前記事に続き、昨年4月に取り上げた案件
についての続報である。まず「一連の経過」の表を再掲して連載を始めたい:
2018年3月11日、甲南大学文化部(文化系サークルの集合体)において、歴代部長を中心とした部活動の上級生が、大学公認部の権限を利用し、目障りな下級生を排除するための名誉棄損誤情報をでっち上げ、意図的に外部に流布した。これが重大なパワーハラスメント事件の発端である。以下、ご家族の手記からの引用の続きである:
【事件概略】
事の起こりは、2018年3月11日、甲南大学が公認する部活動において(歴代部長を中心とした)上級生が部の権限を利用し、目障りな被害者学生の存在を排除するために、名誉棄損誤情報をでっち上げ、意図的に外部に吹聴したパワーハラスメントである。
被害者学生が事件直後に大学に被害を申し出たにも拘わらず、甲南大学の適切な対応が成されず学生の被害は拡大していき、同年5月以降の甲南大学パワーハラスメントの隠蔽を目的とする対応(甲南大学によるアカデミックハラスメント)が被害者学生を自死へと追いやった。
【甲南大学公認文化会・公認部の名誉棄損パワハラ発生~抗議自死までの経緯】
○ 部の上級生による名誉毀損パワハラの発生
被害者学生は、2017年入学以来、甲南大学公認の文化部活動において、中高一貫進学校での豊富な行事参加経験を基に、1年生でありながら学園祭企画等で統率力を発揮した。また、次期部長のポジションに決定し、他大学との連携活動も責任感を持って行っていた。
自分の考えと常識を持ち合わせ、上級生の理不尽な要求(無理やりの髪染め・合宿での深夜に及ぶ飲食会合の強制、部の計画性の欠如)があったが、それに迎合することなく、部長らの行動の倫理的間違いを指摘・注意した。
結果的に、その経緯によって部長ら上級生からは目障りな存在になってしまった。しかし、被害者学生は、仲間として部員を信じて積極的に部活動に参加していた。まさか上級生の妬み嫉みを生み出し、彼らの悪質なハラスメントで自分の学生生活が台無しになるとは、全く予測できなかった。
学年末、2018年3月、当時の歴代部長3人(4年男子元々部長・3年女子元部長・2年女子当時部長)は結託し、被害者学生を部から排除することを目的として、周到な計画の下、無実の被害者学生を「2017年度11月文化祭の売上げを横領した人物」に仕立て上げ、強制退部とした。更には、部長の権限を利用して、他のクラブへの入部拒否の要請文(甲南公式部捺印)を出した。その偽りの情報は、甲南大学のみならず、他大学にも吹聴された。
このパワーハラスメントは、「通り魔に刺されたような被害」でショックが大きかった。
部長を中心とした部内の上級生たちは、被害者学生(気に入らない人物)を排除する方法をライン等で繰り返しミーティングし、犯罪的な中傷をでっち上げ、平穏だった被害者学生の学生生活を破壊する異常な行動を引き起こした。
被害者学生は、甲南大学の学生相談窓口に相談をした。SNS上でも理不尽な中傷被害を受けている被害者学生に対して、甲南大学中村英雄学生部事務部長は、「知らない人がほとんどだから気にすることはない」と何度もやり過ごした。被害者学生は担任教授にも付き添いを依頼し、甲南大学学生部に再度被害を申し出た。事件発生当初より、学生が横領をしていないことは残されていた伝票上も明らかで、それを証言する経理の学生の存在もあった。秋宗学生部長が事件聞き取りを開始したが、被害者の痛みを理解している様子は無かった。
3月より名誉回復の処置(正門掲示板やMy KONAN=甲南大学在学生HPへの訂正と名誉回復文章の掲示)を何度も要望した。ようやく5月の連休明けに、甲南大学が特別な処置と称する文章が正門前に掲示された (下の写真のポスター)。ところが、特別な処置と称するそのポスターは、当時の大学HPのハラスメント一般に関する解説頁を単にカラーコピーしたものに過ぎず、何らの名誉回復の内容も含まれていない。これは、大学当局のこの事件に対する鈍い感覚とやる気・真剣味の無さを象徴しており、その内容の無さゆえに、その後も被害者の悪い噂の拡大は止まることは無かった。
念のために拡大してみると
やはり大学HPのハラスメント関連ページのコピーであった。なお、自死事件後の現在では、ハラスメント説明ページは、事件当時のハラスメント定義と比較すると、2018年のハラスメント自死事件が定義内容に当てはまらないように修正され、より簡略化した内容の文章が掲載されている。
(現在の甲南大学HPのハラスメント関連ページ)
https://www.konan-u.ac.jp/life/campus_harassment/
○ 大阪法テラスで弁護士にも相談
2018年5月になっても適切な対応が無いため、被害者学生は大阪法テラス・弁護士への相談に出向いた。5月18日、母親が甲南大学に出向き、中井当時副学長(現学長)、秋宗学生部長(現学部長・理事)、中村英雄学生部事務部長に面談し「法テラスに相談している」と伝えると、甲南大学側は、甲南大学学生部個室で被害者学生の母親に「申し訳なかった。対処に困っている。加害者学生はおそらく反省していないので、訓告か勧告を考えている」と発言していた。しかし、実際には被害者学生名誉回復への大学の適切な対応はなされず、中傷被害は拡散し続け、被害者学生は体調を崩していった。
5月25日、危機感を感じた母親は、甲南大学による名誉回復のための文章の掲示を求め、原案を甲南大学・学生部において中村学生部事務部長に目の前で書かせ(甲南父母の会事務局立会い)その場でコピーも取ったが、その文章の公表は実現せず、現在も闇へと葬られたままである。以下がその時書かせた文章(中村学生部長直筆)のコピーの写真である。
(かすれて読みにくい部分もあるので活字にすると)
その後 (3)に続く。