公立大学でのハラスメント (1)

 これから幾つかに分けて公立大学(法人)におけるハラスメント事例を見ていきたい。公立大学では、教職員は原則地方公務員であることが多く、その意味では責任を取るべき対象が(国立大学等に比べて)身近であり、教職員もより監視の眼を意識して人権感覚が磨かれそうな気もするのではあるが、、、。先ずは大阪市立大学の最近の事例です。

大阪市立大学

 昨年末の12月27日、大阪市立大学によるセクハラ等に関する懲戒処分(61歳教授、学部不明だが多分理科系、停職3カ月)が発表された(毎日新聞)*。この記事によれば「学生や教職員の女性に抱きつくなど複数のハラスメントを繰り返した」のが処分の理由で、「2011年6月から2018年5月までに、セクハラ、パワハラ、アカハラ61件があり17人の男女が被害に遭ったと認定」している。

 具体的には、「女子学生らに対し、『彼氏いるの』としつこく聞いたり、飲み会で抱きついたりした。また、学生らに講義や試験監督などを代行させ、実験で失敗した学生には『費用をバイト代で賄え』と叱責したこともあったという。2018年2月に匿名の文書が届いて発覚。3月には計5人の学生や教職員から180件の申し立てがあり、計19人に聞き取り調査をして認定したという。

 男性教授は大学の調査に「記憶がない」と一部を否定したが、「不快な思いをさせていたのであれば申し訳ない」と答えたという。記者会見した橋本副学長は、関係者へのお詫びと再発防止に努める旨話したという(処分の公式文書は大学HP等では未確認)。

大阪市立大学は、早くも平成10年(1998年)に「セクハラの防止および対応に関するガイドライン」を定め、「セクハラ防止に努めてきた」経緯があり、2001年には人権宣言2001なるものも発表している。このような先駆的な?取り組みのもとで、8年間にも渡り複数(19人からの聞き取り)の学生や教職員に対して数多く(180件の申し立て)のハラスメントを行うという悪質な事案が放置されてきたことが問題である。加害者は、以前の記事でも取り上げた教員(ハラスメント情報、2018年5,6月の記事、セクハラ常習教員(1)-(3))と同じハラスメント常習者であり、表面的な取り組みの裏でハラスメントが横行する学生や職員にとっては不幸な状況が続いてきた可能性がある。それにもかかわらず処分が如何にも軽い気がするがどうであろうか。

*https//mainichi.jp/articles/20181227/k00/00m/040/147000c