私学ガバナンス会議の議論に関連し、家族が文科省に申し入れ―甲南大学事件―

最近相次ぐ私立大の不祥事(理事長が逮捕された日本大学の事件を含む)を受け、私立大学のガバナンス強化をめざし、いわゆる「私立学校法改正案」が昨年から文科省の有識者会議で議論されてきた。まず20年1月に設置された有識者会議は21年7月に改革会議となり、12月に改正案を示したが、私学側の猛反発に会い、今年1月新たな会議*を作った。

*学校法人制度改革特別委員会https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/010/index.html

3月に明らかにされた報告書案では、

  • 理事会に対する評議委員会の監督権限の強化
  • 私立学校法に贈収賄罪や特別背任罪を新設すること

が盛り込まれている。すなわち、理事長への権限集中や評議委員会(現行制度では理事長に諮問機関)のチェック機能形骸化を防ぐ仕組みづくりを提言している。

https://news.yahoo.co.jp/articles/4cd329c30246204c05a29b7683340b28387d4df1

具体的には、理事の解任について評議委員会の関与を強化し、法令違反など問題のある理事は評議委員会が理事会に解任請求し、放置された場合は訴訟を起こすことが出来るとした。また、これまで認められてきた、理事と評議員の兼任も禁止する。

これに関しては、早大総長の田中愛治氏、元衆議院議員の塩崎恭久氏、東大大学院教授の両角亜希子氏がそれぞれの立場から意見を述べている次の記事が興味深い。

https://digital.asahi.com/articles/ASQ1G2W2XPDFUPQJ01C.html?oai=ASQ5B53M1Q5BUTIL00Q&ref=yahoo

 学校法人制度改革特別委員会第4回会議には、全私学連合から「学校法人ガバナンス改革に関する考え方」なる文書が資料として提出され、

それについての説明を上記田中愛治氏が会議の中でも行っている:

第4回会議議事録

われわれが注目する文言は、この資料の「なお書き」の中にある、以下の文書である:

○ 理事に法令違反もしくは社会的規範から逸脱した行為があったと相当の根拠をもって疑われる事態が発生した場合、もしくは監事による理事会への是正勧告に理事会が従わないなど理事会が自浄作用を発揮出来ない場合には、評議員会が理事長または理事、もしくはその双方を解任する権限を認める。

同様の項目が評議員、監事に対しても続き、いわゆる「三すくみ」の仕組みを提案している。両角亜希子氏の上記論評によれば、大学に自浄作用が期待出来ないとき、或いは行政指導で改善が見られない場合、文科省は「立ち入り検査や、理事・幹事の退任勧告といった措置を取ることができる」ということです。

しかしながら現状では、問題のある大学幹部に対する文科省からの言葉のみによる指導には強制力がありません。

上記のような議論の進展を前提にすれば、既に各地の私学で数多く頻発している様々な不祥事に対し、本法律を先取りする形での文科省からの強い働きかけ・指導があって然るべきではないだろうか?

 

大学ハラスメント被害学生の家族による切実な申し入れは以下のような形で行われた:

文部科学大臣、及び学校法人制度改革特別委員会委員各位 殿

 

 大学理事の社会通念に反する誤りが是正されていない事実を、大学ハラスメント被害抗議自死学生遺族としてご報告します。新聞社の調査報道による根拠のある情報、遺族の言葉として、甲南大学において学生を自死へと追い詰めた人物が学長・理事に就任し、大学から学生の死への対応が一切 皆無である事実を「アカデミックハラスメント情報室」HPに投稿しています。 大学として間違いがあったにも拘らず是正されていない実例として、文科省と学校法人制度改革特別委員会委員の皆様に (本事例を) ご承知おきいただきたく存じます。よろしくお願いします。

 

2022年5月10日

甲南大学事件被害学生家族

 

結局は5月に、文部科学省はこの改正案を今国会へ提出することを見送った。

https://digital.asahi.com/articles/ASQ3K6JTDQ3KUTIL031.html?oai=ASQ5B53M1Q5BUTIL00Q&ref=yahoo

夏の参院選との絡みはあるが、1日も早くこの種の法律が成立・施行され、殆ど野放し状態にある、理事や大学執行部へのガバナンス強化への第一歩として機能することを期待したい。

最近甲南大学のホームページで公表されているKONAN TODAY 58には次のような記述がある:

「人間教育率先の理念をより高いレベルで実践する意欲と経験に満ちた新たな布陣」?「前例のない危機も乗り越える100年かけて培われてきたKONANの土台の確かさ」?「ハラスメントを放置したまま『人間教育』などと笑顔で世の中に発信するギャップに、抗議自死学生の家族としてやり切れない思いです」(被害学生家族)。

質問書に文科省から回答! 甲南大学事件(本ブログでこの間の経緯を紹介中)

2021年11月10日に、末松信介文部科学省大臣宛に、甲南大学ハラスメント抗議自死学生の母として代理人から質問書を送付し同年1130日までに回答を求めたところ、文部科学省省(高等教育局 学生・留学生課 厚生係)から回答がありました。以下に質問書の抜粋と回答書を公開します。赤線は、ご家族によるもので、回答の重要と思われるところです:

(文部科学省HPより)

 

質問書(抜粋)

質 問 書

末松信介文部科学大臣 殿

(所管 高等教育局)

前略 私は、神戸市東灘区にある私立甲南大学(学校法人甲南学園が設置)に通学していた*****君の******の*******です。以下の点をについて、ご質問しますので、令和3年11月30日までにご回答下さい。

次の点をふまえ、質問をします。

【事件の概要】

 自らの大学に所属する学生が、大学公認の活動がきっかけとなり、また、その後大学による適切な相談支援がなされない中で抗議の自死をしたにも関わらず、

 甲南大学では、大学に学籍があった当該学生の死に際して、一般社会の常識からかけ離れた対応がまかり通っています。その後、**君に自死の原因となる対応を行った当事者である中井伊都子氏が大学の象徴的存在である学長に就任し、公には「甲南大学は、みなさんの健康・安全と学修を守るために全学を挙げてサポートシステムを展開してまいります。ぜひ安心してください。」と笑顔でコメントを発信しています。

 現在に至っても、被害者自死学生に対する甲南大学からのお見舞やお花等、弔意の意思・謝罪は一切皆無で、重大な人権侵害に対する何らの問題意識・反省はありません。

 遺族の告発によって、2020年3月の新聞・TV報道で事件が明るみになりましたが、その際、甲南大学は「大学の対応には問題は無い」とのコメントを行っており、更に酷いことには「**君が問題になるような発言をしていた」とメディアを通じて発信しており、被害者が死に至っても大学による名誉棄損被害を受けています。

 私どもの要望する第三者による公正な調査を拒否し、未だに検証作業すらも行われていません。

【国会での質疑】

 この問題は、令和3(2021)年5月13日に開かれた参議院文教科学委員会においても取り上げられています(本ブログ6月の記事を参照して下さい)。(以下略)

【毎日新聞の報道】(略)

【遺族の訴え】

 わが国において、少子高齢化、子どもの自殺等が社会問題とされ、安心して子どもを産み育てられる環境を実現することの重要性が指摘されています。

 しかし、親が大切に産み育てた子どもが、大学生にまで成長し、高額な学費を支払った教育の場で、パワーハラスメントによって平和な学生生活が破壊され、やむなく遺書を残して自死に至っても、事実関係を調査し、再発を防止する制度等は公に検討されておらず、個人の問題として放置されています。

 また、私立大学の自治の名の下に、学生の命を守るという基本的な事項について、大学に対する国または地方公共団体からの適切な指導監督がなされておらず、本件では、深刻な被害が隠蔽され、被害者が泣き寝入りを強いられる一方で、アカデミックハラスメントに加担した当事者が学長に就任している現状さえあります。このような営利優先の無責任な教育方針下では水面下での学生の被害や自殺者が後を絶つことはないでしょう。「改めなければ、今後も同じことが起こってしまう」と生前、被害学生が大学に直訴しています。命をもって抗議した学生の存在を被害者として大学は今も扱いません。国として、私立学校に対する適切な監督のあり方について考え直すべき時期に来ているのではないでしょうか。

【質問事項】(以下の回答文を参照して下さい)

(1/6頁)

(2/6頁)

(3/6頁)

(4/6頁)

(5/6頁)

(6/6頁)

 

 

 

中井伊都子氏(甲南大学長、人権委員会委員)への対応求める、国連人権委員会へ送付した書簡(日本語版)を掲載します。

2つ前の記事の書簡(英語版)に対応する日本語文は以下の通りです:

************************************

国連人権理事会 御 中

結 論

1 国連人権理事会諮問委員会委員(任期2019年10月~2022年9月)としての中井伊都子氏(現甲南大学学長)の委員任命の撤回を要望する。

2 中井伊都子氏の前項の任命について、国連特別報告者による見解表明と勧告の実施を要請する。

国連特別報告者に対する要望

A)自らが学長を務める学内の人権問題にさえ誠実に対応して来なかった中井氏を、国連の諮問委員として任用している理由及びその適格性についての見解を明らかにして下さい。

B)現在、中井氏を学長とする当大学は、今回の事件を検証するための第三者委員会の設置を拒否しています。この設置を求めるとともに、大学が加害者として学生を抗議の自死に至らせたことへの責任を認め、誠実に対応すべきことを中井氏と甲南大学に促してください。

理 由

中井氏の不適切なハラスメント対応によって、2018年10月17日、一人の大学生が自死に追い込まれた。中井氏は、自殺の原因となった重大な人権侵害行為に加担している。

甲南大学が公認する文化会部の課外活動において、被害学生が所属する部の部長を中心とした上級生が、被害学生を活動から排除するため、名誉棄損情報を捏造し吹聴した。

被害学生は、1年生ながら、部活動で統率力を発揮したことによって上級生に嫌われ、半年前の大学の学園祭においてクラブが出店した模擬店の売上金を横領したとの事実無根の疑惑が同クラブに所属する部長らによって、根拠のないまま、大学内外の関係団体にながされた。その結果、被害学生の「強制退部」、更には「入部拒否の要請」が発出され、この大学公認の通知によって、被害学生による横領がなされたとの虚偽の情報が関西一円の学内外に爆発的に広まってしまった。

実際には、横領の事実はなく、最終的には加害学生もこれを認めているにも関わらず、中井氏はハラスメント委員会委員長として「ハラスメント行為はなかった」との判断を行い、加害者学生たちへの処分もなされなかった。被害者学生は中井氏(当時副学長で、現在は学長)を中心とする甲南大学への適切な対応を求め続けたが、甲南大学は、大学のブランドを守ることを優先し、被害者を被害者として扱うこともなく、事件は隠蔽された。

被害者学生は、最終手段として、自身の尊厳を守るための自死を決行した。被害学生は、

「名誉棄損による精神的ダメージ(中略)甲南大学の対応の遅さにより神経が著しく削られ私は自殺します。」と遺書を記し、その被害の記録一式を残している。

当該学生の自死から現在まで、中井氏からの弔意の意思表示・行動は一切皆無である。遺族の告発によって、2020年3月の新聞・TV報道で事件が明るみになったが、取材に際し、中井氏を学長とする甲南大学は「大学の対応には問題は無い」とのコメントを行っており、重大な人権侵害に対する何らの問題意識・反省もない。

中井伊都子氏が国連人権理事会諮問委員に相応しいと言えるのか重大な疑問がある。

2021年8月15日

被害学生の* ****

連絡先:****、*******

*****************

 

付記

1 当問題は、2021年5月13日、日本の国会(参議院文教科学委員会)において審議されました。審議の内容を資料して添付しました。

また、日本の代表的なメディアの一つである毎日新聞がこの事件をとりあげていますので、参考資料として添付します。なお、日本の主要メディアである朝日新聞、産経新聞でも大きく報道されています。

2 甲南大学とは

兵庫県神戸市に本部をおく日本の私立大学。1951年設置。人文・社会科学と自然科学、いわゆる文系と理系両方の学部を備えた総合大学です(5つのキャンパスをもち、学生数約9000名、教職員数約500名の中規模大学)。

3 中井氏の経歴

中井氏は、本件事件当時、甲南大学のハラスメント委員会の委員長及び副学長の地位にあり、自らの対応により死者を出した当事件から一年も経過していない2019年10月10日に、国連人権理事会(UNHRC)諮問委員に就任しました。就任に際して、この事件に中井氏が関与していることは隠されたままで、中井氏に帯する倫理的な側面に関する事前調査が不十分であったと考えられます。

同時期、今回の事件について、何の検証もせず、死者を出した責任も明らかにしないまま、甲南大学の大学長・理事に就任しています。

今回の学生自死について、甲南大学は、文部科学省や大学が所在している兵庫県に対して、死亡事故報告を行っていません。現在に至っても、被害学生の命の尊さは軽視されたままです。

相手によって、態度や言葉を変える中井伊都子氏に国連人権委員の資格はありません。

************************************

また最近、日本私学連盟が行った「大学の未来へ ー継承と発展ー」と題するオンライン座談会で、中井伊都子氏は次のような発言もしている:

1-4人の痛みを自らの痛みとして知ることができる人間に

植木 さまざまな社会問題を自分事として捉えることの重要性など、田中先生と各務先生のお話は非常につながっていると感じました。中井先生は、国連人権理事会諮問委員会委員を務めるなどのご経験からグローバルリスクを意識する機会も多いかと思いますが、いかがでしょうか。

中井 私は、2020年の4月からこの職に就いており、国際人権法を専門としています。専門の関係で、国連の活動にも一部参加させていただいておりますが、残念ながらコロナ禍で国連の活動はほとんど止まってしまいました。人権、人道問題については危機的な状況を迎えているにも関わらず、意思決定の部分で国連が動けないという残念な状況になってしまっています。私の専門から発言をしたり、学生に伝えたりする際に心掛けているのは、世界で何が起こっているのかを考えるときに、自分と異なる属性や考えを持った人でも、等しく大切だと思える人になってほしいということです。
それを具体的に実践していくことは難しいですが、本学ではさまざまな課題について、すべての学部の学生が混じり合いながら考えることができる基礎共通演習という場を設定しています。また、各専門分野に分かれた後もこれらの問題を自分事として捉え、もっと深く掘り下げたいと考えた時には、どの時点、どの学部からでもプラスアルファで学べるような、より彩り豊かな共通教育の構築を検討しているところです。今地球の裏側で起きていることも自分のことだと、海の中にたくさんのプラスチックがあることは、昨日の自分の行動の帰結なのだと、そういった痛みを感じられるような人間を育成するための仕組みを考えています。

 

3-4これからの社会に向けた大学教育のあり方
中井 人が集う場としての大学の意味も、より一層重要になるのではないかと考えています。多様な人々を受け入れていけるキャンパス、例えば子育て支援や心のケアの場など、多様な役割を探り、実現していけたらと思います。
被害者学生の人権と、人命に何の配慮もないまま、公へは満面の笑顔で理想論を語る。まさに厚顔無恥としか言いようがない。まずは自らが「具体的に実践」、「実現」して欲しいものである。

甲南大学事件、国連人権委員会に書簡を送付し、中井伊都子氏(甲南大学現学長、国連人権理事会諮問委員)への対応求める

甲南大学の事件を詳報してきた一連の記事にあったように、事件当時の学内ハラスメント委員会のトップであり、この事件について「大学の対応について問題は無く」、「ハラスメントにはあたらない」と結論を下した張本人、中井伊都子現学長が2019年より、国連人権理事会諮問委員会の委員を務めていることに関し、異議を申し立てると同時に何らかの対処を求める書簡を9月初めに国連人権委員会に提出した。申し立ての書簡と受取の返信をここに紹介する。

まず書簡であるが、人権理事会宛のものを以下に示す。特別報告者宛のものもほぼ同じなので、省略する:

1/6頁

2/6頁

3/6頁

4/6頁

5/6頁

6/6頁

国連人権委員会からの返信

甲南学園から「回答」届く

引き続き甲南大学についての投稿が続きます。

代理人弁護士によると「申し立ての前段階として、最終の通知を甲南側に送付しましたが、先ほど返事がきました」ということです。

 甲南学園の代理人からの連絡は

「本学としての一連の対応において不適切な点があったとは考えておらず」、これを「前提とするこのたびの各申し入れにつきましては、お請けすることはできません」

というものでした。

************************************

 2017年(平成29年)甲南大学入学式の時点では、甲南大学の「朗らかに」という言葉とKONAN♾無限大の校章を見聞きし、親子してこれからの将来へ♾の可能性を信じていた。
 まさか1年後に、真面目に活動したが故に、逆に「部活上級生パワーハラスメント」、更には「大学組織による事件隠蔽のためのアカデミックハラスメント」という、とんでもない人権問題に自分達が被害者として遭遇し、救けを求めた大学ハラスメント窓口の暴言に疲弊し、息子が名誉毀損への抗議自死に追いやられ、最愛の息子への弔意もなく、大学によって真実さえ捻じ曲げられ隠蔽されるとは。まさに悪夢としか言いようがなく、できることなら、甲南大入学以前に時間を巻き戻したい。

(写真は、甲南大学2017年4月1日入学式におけるクラブ紹介の様子)

現在日本各地の大学で報道されているハラスメント被害はおそらく氷山の一角に過ぎない!
 被害者遺族になった後で知ったことだが、(2017、1/12河野太郎氏ブログ記載既に2017年、文部科学省には大学ハラスメント実態調査の必要が指摘されているが、現状の細かい調査は行われていない。大学ハラスメント対応窓口に被害を申し出た被害者の大半が窓口で相談を握り潰されたり、加害者側からさらなる不利益を被り、ハラスメント被害が長期化することで解決が難しくなり、自殺に追いやられた悲惨な事例は後を絶たない。そして「全国学校事故を語る会」を通じて知った更にショッキングな事実は、学校側の主張によって遺書が無いこと等を理由として「明らかに自殺」であっても「変死」として闇に葬られ、被害者としてその申し立てもできず泣き寝入りを強いられている遺族さえいるという実態である。
 失意のどん底で被害者遺族は、やむなく民事訴訟を起こす羽目になる。加害者側に無罪判決の出るリスクを背負った長期間の裁判に気力を奪い取られつつ、最愛の子供の尊厳を守るために命がけで闘っている被害者遺族達の声に日本の社会はもっと耳を傾けてほしい。
 「学生間のハラスメント」及び「学校組織によるハラスメント隠蔽」は、命さえ奪う犯罪行為であり、社会全体の問題である。現日本では、先進国として学生をハラスメント被害から守る人権擁護システムが整っていない。ハラスメントを隠蔽し学生を自死に追いやっても、その大学職員には何の制裁も無いばかりか昇進が約束される。そして有ろう事か、その加害当事者が、大学のみならず、国を代表するリーダーとして特別な理由もなく「国連の人権委員」に就任していることは、日本人として恥ずべきことであると思われる。

 われわれは、今後の対応も見据え、これまでの記事「甲南大学の学生自死事件、その後 (1)~(5)」の中で、匿名扱いをしていた甲南大学事務部門の何名かにつき、実名掲載へと踏み切リました。詳細は、お手数ですが、各記事、特に(1)の再読をお願いしたいと思います(2021年7月10日)

【『甲南大学のハラスメント・2018被害者学生自死事件』を2021年国会の場で問う】

これに先立つ5つの記事(甲南大学学生自死事件 その(1)~(5))に続き、本記事では、5月に本事件が国会で取り上げられたことについて、その経緯と審議内容などをやはりご家族の手記の形で報告する。この国会審議の詳細は今でも「参議院インターネット審議中継」ホームページ・2021、5・13文教科学委員会で視聴できる。

(参議院での質疑の様子)

 一連の前記事のように、自死学生に関わったハラスメント当事者たちに反省の色は全く無い。このままでは甲南大学の営利優先・隠蔽体質の中、「ハラスメント自体が無かった」、「大学に問題がなかった」、と個人の被害は組織力に踏み潰され、泣き寝入りで終わらされてしまう。被害者である息子の尊厳を守るためには、「国に社会問題として発信できる精鋭」に母の生の言葉で訴えるしかないと考えた。

息子が大阪の中学高校に通学していたことから、私的には無党派であるが、信頼できる人物として、地元大阪の辻元清美議員に声をかけた。甲南大学被害者学生・母としての自分の身元を知らせ、やり取りを繰り返すことにより、辻元清美事務所に当事件を社会問題として認識してもらうことが出来た。辻元清美衆議院議員の国会での所属は予算委員会であるため、文教科学委員会委員の石川大我参議院議員に本件を取り次いでもらい、石川大我事務所にも当事件を社会問題として認識してもらうため、石川大我議員と母が直接zoomで対面することになった。石川議員と母の対話において、私立・甲南大学ハラスメントに毅然と闘った当時の息子の頑張り、事件発生から現在に至る緊迫した状況、母親の必死の思いをストレートに受け取ってもらえたと感じた。

そして、2021年5月13日、石川大我議員からの発信により、国会の場で「教育研究機関である大学におけるハラスメントや、学生間のハラスメントは、決して許されるものではない」との再認識がなされた。

「2018年甲南大学学生自死事件と当該大学におけるハラスメント横行と被害者学生への大学対応の現状、今後の文科省から大学への対応について」に関する石川議員の質疑は以下の内容である。

(石川議員)

「小中高にはいじめ防止法と学校側と被害者側それぞれから委員を選ぶなど公平中立性が確保された第三者委員会設置等のガイドラインがあり、社会人にはパワハラ防止法の制度があるが、大学生の部分だけすっとそのシステムが抜け落ちているため、ここへの手当てが必要です。大学生間のハラスメントに対する文科省から講ずべき通知、法制度が現在不十分ではないでしょうか。これまで私立大学は各大学の自主自立に任されておりハラスメント委員会の共通の設置基準が無いため、酷いところになると、大学に学生が相談しても、大学側が問題を解決するというよりも逆にハラスメント委員会の中で握りつぶして外に出ないようにする役割をはたしてしまうということがある、残念ながら大学の保身ということもあるといった話をよく聞きます。当甲南大の件も、この男子学生は一人でかなり頑張って、横領をでっち上げた部長に謝罪文を書かせ強制退部と他部への入部拒否の要請を撤回させたが、甲南大学の事実公表文掲示は無く、結果的にハラスメント偽情報放置で被害者学生の名誉回復には至らず、更には、被害を訴えたハラスメント委員会で大学側は『これはハラスメントに当たらない』としたばかりか、逆に当人に問題があったかのような発言で被害者を追い込んでいきました。当ハラスメント委員会のメンバーの中身は、副学長、学生部、学生室事務部、総務部の部長、学長が指名する選任教員で構成されていて、全て大学内部の人員で済まされています。こういったハラスメント委員会ではダメで、ハラスメント委員会の議事録の公開や学外の専門家を含むなどの客観性、中立性がどのように担保されたのかなどの疑問が残ります。

やはり文科省としては何らかの法整備を求めていく必要があるのではないか、そういった時期に来ているのではないでしょうか」等の鋭い質問・追及が行われた。

伯井文部科学省高等教育局長上写真)からは、

「大学でのハラスメント対策について、文部科学省としても指導教員の能力の強化と、学外での民間相談窓口、ハラスメント被害は大学を通さずに相談できるような制度を横展開していきます」。という内容の発言があった。

また、萩生田文部科学大臣(下写真)からは、

「教育研究機関である大学においてハラスメントはあってはならない。(中略)ご指摘のように学生間のハラスメント対応は法の外に置かれてしまっている。そうは言うものの、ちゃんとしてくださいねという概念は法律上にはあるのですが、私は就任以来、日本の最高学府の大学ですから、自主性、自立性、独立性を重んじて、あまり箸の上げ下げみたいなことは言わずに、色んなことを信頼して今日まで一緒に仕事をしてきたのですが、そうでもないなと思うことが沢山ありまして、かなりきめ細かく言わないとなかなか対応していただけない部分があるなと感じております。今回のご指摘は極めて重要でありまして、他大学の事例事件事案などで、こういった事には気を付けましょうという事を含めて何らかの形で国公立・私立含めてすべての大学に同じ問題意識を持ってもらうようなそういう方針をしっかり立ち上げて、話し合いをしていきたいと思っております」。との答弁があった。

更に石川議員からは、文科省の取り組みとしてのアンケートに関する質問に合わせ、

「甲南大学ハラスメント委員会での議事録詳細は自殺した学生への聴取録以外は非公表で、調査をした教職員の肩書や名簿も非公表。大学の規定では外部専門家の出席をさせることが出来ると記載があるが、残念ながら今回外部の専門家が入った形跡がない。ヒアリングの中でご遺族は『今回の大学の対応自体がハラスメントであった』とおっしゃっています。この学生は遺書の中で『自殺の原因は(中略)甲南大学の対応も遅く私は限界となりました』という言葉を残して自死しています。お母さまとのお話の中で『最初、母の私も死のうと思った。けれども、甲南大学組織に抗議した息子の意志を受け継いで、母である私が大学ハラスメントの事実を社会に伝えることが息子の尊厳を守ることになる。そのために生きようと思った』という言葉が大変印象的でした。当然そういった意味で、これから目指す方向は大臣と一緒だと思いますので、一緒に歩んでいきたいと思います」。

とのコメントがあった。

また、「現在、大学へのハラスメントについてのアンケートの内容では、学内におけるハラスメントの防止を実施している大学は99.7%という調査が出ておりそれ自体は良いのですが、今お話をしたような問題があります。文科省の取り組みとしての大学へのハラスメント防止対策調査のアンケート内容は現在ざっくりとした3項目しかなく、例えばハラスメントの調査をする人間が学内だけなのか学外も入るのか、議事録の公開などによる調査の公平中立性の担保の方法なども含めて、調査等へのもう少し細かい内容の法的な調整が是非、必要ではないでしょうか」との指摘を行った。

(萩生田文部科学大臣)

それを受けて、萩生田大臣からの答弁は、

「文部科学省では、隔年で大学に調査を行っていますが、ご指摘のように第三者委員会窓口の設置状況等については現在調査に含まれていません。私は、一義的には学校が責任をもって対処すべきであると考えますが、他方、ご指摘になったように、たとえば学内での不名誉な事案については学校の評判が落ちるなどということで、できるだけ内部で穏便にということで表面化しないで、結局どなたかが泣き寝入りするという事例が今までもありました。したがって、学校関係者じゃない人に相談をしたいという学生のニーズもありますので外部の法律の専門家などに気軽にアクセスができる仕組みというものが今後必要になってくると思います。ぜひ次の機会から第三者窓口の設置について、その設置状況を項目に入れてヒアリングをしていきたいと思っています」。

というものであった。

この様子詳細は、「参議院インターネット審議中継」のホームページ・2021、5・13文教科学委員会、立憲民主党、石川大我議員検索で視聴可能。大学に関する他の問題等も審議されている。

甲南大学での学生自死事件、その後 (5)

 その後、(4)が非常に長くて読みにくいと思われましたので、ほぼ半分に分割し(4)と(5)として再編しました。特に(5)では、その後の甲南大学の家族に対する不誠実な対応と対外的なパフォーマンスを報告します。これらは、明らかに、事件を無かったものにすることを狙ったものと言えます。

 これまでと同じく概略の経過を示す:

甲南大学は、「学生の命の重さ」よりも「営利重視」の大学である事実を息子の抗議自死後も嫌というほど見聞きした。

甲南大学は、1951年創立の、実質的にまだ歴史の浅い大学であるが、甲南学園として、被害者学生抗議自死直後から、「甲南大学文化会表彰式」「課外活動祝勝会」「元旦新聞・甲南大学全面祝賀広告」「100周年記念音楽祭」「甲南学園100周年記念パーティー」のお祭り騒ぎ、祝賀会を繰り返し、甲南大学幹部たちは、被害者学生抗議自死の事実を隠蔽したまま、満面笑顔の記念写真によってブランドイメージを強調する広報、例えば「世界の甲南」、「『人創り』の教育」、「甲南大学は、皆さん(=学生)の健康・安全と学修を守るために大学を挙げてサポートシステムを展開してまいります。ぜひ安心してください」などと世の中に発信している。

https://www.kobe-np.co.jp/info/go_university/konan.html

ミディアムサイズの大学、甲南大学の閉塞したシステム内において、息子はハラスメント被害を問題化することすら困難な状況に置かれた。甲南大学と大学内加害者の「責任を取りたくない。事態は無かった事としたい」という利害目的は一致しており、大学幹部は負の英知を結集して、一学生である息子の甚大なる被害と悲痛な訴えを握りつぶした。

息子は、死にたくて死んだわけではない。大切な命を懸けて、自身の尊厳を守るために、大学ハラスメント問題の不合理を世の中に発信したのである。

「かかる瑕疵についても、現在に至ってなお、格別問題視すべき事情までは無いといえる」という文言列挙の中井ハラスメント委員長の結論。「君が脈絡も無く攻撃的に話をしたことから、あのような状況になった」という中村英雄学生部事務部長の発言。秋宗学生部長による「いじめがあれば問題と考えたがそれはなく、君自身の言動が原因になっていると思われる」等の被害者を被害者として扱わない冷酷な暴言の数々。大学組織ぐるみのそれらのハラスメントが、被害者学生にどれほどの苦痛を背負わせたか、それらが現実的に息子の将来をいかにぶち壊す行動であったか、を当該関係者たちが深慮することも無く現在に至っている。しかしながら、もし自分自身や御家族に同様のハラスメント被害が降りかかったとしたら、わが息子と同じように、「瑕疵では済まされない」と、誰も決して納得できないはずである。

甲南大学の「全学生・教員・卒業生・父母・家屋敷や多額の寄付をした関係者・100周年記念コンサート等関係者」の名誉のためにも、甲南大学の不適切な対応を正す必要があると捉えている。

○ 第三者による検証すらもなされていない

代理人弁護士を通じて文科省・萩生田光一大臣に甲南ハラスメント事件を報告した(2019年11月26日付)。私立大学は、現在自治に任され外部の目が入っていない。そのため、倫理観が欠如した私立大学では組織防衛のために情報が操作され、被害者は泣き寝入りを強いられるという現状の問題を投げかけた。早期に文科省がガイドラインを作成し、私立大にも中立性が確保された第三者委員会の設置し、検証と指導の必要性がある。本件は、文章を送付しただけでなく、2019年12月12日、「全国学校被害の会」内海会長が文科省に出向き、口頭でも陳述した。

学生が残したハラスメント被害記録文章・資料は、現在複数の有識者が保管している。

○ 人権を守る発想・資格のない中井氏が国連人権理事会諮問委員に就任??

2018年に潔白な学生が抗議自死を行い、遺族が苦しみでのたうち回っている中で、2019年学生自死の翌年、当時の中井伊都子ハラスメント委員長が「国連人権理事会諮問委員」に就任したようである。大学の学生の人権を守れずに国連で人権をどのように語るのか、大いに疑問であり不気味(ブラックジョーク)に感じる。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/hr_ha/page3_002980.html

https://www.suzukikeisuke.jp/令和元年11月29日%E3%80%80人権関連国際選挙当選祝賀レセ

「人権理事会諮問委員会の候補者の指名は「候補者の技術的・客観的な要件として、人権分野における定評ある能力と経験を有すること、高潔な倫理観を有していること、独立性と公平性を有すること」とされている。2019年10月から、アジア5議席の一人として就任している。外務省の国連人権理事会諮問委員会のHPは 以下。

人権理事会諮問委員会

「日本は、国・地域の人権状況及び人権上の諸問題の解決に向けて、引き続き人権理事会の活動に積極的に貢献していきます」とされているが、人権を破壊される究極の状況で、被害者学生は何度も中井伊都子ハラスメント委員長と話をしている。母親も直接話したが、途中から「距離を保つ」と面会拒否であった。被害者学生が中井氏に電話をしたが、電話口の事務職員は「取り次げません」の返答、「電話を直ぐに取り次ぐように、直ぐに!」と切羽詰まって緊迫した被害者学生の声が、この事務職員の耳には今でも残っているだろう。

 母親は、次のように話をしている。

「我が息子の抗議自死の行動は、どんな言葉よりも雄弁に甲南大学ハラスメント対処の失敗を世に示している」

「『被害者学生の若い命が失われた悲劇』の真実を社会に知らしめることは、抗議自死学生の母親としての義務である。人生には、きっぱりとNOを言うべき時がある」

被害者学生と遺族に対して、最悪の禍根を残す結果を引き起こし、目の前にある人権の問題に向き合おうともしない中井氏が、「国連人権理事会諮問委員」という重責(アジア5議席のひとり)を担うことは、到底可能だとは思えない。国際社会には、真のリーダーとして相応しい人物を送り出してほしい。間違った人事が横行しているのであれば、引責辞任するべきである。

不適切な人事が是正されないまま、誰かがその首に鈴をつけるのを待っていては、更なる悲劇が繰り返されてしまうのではないだろうか?

 

甲南大学での学生自死事件、その後 (4)

前3回の記事に続き、昨年4月に取り上げた事件

甲南大学での学生の自死事件(以前の記事)

についての続報である。「一連の経過」改訂版を下に示して連載を始める:

【概要再掲】2018年3月11日、甲南大学文化部(文化系サークルの集合体)において、歴代部長を中心とした部活動の上級生が大学公認部の権限を利用し、目障りな下級生を排除するための名誉棄損誤情報をでっち上げ、意図的に外部に流布した。これが重大なパワーハラスメント事件の発端である。以下、ご家族の手記から続けて引用する:

【抗議の自死】

中井ハラスメント委員長、秋宗学生部長の発言の後、遂に「抗議の自死」に至った。

被害者学生は、警察が第一発見者となるように工夫し、他者に迷惑がかからない配慮をして、自死を決行した。命懸けで、警察に甲南大学ハラスメント被害を届けたのである!

被害者学生の様子がおかしいと心配した友人から、自死の当日に学生部窓口に連絡があったが、応対した大学職員は、「そんなに大事(おおごと)にしていいのか」として、直ぐに対応しなかった。そして、かなりのタイムラグの後、中村英雄学生部事務部長から被害者学生の自宅に電話があったのは、自死の後であった。このとき遺族が甲南大学と直接交わした会話は、約30秒のみである:「これまで何度も抗議した。取り返しのつかないことが起こってしまった」との遺族の言葉に対して、中村学生部事務部長は、間を置かず「わかりました。弁護士の名前を教えて下さい」との言葉だけで終わった。

○ 抗議の自死後

被害者学生側の当時の代理人弁護士は、代理人として被害者学生とのやり取りは行っていたが、大学に文章を出すことは無かった。学生の自死後、遺族に「もっと早く伝えるべきだったが、自分の子供が甲南学園の中学に通っているので、これ以上この件に関われない」と代理人契約は打ち切られた。遺族は当時の弁護士を信じていただけに大変なショックを受けた(当時の代理人が決定したいきさつ:被害者学生と母が、2018年6月、かかりつけ医の紹介で、ある弁護士を尋ねたところ「自分は甲南大学大学院の関係者なので適任者を紹介する。君は非常にしっかりした人物なので、以後は自分で弁護士と相談し、親は大学に出向かない方が良い」と言われ、そのアドバイスで当時の代理人が決まった)。

現在の代理人弁護士に出会うまで、何人もの弁護士と話をしたが「甲南大学」と聞くと皆一変して無理だと断られた。これまでにも甲南ハラスメント問題は水面下で何度もあったらしいが、恐らくこのような事情でメディアで大きく報じられていないだけであることが遺族には漏れ聞こえてくる。

○ 母が、知人・友人・恩師達から聞いた被害者学生の様子

自宅に弔問に訪れてくれた当時のあるアルバイト先の店長曰く、「平素一番いきいきと仕事をしていたのに、3月のパワハラ後の時期、あまりに落ち込んだ様子だったので理由を尋ねると、『部長に嫌われて、その他と結託して悪い噂を流され、はぶられている。部活辞めたくないけど回避できない。大学に言ったが取り合ってくれなかった。みんなで丸め込んでいる。』と話した後『でも僕は、頑張ります。』と言っていた。」という。

一緒にアルバイトをしていた長年の親友は、「普段から部活動を誇らしく語っていた。だからこそ面くらった、自分の居場所が居場所じゃ無くなる辛さをその様子から感じた。当時の甲南大学の酷い対応を思い起こせば、悲しみと憤りが蘇る」という。

被害者学生は、おおらかで優しく小学校・中高の親友達からも人望厚く、直接指導を受けた恩師たちは一様に、「純真で責任感強く、人一倍努力家で、将来が楽しみだった」と無念の涙を流してくれた。(遺書には)家族全員と親友に、愛情あふれる自分の思いを綴り残している。また、自分が受けた被害の記録と、甲南大学及び加害者学生への抗議文もしっかりと綴り日付と名前のサインを記している。

【自死後の甲南大学の無責任な対応】

○ 甲南大学の隠蔽体質

甲南大学ハラスメント委員会は、本件の虚偽情報の拡散について、「現在に至ってなお格別問題視すべき事情までは無いといえる」と学生の被害を無かったものとした。被害者学生は、秋宗学生部長からの「どう処分してほしいか」という問いに対して「加害者部長の交代・当該部活動の休止」の2点を示したが、処分はされず、偽情報が打ち消されない状況の中で、文化会学生から被害者学生には、「団体を軽く見ている」という発言も飛び出した。早期に加害者に常識的な人間教育を行わなかった甲南大学の罪は深い。我が息子は、2018年3月以降、大学の対応に傷つきながら、徐々に聴力を失いつつも、自身の名誉回復に全力を尽くした末、同年10月抗議のために命を絶った。

甲南大学は、自らの大学の学生が、学生生活に関係する事柄を理由にして、しかも、大学にもその問題を訴えかけていたにも関わらず、命を絶ったというのに、学生の自死がわかった後も、遺族と向き合って言葉を交わすことはなかった。遺族と関わることを避けていた。その一方で、甲南大学は加害者学生及びその家族とこっそり会合し、いまだに加害者学生も「自分たちに問題は無い」と未だ当方への謝罪はない。

魅力ある他大学にも複数合格していたのに、本人が地元での起業を目的として「甲南大学」を選び、それに賛同してしまったことを遺族は心から後悔している。

大学においても、例えば旅行会社と同じように、万一の問題が起こった時に、初めてその大学の本当の価値が露呈するだろう。

しかし残念ながら、甲南大学は時代に逆行した「村社会」で、被害は隠蔽され、問題行動があっても、外部に漏れなければ誰も責任を取らない。被害内容の聞き取りは、途中から虚偽の自白を強要するようなやり取りに変容し、「やっていないから、言っていない!(父母の会事務局職員・会長も確認)」の学生の声を、甲南大学はメディアに「横領の事実は無かったものの男子学生が誤解を招く発言をしていて、他の学生が横領は真実と信じたのはやむを得ないと判断した。一連の本学の対応に問題はなく、第三者委員会の調査には応えられない」と更に誤解が生じるコメントを発し論点をすり替えた。それは、更なる惨憺たる名誉棄損のハラスメント行為である。

問題を問題としない甲南大学・Konan Universityの常識の感覚が一般社会常識とはズレていること、そうしなければ「2018年問題」(注2018年をめどに18歳以下の人口が減少期に入ることで、学生獲得戦争が過熱し、大学の倒産もありうるという問題)に対し甲南大学が生き残れない程の切羽詰まった状況であることを、母親は息子の自死を通じて嫌というほど知ってしまった。

パワハラ発生後、せめて、甲南大学が加害者部長を交代させるとか、適切な文章を出すなど何らかの適切な対処をしていれば、こんなことにはならなかっただろう。

「被害者学生自死」後に、非公開で当該部と加害者学生に軽微な「注意」など発しているが、「アリバイ工作」以外何の意味も無く、かけがえのない命は取り返せない。

○ 報道後の甲南大学の無神経な対応

2019年4月「甲南大学生自死報道」の後に、甲南の公式ネットMy KONAN上で「本学学生に関する報道について、(言い訳中略)本学の対応に問題は無かったと考えていますが、(言い訳中略)改めて心よりご冥福をお祈り申し上げます」という無神経な記載を見つけた。

甲南大学は、ひたすら「言い訳」を繰り返すのみである。学生を抗議自死に追いやり、1年半後に報道で暴かれ、ネット上で被害者に「冥福」という言葉を使うデリカシーの無さには、改めて驚いた。

かけがえのない大切な体は骨になっても、魂は、現在も信念を貫いて存在している。

○ 被害学生や家族に投げられた酷い言葉の数々

被害学生が抗議の自死に至るまでの間、あれほど、母親も言葉を尽くして何度も抗議したのに、甲南大学は被害者学生の基本的な人権さえ保護することなく「被害者と加害者の言い分が違うので、まだ納得できない」等とし、

加害者学生はラインで一斉連絡しながら排除目的のハラスメントを実行したのに(連載2回目に掲載)、「加害者達の口裏合わせだとは思わない」と取り合わなかった。

被害学生は、「何度も聞くと君の説明内容が異なっている」とも言われた。基本的な説明は何も変わっていない。何度も聞かれ、説明の仕方が変わった言葉尻を捉えられた。被害者を守るという発想は、かけらもなかった。毎回、怒りを通り越して呆れるばかりで、心身共に疲弊させられた。

ふりかえれば、甲南大学は、初動の間違いを引き返して訂正・謝罪せず、被害者学生と家族に以下のような暴言の数々を浴びせ続けた。

「大体君ね、いつまでそんなことを言っているの?黙らなければ君の就職にも響く」

「大学側はこれ以上に君を陥れることはしない」

「部のハラスメントとは?何のことですか」

「残念ながら君を要注意人物とみなす」

「君やったと言ったよね?」

「ハラスメントは認められなかった。現在に至っても問題だとは大学は認識していない」

「実社会では問題のあった人物が自分から辞めるのは普通のことだ(被害者に対して)」

「全部録音していますか?全部録音していなければ、うちの大学の学生の人数は多いのだから、いちいちこんな問題を覚えていられませんよ」

「いつまでも、そんなことばかり言っているから、もうお宅とは話をしたくないのですよ」「お母さんにも伝えた(?)、ハラスメントは個人対象であり、それを理解して訴えたはず」

 録音記録を全部文章化し書きだせば、まだまだありキリが無い。誰がこれらの「学生人権蔑視発言」をしたかは、当人がこの文章を読めば直ぐに、ぐさりと心に思い当たるだろう。

中井伊都子ハラスメント委員長は、「本学(甲南大学)における『キャンパスハラスメント』については規程第2条第1項各号に定義されているところ、本件においては、同項第3号『課外活動も含め学修活動のすべての領域において、優位な立場にある者が、その立場等を利用し、教育指導上逸脱した行為・言動によって相手方に心的傷害を与え活動意欲を失わせること』に該当するか否かを判断することとなる」とした上で、本件の問題点を指摘しつつも、「格別問題視すべき事情まではない」などと被害実態を無視し、『いずれも、キャンパスハラスメントに該当しない』」という甲南オリジナルの法を適用した。更に酷いことには、さも被害者学生に問題があるかのような、「被害トラブルについての苦情を書いた文章の内容が場違いなものであった」「部が組織的に情報を流している事実が確認できなかった」「部長らによる嫌疑の内容の周知は徒らに申立人(被害者学生)の悪事を広めるために行われたものではなく、(中略)逸脱した行為・言動であったとはいえない」等々の無茶苦茶な文言で「キャンパスハラスメントとは認定できない」という結論へと終着させた。そして、中井副学長(当時)、秋宗学生部長からの面談での最後の言葉掛けは、耳を疑うかのような「困った場合は力になるので、いつでも申し出てほしい」との、2018年3月からの経緯に真っ向から逆行する伝達であった。

「大学のどこに言えばいいのか。瑕疵で済まされているが、自分はダメージを負っている。納得がいかない。警察に届けることも考えている」と訴える当時の息子の心中を思い起こすほどに、なお悲痛である。

今となっては、一時でも甲南学園に関わったことが、遺族として無念極まりない結果となった。「人間教育」に合致しないイメージ営業優先の大学コンプライアンスを掲げ『閉鎖的な教育現場での言葉が学生を死に追いやった事実』を認識し、(大学の担当者は)生涯その事実を心に刻んで間違いを悔いて欲しい。

【なんの反省もない甲南大学】

甲南大学を信じて入学したことを悔やんでも悔やみきれない日々が、自死被害者学生とその遺族には、これから先も永遠に続くだろう。

より酷くなっていく甲南大学の高圧的な態度に、被害者学生は2018年6月以降母親に話していたーー「甲南大学∞マークは首を絞める綱にしか見えなくなってきた」と。

甲南大学HPより↓↓↓)

甲南大学を語るには5つ目のキーワード【ハラスメント】が要りそうである。

 

 

甲南大学での学生自死事件、その後 (3)

前々記事,前記事に続き、昨年4月に取り上げた案件

甲南大学での学生の自死事件(以前の記事)

についての続報である。また「一連の経過」を再掲して連載を始めたい:

2018年3月11日、甲南大学文化部(文化系サークルの集合体)において、歴代部長を中心とした部活動の上級生が、大学公認部の権限を利用し、目障りな下級生を排除するための名誉棄損誤情報をでっち上げ、意図的に外部に流布した。これが重大なパワーハラスメント事件の発端である。以下、ご家族の手記からの引用の続きである:

○ ハラスメント委員会への申立て

2018年5月には、被害者学生の名誉回復を求める文章を、長坂悦敬学長・吉沢英成理事長にも、母親直筆の手紙の形で直接手渡しており、大学トップもハラスメント問題をもちろん承知であった。(それでも)全く大学の動きが無いため、被害者学生と家族は、甲南ハラスメント委員会へ被害を届けた。

その後、中村英雄学生部事務部長・秋宗学生部長・中井伊都子ハラスメント委員長・父母の会事務局・ハラスメント委員会教授陣の連携により、学生の被害は救済されると思いきや、全く逆で、被害者学生と家族を疲弊させ、貶める方向へと進んでいった。

被害者学生と家族にとっては、時間ばかりが浪費され、SNS等で被害者学生に対する中傷が蔓延するとともに、甲南大学は被害者学生を救済するどころか、被害を無かったものとして徹底的にもみ消す行動に出た。

以下はこの間被害者学生が親友に送った一連のメールである:

 

被害者学生と家族にとっては、常識的に、そのような大学の対処は想定外であった。思い起こせば、「必ずちゃんとする」という甲南大学の発言を素直に信じたことが更なる悲劇の始まりであった。今となっては、2018年5月の時点で、甲南大学ハラスメント委員会ではなく、新聞報道やSNS上で抗議するべきであったと強く後悔している。

○ ハラスメント委員会の無責任な対応

その後も、甲南大学側は延々と答えを引き延ばし中傷被害が拡大した。

2018年9月11日、「ハラスメントが大学には起こらなかった。問題があったとは考えていない」というハラスメント委員長・中井伊都子当時副学長(現学長)は、公式コメントを発し、それは被害者学生を深く傷つける結果となった(下部に掲載は学長への報告文書)。しかも「甲南大学はハラスメントと認定しない」の対処が後押しとなって、加害者学生は更なる中傷文章を発した

その状況を被害者学生が納得できる訳もなく、大学に抗議を継続した結果、対応していた中井伊都子副学長・秋宗秀俊学生部長・中村英雄学生部事務部長らの被害者への言動と公式文章は被害者学生を貶める内容へとエスカレートしていった。

○ 大学に被害を訴えたために、逆に大学から被害を受ける

「自分を強制退部させたやり方が社会では通用しないやり方であり、部として問題だと考えているので処分に値する」という被害者学生の訴えに対して、中村部長は、「会社では、もし何か不祥事があった場合、自主的に会社を辞めるように勧めるやり方はある。当該部のやり方は社会で通用しない方法というわけではない」と被害者学生に発言した。

事件発生当初から抗議自死後までも続く一連の甲南大学の言動は、社会一般では通用しない

「君の言動が問題であったと考えている」という被害者学生の将来をぶち壊す甲南大学の的外れな発言に口をつぐむことなく「加害者を放置すれば、(甲南大学内では)また同じことが起こってしまう。自分はダメージを負っている」と被害者学生が大学職員に理路整然と抗議しても、全く対応されなかった。甲南大学・複数職員による、被害者学生一人を(3対1等で)無理やり屈服させて黙らせようとする被害者学生とのやり取りが繰り返された。

ハラスメント委員会での教授陣による「どの行為がキャンパスハラスメントに該当すると考えているか?」の質問の繰り返し。ハラスメント認定無し。それ以降、中井ハラスメント委員長・秋宗学生部長・中村学生部事務部長3人による面談は、理不尽で高圧的な到底納得できない内容であった。(傲慢不遜な一連の甲南関係者の言動記録は現存)その後も、反省無き当該加害者部員の無神経な言動・中傷も続いた。

被害者学生は、ハラスメント被害について、中井ハラスメント委員長に最後の最後まで電話で抗議したが、専横な返答に対して「もう僕は、それでもいいです」と電話を切った後「甲南大学はレベルが低すぎる!」と顔を真っ赤にして、こぶしを握り締めて憤慨していた。その時の息子の姿と声が、今も母親の脳裏に焼き付いている。「自分の将来についてじっくり考える」と母親に話し「もう甲南にいても何もならない。辛いだけや。勉強に関係なくいい学校じゃない。」と無念な気持ちを親友に伝えた。

心労から片耳の聴力も失った。

その後 (4)に続く。

甲南大学での学生自死事件、その後 (2)

前記事に続き、昨年4月に取り上げた案件

甲南大学での学生の自死事件(以前の記事)

についての続報である。まず「一連の経過」の表を再掲して連載を始めたい:

2018年3月11日、甲南大学文化部(文化系サークルの集合体)において、歴代部長を中心とした部活動の上級生が、大学公認部の権限を利用し、目障りな下級生を排除するための名誉棄損誤情報をでっち上げ、意図的に外部に流布した。これが重大なパワーハラスメント事件の発端である。以下、ご家族の手記からの引用の続きである:

【事件概略

事の起こりは、2018年3月11日、甲南大学が公認する部活動において(歴代部長を中心とした)上級生が部の権限を利用し、目障りな被害者学生の存在を排除するために、名誉棄損誤情報をでっち上げ、意図的に外部に吹聴したパワーハラスメントである。

被害者学生が事件直後に大学に被害を申し出たにも拘わらず、甲南大学の適切な対応が成されず学生の被害は拡大していき、同年5月以降の甲南大学パワーハラスメントの隠蔽を目的とする対応(甲南大学によるアカデミックハラスメント)が被害者学生を自死へと追いやった。

【甲南大学公認文化会・公認部の名誉棄損パワハラ発生~抗議自死までの経緯】

○ 部の上級生による名誉毀損パワハラの発生

被害者学生は、2017年入学以来、甲南大学公認の文化部活動において、中高一貫進学校での豊富な行事参加経験を基に、1年生でありながら学園祭企画等で統率力を発揮した。また、次期部長のポジションに決定し、他大学との連携活動も責任感を持って行っていた。

自分の考えと常識を持ち合わせ、上級生の理不尽な要求(無理やりの髪染め・合宿での深夜に及ぶ飲食会合の強制、部の計画性の欠如)があったが、それに迎合することなく、部長らの行動の倫理的間違いを指摘・注意した。

結果的に、その経緯によって部長ら上級生からは目障りな存在になってしまった。しかし、被害者学生は、仲間として部員を信じて積極的に部活動に参加していた。まさか上級生の妬み嫉みを生み出し、彼らの悪質なハラスメントで自分の学生生活が台無しになるとは、全く予測できなかった。

学年末、2018年3月、当時の歴代部長3人(4年男子元々部長・3年女子元部長・2年女子当時部長)は結託し、被害者学生を部から排除することを目的として、周到な計画の下、無実の被害者学生を「2017年度11月文化祭の売上げを横領した人物」に仕立て上げ、強制退部とした。更には、部長の権限を利用して、他のクラブへの入部拒否の要請文(甲南公式部捺印)を出した。その偽りの情報は、甲南大学のみならず、他大学にも吹聴された。

このパワーハラスメントは、「通り魔に刺されたような被害」でショックが大きかった。

部長を中心とした部内の上級生たちは、被害者学生(気に入らない人物)を排除する方法をライン等で繰り返しミーティングし、犯罪的な中傷をでっち上げ、平穏だった被害者学生の学生生活を破壊する異常な行動を引き起こした。

被害者学生は、甲南大学の学生相談窓口に相談をした。SNS上でも理不尽な中傷被害を受けている被害者学生に対して、甲南大学中村英雄学生部事務部長は、「知らない人がほとんどだから気にすることはない」と何度もやり過ごした。被害者学生は担任教授にも付き添いを依頼し、甲南大学学生部に再度被害を申し出た。事件発生当初より、学生が横領をしていないことは残されていた伝票上も明らかで、それを証言する経理の学生の存在もあった。秋宗学生部長が事件聞き取りを開始したが、被害者の痛みを理解している様子は無かった。

3月より名誉回復の処置(正門掲示板やMy KONAN=甲南大学在学生HPへの訂正と名誉回復文章の掲示)を何度も要望した。ようやく5月の連休明けに、甲南大学が特別な処置と称する文章が正門前に掲示された (下の写真のポスター)。ところが、特別な処置と称するそのポスターは、当時の大学HPのハラスメント一般に関する解説頁を単にカラーコピーしたものに過ぎず、何らの名誉回復の内容も含まれていない。これは、大学当局のこの事件に対する鈍い感覚とやる気・真剣味の無さを象徴しており、その内容の無さゆえに、その後も被害者の悪い噂の拡大は止まることは無かった。

念のために拡大してみると

やはり大学HPのハラスメント関連ページのコピーであった。なお、自死事件後の現在では、ハラスメント説明ページは、事件当時のハラスメント定義と比較すると、2018年のハラスメント自死事件が定義内容に当てはまらないように修正され、より簡略化した内容の文章が掲載されている。

(現在の甲南大学HPのハラスメント関連ページ)

https://www.konan-u.ac.jp/life/campus_harassment/

○ 大阪法テラスで弁護士にも相談

2018年5月になっても適切な対応が無いため、被害者学生は大阪法テラス・弁護士への相談に出向いた。5月18日、母親が甲南大学に出向き、中井当時副学長(現学長)、秋宗学生部長(現学部長・理事)、中村英雄学生部事務部長に面談し「法テラスに相談している」と伝えると、甲南大学側は、甲南大学学生部個室で被害者学生の母親に「申し訳なかった。対処に困っている。加害者学生はおそらく反省していないので、訓告か勧告を考えている」と発言していた。しかし、実際には被害者学生名誉回復への大学の適切な対応はなされず、中傷被害は拡散し続け、被害者学生は体調を崩していった。

5月25日、危機感を感じた母親は、甲南大学による名誉回復のための文章の掲示を求め、原案を甲南大学・学生部において中村学生部事務部長に目の前で書かせ(甲南父母の会事務局立会い)その場でコピーも取ったが、その文章の公表は実現せず、現在も闇へと葬られたままである。以下がその時書かせた文章(中村学生部長直筆)のコピーの写真である

(かすれて読みにくい部分もあるので活字にすると)

その後 (3)に続く。