沢山ありまして、かなりきめ細かく言わないとなかなか対応していただけない部分があるなと感じております。今回のご指摘は極めて重要でありまして、他大学の事例事件事案などで、こういった事には気を付けましょうという事を含めて何らかの形で国公立・私立含めてすべての大学に同じ問題意識を持ってもらうようなそういう方針をしっかり立ち上げて、話し合いをしていきたいと思っております」。との答弁があった。

更に石川議員からは、文科省の取り組みとしてのアンケートに関する質問に合わせ、

「甲南大学ハラスメント委員会での議事録詳細は自殺した学生への聴取録以外は非公表で、調査をした教職員の肩書や名簿も非公表。大学の規定では外部専門家の出席をさせることが出来ると記載があるが、残念ながら今回外部の専門家が入った形跡がない。ヒアリングの中でご遺族は『今回の大学の対応自体がハラスメントであった』とおっしゃっています。この学生は遺書の中で『自殺の原因は(中略)甲南大学の対応も遅く私は限界となりました』という言葉を残して自死しています。お母さまとのお話の中で『最初、母の私も死のうと思った。けれども、甲南大学組織に抗議した息子の意志を受け継いで、母である私が大学ハラスメントの事実を社会に伝えることが息子の尊厳を守ることになる。そのために生きようと思った』という言葉が大変印象的でした。当然そういった意味で、これから目指す方向は大臣と一緒だと思いますので、一緒に歩んでいきたいと思います」。

とのコメントがあった。

また、「現在、大学へのハラスメントについてのアンケートの内容では、学内におけるハラスメントの防止を実施している大学は99.7%という調査が出ておりそれ自体は良いのですが、今お話をしたような問題があります。文科省の取り組みとしての大学へのハラスメント防止対策調査のアンケート内容は現在ざっくりとした3項目しかなく、例えばハラスメントの調査をする人間が学内だけなのか学外も入るのか、議事録の公開などによる調査の公平中立性の担保の方法なども含めて、調査等へのもう少し細かい内容の法的な調整が是非、必要ではないでしょうか」との指摘を行った。

(萩生田文部科学大臣)

それを受けて、萩生田大臣からの答弁は、

「文部科学省では、隔年で大学に調査を行っていますが、ご指摘のように第三者委員会窓口の設置状況等については現在調査に含まれていません。私は、一義的には学校が責任をもって対処すべきであると考えますが、他方、ご指摘になったように、たとえば学内での不名誉な事案については学校の評判が落ちるなどということで、できるだけ内部で穏便にということで表面化しないで、結局どなたかが泣き寝入りするという事例が今までもありました。したがって、学校関係者じゃない人に相談をしたいという学生のニーズもありますので外部の法律の専門家などに気軽にアクセスができる仕組みというものが今後必要になってくると思います。ぜひ次の機会から第三者窓口の設置について、その設置状況を項目に入れてヒアリングをしていきたいと思っています」。

というものであった。

この様子詳細は、「参議院インターネット審議中継」のホームページ・2021、5・13文教科学委員会、立憲民主党、石川大我議員検索で視聴可能。大学に関する他の問題等も審議されている。