甲南大学被害者学生は、なぜ、どのような経緯で、死ななければならなかったのか。甲南大学で、学生へのハラスメント被害はどのようにして隠蔽されていったのか。
今後の学生が安心して過ごせる学校となるために、学生を死に至らせた甲南大学の不適切な対応を改めて糾弾せざるを得ない。
被害者学生の遺書には「自殺に至った主な原因は、(中略)文化会による名誉毀損などによる精神ダメージです。(中略)甲南大学の対応も遅く私は限界となりました。以上のことにより3月より精神が著しく削られ私は自殺します。」と記されている。(遺書に名前記載がある)加害者学生への適正な処分も大学からは行われていない。事件隠蔽の中、甲南大学は被害者学生死亡のわずか5日後、半年を切った100周年を盛り上げるキャンペーンを大学HPでアナウンスし(下1枚目写真)、更に約1ヶ月後には文化会表彰式:祝賀会を開催しており(下2枚目写真)、在校生に死者を出した当事者・責任者として何の反省も無いどころか事件の無視・隠蔽をしている。
しかしながら、抗議自死の翌年(2019年)、ハラスメント対応当事者である中井伊都子氏は、甲南大学の学長就任、同時に国連人権理事会諮問委員にも就任している!自分の大学の学生の人権さえ守れない人物がどうして国連人権関連組織の諮問委員なのか?なお、歴代甲南大学学長(長坂氏、中井氏)の定番挨拶締めの言葉として「是非とも、甲南関係者からの苦言、提言、ご意見をよせていただきたい。皆さまのご意見に耳を傾けて人物教育してまいります」という文言がある。事件当時、それを信じた被害者学生と家族は、どれだけ甲南大学側に直訴したことか。(甲南大学/中村英雄氏、秋宗秀俊氏、中井伊都子氏、長坂悦敬氏、父母の会経由で吉沢秀成氏、ハラスメントメント委員会の複数教授陣、中村圭吾氏、その他事務員らに直訴)。しかし、逆に圧迫面談で神経を削がれ無駄に時間ばかり引き延ばされた末、見殺しにされて抗議の自殺に至ったのである。その後の遺族からの言葉も無視されたままである。
当該学生が所属していた文化会表彰式:祝賀会(当該学生被害抗議自死後1ヶ月未満で開催)(前列左から、1人目:秋宗秀俊(元文化会学生部長)、4人目:長坂悦敬(元学長)、5人目:吉沢秀成(元理事長)
甲南大学が公言している「人物教育」とは程遠いこれらの対応は社会的に不適切であり、被害者学生の「人権」は今現在も踏み躪られたままである。被害者学生と遺族にとっては、遺憾以上の気持ちで、これまでの経緯は命に関わる辛い「精神的虐待」である。2019年の一連の新聞報道、2021年5月国会での発信(参議院文教委員会での質問)-文科省大臣答弁(本ブログバックナンバー2021年6月6日記事参照)の後も、風化による泣き寝入りを待つだけの当大学の姿勢を、元在校生の家族として大変恥ずかしく思う。2021年12月に甲南大学に向けて出された文科省からの「遺族に真摯に対応するように要請しております」という通達すら大学当局からは無視されたままである。これらを考えると、被害者学生の遺族は上に明らかにした大学執行部・幹部らの責任をどこまでも追求し続けると共に、そもそも「大学自治」自体に問題があり、重大なアカデミックハラスメント事件を適切に解決できない(私立を含む)大学に対しては「被害者学生の権利を守る法」を国会において是非早急に整えてもらいたいと考えている。