愛知教育大学でパワハラ 50代男性教授を懲戒処分

 中京テレビのニュースを引用したyahoo newsの記事*によれば、この2月20日、愛知教育大学(愛知県刈谷市)の50代の男性教授が学生へのハラスメント行為で、停職6週間の懲戒処分を受けたということです。

 男性教授は、2017年、複数の学生に対し、指導に従わなかったなどとして罰金を要求したり強く怒鳴ったりしていたほか、パンの購入を要求したり、本人の了解無く他の学生に個人情報を話したりしていたらしい。大学の調べに対し教授は「深く反省している」と話しているということです。

 愛知教育大学と言えば、愛知県、広くは東海地方一円に、初等中等教育の教員を長く多数輩出してきている大学である。それにしては、今回のハラスメント事案は結構稚拙で、教員養成課程の教育者としてはその資質が疑われざるを得ない気がする。ハラスメントによる精神的苦痛が余り無かったのか、処分が著しく軽いことが気になる。

 大学のホームページを見てみると、キャンパスライフ>学生生活案内のところに「ハラスメントの防止」という項目があり、ガイドラインと相談窓口についての比較的丁寧で具体的な解説・案内がある。「ガイドライン」などは2006年前後に制定されたようであるが、今日に至るまでの具体的な取り組みの経過はよく解らない。この件についての大学の公式な発表も見つけることができなかった。

*https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190220-00010013-sp_ctvl23

早大でまた教授解任、学生にセクハラ、職員へのパワハラも

 産経新聞の記事*によれば、早稲田大学は2月15日、学生へのセクハラや職員へのパワハラを続けていたとして、商学学術院の50代男性教授を同日付で解任したとして発表した。

男性教授は事実関係を認め「ハラスメント行為をして反省している」とはなしたという。

 早大によると、男性教授は平成27-29年、自分のゼミで複数の学生に対する性的発言や身体接触などのセクハラ行為を繰り返し精神的苦痛を与えた。また並行して25-30年には、複数の大学職員を大声で罵るなどのパワハラ行為をしていたということである。2018年5月、被害を受けた学生から大学側に訴えがあり発覚。調査の過程で職員への行為も判明したらしい。

*https://www.sankei.com/smp/affairs/news/190215/afr1902150042-s1.html

 このブログでも取り上げたが、早大は昨年7月にも、教え子の女性にセクハラをしたとして60代の男性教授を解任している。早大は「再発防止に向けた取り組みを一層強化する」としているが、これらの事案に現れている「ハラスメント体質」はかなり根深いものがあるのではないか。今後、真の「再発防止に向けた取り組み」が問われることになりそうである。以下に大学当局による公開文書(Information)を転記する。

2019年2月15日 早稲田大学

教員の解任について

本学学術院の男性教員1名を2月15日付で解任といたしました。

解任理由

当該教員について、以下の非違行為があり、教員としての適格性を著しく欠いていると判断したため。

1.不適切な言動や行為により、複数の職員に対して精神的苦痛を与え、業務遂行を著しく阻害するパワーハラスメント行為を行っていたこと。

2. 不適切な言動や行為により、精神的苦痛を与え、複数の学生の就学環境を悪化させたなどのアカデミックハラスメント及びセクシャルハラスメント行為を行っていたこと。

3. 教員としての責務を十分に果たしておらず、職務への誠実さを著しく欠いていること。

根拠規程

教員任免規則第29条第1項第4号および教員の表彰及び懲戒に関する規程第13条第1項

本学の対応

 被害を受けた学生の就学環境を悪化させ、多大な苦痛を与えたアカデミックハラスメントおよびセクシャルハラスメント行為が発生したこと、そして、職員の業務遂行を著しく阻害するパワーハラスメント行為が発生したことは誠に遺憾であり、被害を受けた学生、職員そして関係者の皆様に深くお詫び申し上げます。

 また、本学はこの事案を真摯に受け止め、ハラスメントに関する啓発活動をさらに徹底するとともに、箇所ごとにハラスメント研修を行うなど、再発防止に向けた取り組みを一層強化してまいります。

公立大学でのハラスメント (2)

横浜市立大学

 東京新聞*によれば、昨年2018年3月、横浜市立大学は、アカデミックハラスメントを繰り返したとして、国際総合科学部の50代男性教授を停職2カ月の懲戒処分にしたと発表している。またその前年2017年8月には、別の同学部50代男性教授がやはりアカハラで停職3カ月(その後不服申し立てにより2カ月に変更)の懲戒処分を受けている。

 今回の加害者は、2017年2-8月、20代の女子学生4人に、能力を否定するような発言をしたり、自らの学生時代を引き合いに出し「夜遅くまで研究するように」と指導したりした。10月に学内ハラスメント防止委員会に学生から被害申し立てがあった。この教授には過去にも複数回同様の相談があった。

 横浜市立大学は、処分についての記者発表概要が公表されており今でもHPで閲覧できる。参考のためコピーを引用する。

発表文書1

 また「ハラスメントの防止に関する規定」や「ガイドライン」が平成17年(2005年)にそれぞれ施行、制定されており、内容的にもかなりしっかりしていて、それに連動してハラスメント防止委員会がある程度機能していることが窺える。

*http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201803/CK2018032002000122.html

北九州市立大学

 5年前の平成26年(2014年)11月、1件の懲戒処分を発表している。地域創生学群の50代男性教授で、「学生に対し威圧的な指導を長期間、継続的に行った」などの理由で、1カ月 の停職処分を受けている。発表文書を添付する。

発表文書2

公立大学でのハラスメント (1)

 これから幾つかに分けて公立大学(法人)におけるハラスメント事例を見ていきたい。公立大学では、教職員は原則地方公務員であることが多く、その意味では責任を取るべき対象が(国立大学等に比べて)身近であり、教職員もより監視の眼を意識して人権感覚が磨かれそうな気もするのではあるが、、、。先ずは大阪市立大学の最近の事例です。

大阪市立大学

 昨年末の12月27日、大阪市立大学によるセクハラ等に関する懲戒処分(61歳教授、学部不明だが多分理科系、停職3カ月)が発表された(毎日新聞)*。この記事によれば「学生や教職員の女性に抱きつくなど複数のハラスメントを繰り返した」のが処分の理由で、「2011年6月から2018年5月までに、セクハラ、パワハラ、アカハラ61件があり17人の男女が被害に遭ったと認定」している。

 具体的には、「女子学生らに対し、『彼氏いるの』としつこく聞いたり、飲み会で抱きついたりした。また、学生らに講義や試験監督などを代行させ、実験で失敗した学生には『費用をバイト代で賄え』と叱責したこともあったという。2018年2月に匿名の文書が届いて発覚。3月には計5人の学生や教職員から180件の申し立てがあり、計19人に聞き取り調査をして認定したという。

 男性教授は大学の調査に「記憶がない」と一部を否定したが、「不快な思いをさせていたのであれば申し訳ない」と答えたという。記者会見した橋本副学長は、関係者へのお詫びと再発防止に努める旨話したという(処分の公式文書は大学HP等では未確認)。

大阪市立大学は、早くも平成10年(1998年)に「セクハラの防止および対応に関するガイドライン」を定め、「セクハラ防止に努めてきた」経緯があり、2001年には人権宣言2001なるものも発表している。このような先駆的な?取り組みのもとで、8年間にも渡り複数(19人からの聞き取り)の学生や教職員に対して数多く(180件の申し立て)のハラスメントを行うという悪質な事案が放置されてきたことが問題である。加害者は、以前の記事でも取り上げた教員(ハラスメント情報、2018年5,6月の記事、セクハラ常習教員(1)-(3))と同じハラスメント常習者であり、表面的な取り組みの裏でハラスメントが横行する学生や職員にとっては不幸な状況が続いてきた可能性がある。それにもかかわらず処分が如何にも軽い気がするがどうであろうか。

*https//mainichi.jp/articles/20181227/k00/00m/040/147000c

ごあいさつ・ご連絡 (9)

2019年 明けましてお目出度うございます.

このブログも何とか2年目を迎えることが出来ました.最近は管理人が皆忙しく中々新規投稿が出来ず更新のペースが著しく落ちています.申し訳ありません.新年を迎え、記事の多様化に努めつつコツコツ更新を続けて行きたいと思っています.本年もどうぞ宜しくお願い致します(管理人一同)

ごあいさつ・ご連絡 (8)

4月に投稿された記事「強引な人事潰しはパワーハラスメントに他ならない (1)(2)」に関し、関連資料を期間限定で部分公開します。これも遡って記事に添付する形で閲覧可能にしますので、興味のある方は是非ご覧下さい。

ごあいさつ・ご連絡 (7)

5-6月に投稿された記事、「セクハラ常習教員がのさばりはびこった結果組織モラルが崩壊 (1)-(3)」に関し追加の関連資料も公開します。データ1,2と同様にもとの記事に添付する形で閲覧可能にしますので、是非ご覧下さい。

ごあいさつ・ご連絡 (6)

 5-6月に投稿された記事、「セクハラ常習教員がのさばりはびこった結果組織モラルが崩壊 (1)-(3)」に関し投稿者から「関連資料も部分公開しても良い」という意志表明がありましたので、遡って記事に添付する形で閲覧可能にします。興味のある方は是非ご覧下さい。続編もあるようです。

大学職員処分について (2)

前記事に続き、次の2つの大学での最近のハラスメントに関連する処分例を紹介する.

3 茨城大学

平成30年6月1日

教員の懲戒処分に関するお知らせ

 このたび、学生に対するハラスメントを行った本学の教員を下記のとおり懲戒処分としましたのでお知らせします。
 処分事案は、平成28年11月以降、男性教員が自身の研究室に所属する当時4年次の女性学生に対し、本学在学中から卒業後にわたって繰り返しハラスメントを行ったというものです。これらは大学教員としての自覚と責任に欠けた行動によるものであり、教育機関としてあってはならないことです。本学としてまことに遺憾であり、ハラスメントを受けた方や関係の皆様に深くお詫びを申し上げます。

1.被処分者の所属等  茨城大学 教育学部 教授

2.処分の内容     停職3月

3.処分年月日     平成30年5月31日付

4.処分事案の概要
 男性教員は、研究室所属の女性学生(当時)に対し、他大学大学院へ進学することについて長時間叱責するなどのハラスメントを行った上、当該女性学生が卒業した後もSNSを利用した嫌がらせを行った。また、当該男性教員は、研究室のゼミで当該女性学生を含む学生たちに学修上不必要な衣装を着るよう誘導するような言動をとり不快感を与えたほか、当該男性教員と研究室所属の学生たちによるコンパにおいて、当該女性学生に身体を押し付けるという不適切な行為をし、当該女性学生に身体的・精神的苦痛を与えた。

4 室蘭工業大学

 平成30年7月4日

 このたび,本学職員2名に対し,以下のとおり懲戒処分を行いましたので公表します。

 〔職員1〕
 所属・職名:大学院工学研究科 教授
 懲戒処分年月日:平成30年7月1日
 懲戒処分の内容:停職6箇月
   事 案 の 概 要  :同教授は,平成28年4月から平成30年3月にかけて,同教授の研究室に所属する複数の学生に対し,不適切な指導を繰り返し,学生に過度な精神的苦痛を与えるアカデミック・ハラスメント行為を行いました。同教授の行為は,本学の信用を著しく失墜させるものであるため,国立大学法人室蘭工業大学職員就業規則第33条第1項第1号に該当することから,停職6箇月の懲戒処分としました。

 〔職員2〕
 所属・職名:大学院工学研究科 助教
 懲戒処分年月日:平成30年7月4日
 懲戒処分の内容:停職3箇月
 事 案 の 概 要  : 同助教は,平成29年4月から平成30年3月にかけて,同助教の研究室に所属する複数の学生に対し,不適切な指導を繰り返し,学生に過度な精神的苦痛を与えるアカデミック・ハラスメント 行為を行ったほか,1人の学生に対し過度な精神的苦痛を与えるセクシュアル・ハラスメント行為を行いました。同助教の行為は,本学の信用を著しく失墜させるものであるため,国立大学法人室蘭工業大学職員就業規則第33条第1項第1号に該当することから,停職3箇月の懲戒処分としました。

〔学長コメント〕
  ハラスメントを受けた学生及び関係者の皆様に対して心からお詫びを申し上げます。また,本学としてこのことを厳粛に受け止め,今後このような行為が起こらないよう,再発防止にあたっていく所存です。

 

大学職員処分について (1)

 

最近、日本国内の大学から出されたハラスメント処分例を幾つか紹介する。東洋大学については、これまでは、ハラスメント防止規定やハラスメント防止ガイドラインの制定のみで、定期的な研修も無くハラスメント相談室も設置されてなかったようであり、取り組みは不十分であったと言わざるを得ない気がする。「根絶宣言」以降の取り組みを注視していきたい。以下の2大学のケースは両者とも処分が極めて軽い気がするが、両事案ともその詳細が不明であり(加害者の教員は依然として匿名)判断の仕様が無い。被害にあった学生(大学院生)諸君は無事卒業(修了)出来たのであろうか?

1 東洋大学

平成30 年2 月16 日/学校法人東洋大学

懲戒処分の公表について

 学校法人東洋大学では教職員の懲戒処分を行いましたので「学校法人東洋大学ハラスメント防止ガイドライン」に基づき下記の通り公表します。

記(事案の概要)

 平成28年ころ、生命科学部教授(男性・40歳代)が、同教授の研究室に所属する複数の学生に対し、卒業論文にかかわる研究指導の過程で人格を非難したり、屈辱を与えるような高圧的な発言やメールを繰り返したりすること等により、研究室内の研究環境や学生の就学環境を悪化させ、一部の学生は心身不調になるなどの悪影響を及ぼすアカデミック・ハラスメント行為を行った。

 これらの行為は、東洋大学就業規則第48 条第1項第6号(本学の信用を傷つけ又は名誉を汚す行為)及び就業規則第48 条第1項第8号(ハラスメント行為)に該当するものであり、以下の懲戒処分を行った。

(処分量定及び処分年月日)

・処分量定   降給(1号俸)及び譴責

・処分年月日  平成29 年8月16 日

(所属、職位等の被処分者の属性に関する情報)

・被処分者   東洋大学生命科学部教授(男性・40 歳代)

 なお、本処分の決定に伴いハラスメント防止対策委員会委員長である東洋大学学長及び東洋大学生命科学部長に対し厳重注意を行うとともに、本件に関する被害者らに対する不適切な対応及び事務的な連絡の不備があったため人事部長及び人事部次長に対し厳重注意を行った。

ハラスメント根絶宣言

 学校法人東洋大学(以下「本学」という。)では、従来から「学校法人東洋大学ハラスメントの防止等に関する規程」及び「学校法人東洋大学ハラスメント防止ガイドライン」を制定し、あらゆるハラスメントの防止と排除に取り組んでまいりました。しかしながら、依然として深刻な事態が生じており誠に残念であります。

 ハラスメントは、人権を侵害し、個人の尊厳を損ね、学生や生徒等の学ぶ権利及び教職員の働く権利に重大な障害をもたらす行為であり、絶対に許されるものではありません。構成員一人ひとりがハラスメントに関する知識を深め、相手の人格を尊重するとともに、ハラスメントの加害者にならないことを強く意識し、全構成員が一丸となって本学における快適な就学、就労及び教育研究のための環境を整える必要があります。

 そこで、以下に掲げる取組みを徹底し、ハラスメントを根絶することをここに宣言いたします。

  1. 研修等の啓発活動を定期的に実施するとともに、ハラスメントとなり得る行為の情報の共有及び適切な巡視等を徹底し、ハラスメントの発生を防止する。
  2. ハラスメント相談室を設置し、ハラスメントの相談対応機能の充実を図るとともに、ハラスメントを防止する諸施策を着実に展開し、その未然防止に努める。
  3. 本宣言をはじめハラスメント根絶に対する確固たる姿勢を学内外に広く発信することにより、ハラスメントに対する意識を向上させる。

平成30年7月23日
学校法人東洋大学ハラスメント防止対策委員会委員長
東洋大学学長 竹村 牧男

2 鳥取大学

このたび、平成29年3月29日付けで、下記のとおり本学職員に対し懲戒処分を行いましたので、公表します。

1.被処分者    工学研究科 教授 男性(40代)

2.処分内容    停職1か月

3.処分の概要     

 当該教員は、自己の指導する男子学生が就職を希望する企業への推薦書を合理的な理由もなく書かず、学生の自由な進路選択の権利を侵害しました。また、同教員は、感情的になり恐怖を感じさせるような激しい口調で同学生を指導したことがある上に、就職に関する情報の取り扱いについて、本人の同意を得ずに他にもらすなど、認識不足や不注意なところがあり、これらの行為により同学生の就学環境を悪化させました。これらの行為は、アカデミック・ハラスメントであり、本学職員就業規則に違反すると判断し、懲戒処分を行いました。
 本学の教員がこのような行為を行ったことは、誠に遺憾であり、被害学生をはじめ関係の皆様に心より深くお詫び申し上げます。

 本学では、ハラスメント防止の取組みを推進してきましたが、今回の事態を重く受け止め、今後このようなことが起こらないよう、職員に対して一層の意識啓発を図るとともに、再発防止、信頼の回復に努めて参ります。

                                平成29年3月31日

国立大学法人鳥取大学長 豐 島  良 太