山形大学の“その後” (2)

パワーハラスメント問題

 先に触れた学生への一連のパワハラ事件と並行して推移し、世間を騒がせ呆れさせているのがこの件である。まず経過をかいつまんでみてみると、以下のようになる。

2016/1月    山形大のxEV飯豊研究センター(移動体用蓄電池の産学共同研究センター)、山形大学と山形県飯豊町が山形県飯豊町に整備。出資額は各8億円と7億円。

2017/3-5月   同研究センターの職員3人がセンター長の50代男性教授からパワハラを受けたとして相次いで退職したことが発覚。

2017/5 月~   同大職員組合、センター長の行為を把握しているかどうか、を問う学長宛の質問書を2度提出。これに対し大学側の対応は一貫して冷淡で、告発を無視し続けた。

2017/11月   大学が学内調査に乗り出す(特別対策委員会を設置)。これ以前(10月)に、職員への暴言を記した書置きや張り紙の画像を組合が証拠として公表し、これまでの対応を抜本的に見直すよう求める書面を(大学に)提出。社会的な批判が強まる。

2018/7/24     xEV飯豊研究センター長に減給1万円(1日分給与半額)の懲戒処分を発表。「有り得ない軽さ」と職員組合批判。

2018/8/1        「対策委員会」による2月の聞き取り調査の際、大学側が被害者に、聴取詳細を他言しないことなどを内容とする誓約書への署名を迫った(口止めを強要した)ことが判明。職員組合発表。

2018/9/6       小山学長は、定例記者会見で「(飯塚博)工学部長の(職員組合からパワハラを裏付ける資料を受け取っていながら、大学本部への報告や事実確認等をしなかった)対応は適切」との認識示す。

 この経過をたどるだけでも、学生に対するパワハラ事案に勝るとも劣らぬ迷走ぶりである。特徴的なことは、

a) 最優先になっているのは、ハラスメント被害者の救済でなく、地域と文部科学省に対する大学のメンツであり、そのために加害者を陳腐なまでに防衛する姿勢が顕著なこと。

b) 処分は学内規定によった、ということらしいが、準用したセクハラの規定のうち軽い方を適用しかつその中で最も軽い処分としていること。これは果たして実質的な処分なのか?

2)発覚-調査-処分という一連の流れの中で、被害者への謝罪や補償が一切行われていない上、事情聴取の口止め等まで行おうとしていること。特に「口止め」はさらなる人権侵害に当たる。被害者が同僚や弁護士にさえ相談できなくなり一層孤立化する。

3)職員組合も指摘しているように、ハラスメント防止体制の整備、見直し・再構築等が一連の諸事案を経た前後で極めて不十分で、様々なハラスメントの温床が依然として放置されたままであること。

 もし昨年9月の時点で、事件を「終息」としているなら、学生や父兄だけでなく、地域社会も到底納得していないのではと思われる。事ここに至って、今後の本プロジェクトの大々的発展は本当にあり得るのだろうか?センター長はこの分野の実績を買われ、企業から大学へ移った人材である。企業と大学との人的交流は、基本的には進められるべきであり、実際閉鎖社会である大学に新風を吹き込み新しい化学反応が起きている例も多くある。また、一部では企業人の方がいわゆる「世間的常識」があり、ハラスメントについても外面を気にする企業風土で育った故に意識も高い、という見方もある。しかしながら個々のケースでは必ずしもそうではない。大学も、特に組織の将来をかけたキーパーソン(理事等の役員も含まれる)を外部から招へいする場合には、専門分野の実績に加え、やはりハラスメント歴(現在は“評判”でも法律が出来れば犯歴?)についての「身体検査」が不可欠な時代になっているのではないだろうか?