最近のアカデミックハラスメント例 (2)

【沖縄県立芸術大学】

 2019年6月18日付けの記事

https://digital.asahi.com/articles/ASM6L5TZ4M6LTPOB003.html?iref=pc_ss_date

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/434512

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/434738

によれば、沖縄県は県立芸術大学の教授を減給1/10 3ヶ月の懲戒処分にしたと発表したという。理由はアカデミックハラスメント、パワーハラスメント、セクシャルハラスメント(の全て‼?)を行ったということらしい(「被害者が特定される」との理由で処分者の詳細は公表されず)。

 記事によれば、大学によると、教授は授業を受ける学生に対し立場を利用したり教育的配慮を欠いた言葉を言ったり、授業を補佐する非常勤講師に不快感を与える態度や言葉を投げかけたり、不特定多数の教員らに性的な言葉を吐いたりしたという。201711月、学生が大学に相談して発覚。調査の過程でパワハラやセクハラの被害申告があったという。比嘉泰治学長は「誠に申し訳なく、再発防止に努めます」とのコメントを出したという。

 また最近の記事(2019年9月11日付け)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/470034

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/470040

によれば、学生にアカでミックハラスメントをしたとして別の教授が減給処分1/10 1ヶ月を受けている。この件も被害者特定の恐れを理由に、教授の氏名や性別などを明らかにしていない。

 大学によると、教授は特定の学生に能力を否定するような発言をしたという。本人だけでなく、周囲に対しても学生を否定するような不適切な発言があったらしい。2018年2月に学生が被害を申し立てた。大学は調査を進め18年末までに被害を認定。処分発表までに9ヶ月を要した理由を「手続きの都合」と説明している。被害にあった学生はすでに卒業、教授は謝罪したという。

 ところで、大学のホームページでハラスメントに関する取り組みを見てみると相談窓口の案内も丁寧であり、申し込みはメールで可能で、随時相談が周りから知られない場所で行うとされている。平成29、30年度からはハラスメントに関するアンケートの集計結果(参考のため下記に引用)も掲載されており、評価できる(但し回収率は20 %以下ではあるが)。これらの努力は比較的頻繁に様々なハラスメントの告発と処分が行われるという形で実を結んでいると言えるかもしれない。

ハラスメント学内アンケート H29年度

ハラスメント学内アンケート H30年度

 OISTと沖芸大の例を考えてみると、人権侵害(ハラスメント)についての、ネット技術を駆使した全学的アンケートのようなものを学生や一般教職員の側から組織し、力を合わせてハラスメントの実態や隠蔽工作を暴いていくことも可能かもしれない。但し、結果を当局に通知する際、報告・告発により不利益を被らないことを当局に約束させることが不可欠であるが、、、。

【北里大学】

 学校法人北里研究所は、教育職員の男性(53歳)に3ヶ月出勤停止の懲戒処分を科したと発表(2019年2月15日付)*1。発表の中で、処分理由として、「被処分者は、所属する講師ならびに学生に対し、勤務形態、研究室運営、研究活動等の様々な局面で非違行為を行った」として、「その言動は、研究・指導・教育という業務上適正な範囲でなされるものではなく、発言自体その表現において許容限度を超え、著しく相当性を書くものであり、精神的・身体的苦痛を与え、研究室や教室内の環境を悪化させ、働く権利、就学上の権利を侵害した」と説明している。

 内容が具体的でなく解りにくいが、担当者によると、他の大学から来た教員が以前からその研究室にいた異なる研究を行ってきた教員や学生に自身の研究を強要するような行為が、「許容限度を超える」発現や行動によってなされたもののようである。被害を知った大学側がヒヤリング調査を実施して、その男性教員に対し、「再三注意してきたが改善が見られなかった」ため今回の処分となったらしい。

 多分この事件を受けて大学当局は4月1日付で『ハラスメントは許しません!!』と題する通達?を出している。また、平成20年(2008年)4月1日には『人権侵害防止宣言』が制定され、その後も相談体制を整備しつつ『人権侵害(ハラスメント)防止のためのガイドライン』、『人権侵害防止委員会規定』、『人権侵害防止相談員細則』などを制定して取り組みを進めてきたようであるが、今回の事案は防ぎきれなかったようである。文書を制定し体制を整備する(今ではどこでもやっている!?)だけでは、それらのまともな運用が保証されないことには十分注意すべきである。組織構成員の絶えざる学習(研修)とハラスメント撲滅への自覚的な点検と相互の注意喚起等が日常的に要請される。

*1 https://j-cast.com/2019/02/18350648.html?p=all