20年間続くパワーハラスメント(甲南大学)(5)

まず、2022年に発生したパワハラ事案のこの間の経緯を簡略にまとめると:

1.2022年9月末、子供の手術で(講義の)担当者会議 (年2回前期と後期の初めに、昼休みの30分間行われる毎回同じ内容の会議) に欠席した件で、非常勤講師Sさんに、脅迫メールの送信と共に、15分に亘り暴言を吐き続けたK教授のパワハラ事案発生ー記事(4)参照

2.10月中旬、パワハラを受けた非常勤講師Sさんが学校側に報告

3.学校側の相談手続きを経て、11月末、Sさんが正式に監査部にハラスメント調査を申立てる。

4.2023年1月末、K教授の行為に対し、学校の調査チームによるパワハラ認定が行われた。

5.2月初め、K教授が不服申立て

6. 不服申立てによる再調査開始

7.6月中旬、再調査により、再びパワハラ認定

8.ハラスメント対応委員会設置

9.9月中旬、再発防止策が決定、パワハラ被害者のSさんに通知、一段落へ。

事の発生から一段落するまで、1年という長い月日がかかりました。

 ここまで長引いたのは、調査チームの「パワハラ認定」に対し、K教授が不服申立を行ったからです。この不服申立により、再調査チームが作られ、振出しに戻ってまた一から調査する局面になったとか。そもそも、K教授には、自分が非常勤講師にやっている行為がパワハラに該当するという認識が欠如しているので、不服申立をするだろうと予想はしていました。しかし、K教授の不服申立から再調査チームの「パワハラ認定」までかかった時間は、何と4か月(23年2月から6月)です。慎重を期するというのは重々承知の上でも、その間の被害者Sさんの心境はどんなものだったのでしょう。今まで何度もパワハラ事案で学校を騒がせ、裁判で平気で嘘を付くような人物の不服申立に、再調査の必要性が果たしてあったのだろうか率直に疑問に思います。

 4か月にも亘る再調査が終了し、6月に、再び「パワハラ認定」が下されてから3カ月が過ぎました。その間、「ハラスメント対応委員会」が設置され、再発防止策について議論が行われたようです。その内容について、9月中旬、Sさんに大学側から再発防止措置についての説明があり、書面を渡されようやく一段落しました。

学校側が提示した再発防止措置の大まかな内容は以下の通りです:

「パワハラ行為を繰り返しているK教授には、非常勤講師の採用や委嘱、時間割編成に一切関わらないものとする担当者会議にも出席できない。非常勤講師との直接の連絡・応対は禁止

 会議にK教授を出席させないこと、教授のポストにありながら採用や時間割編成を出来なくさせること等、学校側の苦悩が垣間見れるものと言えるでしょう。しかし、これらの項目が、いつまで、どのレベルまで守られるかに関しては、今後も注意する必要があります。

 何故なら2007年のパワハラ事案発生後、大学側は「非常勤講師との直接の連絡・応対は禁ずる」と約束しましたが、全く守られなかったからです。K教授はいつの間にか完全復活し、やりたい放題で、学校側も見て見ぬふりでした。

 果たしてK教授のパワハラ問題が、決着付く日は訪れるのでしょうか。K教授はこれまでの20年間同様、いずれ学校の目を盗んで、何等かの形で、弱い立場の非常勤講師にハラスメントをするに違いありません。K教授が完全に退場するまで、終わりのない戦いのような気がします。

 それから何よりも再発防止のために必要なのが、「ハラスメントの厳罰化」だと強く思います。K教授は「おれが非常勤講師をいじめても、どうせまた厳重注意で終わるだろう」と思っているからこそ、20年以上ハラスメント行為を続けられたのでしょう。2007年の1回目のパワハラ事案で、学校がきちんと対応し、「厳重注意」ではなく、もう少し厳重な処分をしていたならば、その後の被害者の数はここまで多くなかったと思います。その後のパワハラ裁判で敗訴しても、学校側はK教授に「厳重注意」しかしていない事実、世間離れしているこの軽い処分をしてきた学校側は、「パワハラを野放しにしている大学」という不名誉なレッテルを貼られても仕方がないでしょう引っ切り無しにパワハラ行為を繰り返し、大学の名誉を大きく傷つけたK教授に、今回こそ、パワハラ言動に相応しい処分を下してほしいと思います。今後の処分内容に注目すべきです。

 今回、大学側が、ある程度踏み入った再発防止措置を講じた背景には、K教授のパワハラ行為に遭っても、只泣き寝入りせず、勇気を出して学校や労基署に告発して下さった数人の非常勤講師の方々がいたからだと考えます。パワハラ訴訟を起こし、3年間、壮絶な戦いをした先生がいたからです。この蓄積があったからこそ、大学側も、もう野放しにはできないと判断したのだと考えます。

 今後、今までハラスメントを見て見ぬふりをしてきた甲南大学が、パワハラK教授にどんな処分を下すか、どのように生まれ変わるのか、引き続き注目していきたいと思います。