セクハラ常習教員がのさばりはびこった結果組織モラルが崩壊 (3)

米国のセクハラ常習教員との大きな違いは、A教授が無名であったことで学会的にも目立つ存在では無かった。その結果、大学内外で常習的セクハラが問題にされることを世論の盲点を利用してうまくすり抜け、(組織の中枢に)居座り続けることになった。こうなると教職員全体のモラルも次第に低下する。なぜなら、少々のことでは何ら処分を受けることは無いと高を括る教職員が増え、人権意識はさらに低下してハラスメント加害者は増えると言う悪循環に陥るからである。実際この組織では、ハラスメント委員会は殆ど機能していず、過去10年以上に渡り外部に発表された不祥事は1件も無い(?)一方で、教員が学生に「手を出す」例が目立つようである。例えば数年前にも、若手教授Eが女子大学院生と不倫の末離婚したケースが知られている。

今後高等教育機関等への就職・進学などを考えておられる生徒・学生の皆さんやその父兄の方々には、希望異動先をきちんと調査され、このような組織.機関だけは何としても避けて頂きたいと思います。

セクハラ事例 [p1806-180531] (3)(北信越、教育機関)(資料有、特定開示可能)

セクハラ常習教員がのさばりはびこった結果組織モラルが崩壊 (2)

しかしながらA教授は、所属組織内ではセクハラ常習教員としてそれなりの処遇に甘んじて来たが、あるとき組織の執行部に接近し入り込む機会を得た。他組織の教員はA教授の「前科」を知らないので、表面的な判断に基づき執行部への参加を許してしまった。古参教授の一人であったDはそのことに気付いて危機感を抱き、当時の学長と相談して公益通報制度によりその不正を告発したが、事態の混乱を恐れる事務局長(大学の事務方トップ=理事)は、情報提供者に圧力をかけつつ、最初の公益通報委員会でその告発を却下する結論を誘導し、結局A教授の件はそれ以上議論されることはなかった。理由としては、被害者本人からその後の訴えが無いこと、被害者への二次ハラスメントになりうること、性犯罪における刑事事件の時効が過ぎていること等があげられたが、急いで結論を出すため被害者への事情聴取等は一切なされなかった。その結果、新しい学長のもとA教授は執行部メンバーとして居座り続けている。

セクハラ事例 [s1806-180530] (2)(北信越、教育機関)(資料有、特定開示可能)

大学生の自殺について (2)-2

大分大学のケース (2)

この経過は実は特筆すべきものであることに注意したい。なぜなら、

  • 本人が死亡し加害者が退職後も、大学が代理人(親族)の申し立てを受け入れ、第三者委員会を設置して調査を進めたこと。これは従来、日本の大学等で一般的であった、ハラスメント事案の調査を内部的な狭い範囲の調査のみで済ませ、その間に遺族を説得して外部調査の要求や裁判を放棄させるやり方とは明らかに一線を画した取り組みである。
  • 大学は、調査結果を比較的詳しく公開し、多角的に認定したハラスメントにつき大学の責任を認めると同時に関係者の処分を行ったこと。第三者委員会を設けて調査しても、外部は言うまでも無く、組織内部や遺族にさえ公開が制限されるケースは珍しくない。加害当事者のみでなく監督責任者の処分まで公開するのは前向きの姿勢である。これらはコンプライアンス的にもしっかりした対応であり、遺族との示談成立を後押ししたのではないかと推測される。

実際対照的なケースとして、「日大生の連続【アカハラ自殺】」が挙げられる。日大の獣医学部が背後にアカハラがあったと思われる2人の学生の自殺者を出し、その内一人の院生の遺族が調査委員会の設置と教授会での議論を求めたものの、執行部は無視を続けた。学部関係者はアカハラによる自殺を組織的に隠した疑いを示している。関係ネット媒体による「遺族が望む調査委を設けない理由」を問う取材に、「事件」の起きた学部の学部長は「取材拒否」の文書を返送した。

私たちの自己紹介でも述べたように、高等教育研究機関自らによる、様々なハラスメント事案についての客観的な調査=自浄能力は、殆ど期待できないのが現状である。第三者機関による調査とハラスメント認定、関係者の処分(公表が望ましい)を問題解決の標準的なプロセスとすべく、今後も継続的な努力が必要である。(A)

セクハラ常習教員がのさばりはびこった結果組織モラルが崩壊 (1)

 ある大学の教授Aは40代で着任当初から様々なセクシャルハラスメントを常習的に繰り返し、その期間は既に20年にも及ぶ。日常的な犠牲者は研究室に配属された女子学生・院生で、研究室内でその種の行為が絶えず、ある学生Bさんからは保健センターを通じて学長に直接訴えが出された。また、出張先で別の大学院生Cさんの部屋を度々尋ねるという行為も繰り返された。さらには、その間に、事務職員、大学の他職員の配偶者や大学に出入りしている企業の社員(いずれも女性)にまでハラスメントを行っているという証言もあった。保健センターのスタッフは、A教授への警報を多くの然るべき関係者に伝えるということを日常的に心掛けていたようである。

 ところが、初期はハラスメント対策等が未整備であったこともあり、当人は何ら厳しい指摘や処分等を受けることは無く、わずかにBさんのケースに関連して(理由を明示しない形での)Bさんの研究室所属変更が認められたのみであった。ただ、このとき当時の学長の事情聴取に対し、A教授を採用した前学長のもとへ駆け込み、善後策を相談している。

セクハラ事例 [s1806-180530] (1)(北信越、教育機関)(資料有、特定開示可能)

A教授セクハラデータ1

 最初の報告書は関係者へのヒアリング結果をまとめたもので、これをもとに、この事案の告発は学内公益通報制度を利用して行われた(学内ハラスメント委員会は実質的に機能していなかったようです)。最終ページの告発状は、学内の通報とほぼ同時に文科省へ提出されたものである、ということでした。

A教授セクハラデータ2

 これらは、ハラスメント被害者からの訴えにより「研究室の変更が認められた記録」である。当時の教授会の関連資料で、指導教員がT教授からM教授に変わったことが公式に記録されている、ということでした。

A先生セクハラデータ3

 内部の公益通報制度による告発に対して、ほぼ1か月の「放置」の後になされた回答である。もとから調査要求に対応する気は無く「面倒なことはさっさと幕引きしたい。そのためできる限りの形式的理由を考えました」という事務当局の意向と焦りが透けて見えます。なお、「放置」の期間中に「情報提供者」を恫喝しつつ「事情聴取」を行ったことも明らかになっている一方で、被害者の調査(特定)の努力や直接のアクセスの試みは一切無かったようです。具体的な当事者を特定しないで強引に結論を出すという拙速な対応はよほど「やましい」ところがあるのでしょう。

A先生セクハラデータ4

 データ3の回答を受け、告発者が「公益通報支援センター」に連絡・相談したときの文書ということです。

注)これらの資料で上記記事内A教授、BさんはそれぞれT教授、Aさんになっています。

大学生の自殺について (2)-1

大分大学のケース (1)

2015年2月、当時20代であった経済学部3年の学生が自殺した。この事案の経過を以下に要約する。

2014年7月-2015年1月、指導を受けていた講師から研究発表内容等に関し、LINE等による執拗な否定・叱責を受けた。ほぼ1年後の2016年3月、その講師は任期満了で退職。

2016年6月、大分大学は記者会見で、その講師の行為はアカデミックハラスメントにあたると認定した上で、調査委員会を設置し自殺との因果関係を調べると発表。これは被害者の父親からの「(これまでの)内部調査ではハラスメントと自殺との因果関係が明らかにされていない」との申し立てを受けた措置。

2016年12月、第三者委員会の報告書を発表(関係者22人から事情を聴き、被害者のスマートフォンからLINEの記録を調べた)。被害学生が生前に遺書を2回書いていたこと等から、アカデミックハラスメントで精神的に追い込まれたと判断し、「指導・教育を逸脱した」と元講師の責任を認めた。また、この元講師の指導態度に問題があると周囲の人たちが元講師を指導する準教授に相談したのに、准教授が詳しく調べなかったことも指摘。学生の安全に配慮する大学の注意義務違反も認定。

2017年1月、大分大学、当時の監督責任を問い、前経済学部長とゼミを指導する準教授を戒告処分。月末、大学と遺族で示談が成立。(管理人A)

https://mainichi.jp/articles/20161228/k00/00m/040/157000c: http://naka3-3dsukihatenablog.com/entry/2017/08/01/073000: https://ringosha.jp/oita-university-academicharassment-akahara-31178

「ダウン症は社会コストだ」と発言する教員

大学院生のAさんはダウン症の社会参画に対する研究を行っていた。Aさんの研究発表会の場で、教員Yは「ダウン症は社会コストである」と発言した。その研究会の出席者は全員、ショックを受け言葉を失うとともに、この心ない発言に深く傷ついたAさんは、しばらく大学に近づけなくなった。

パワハラ事例 [p1804-180523](関西、教育機関)

学生に暴力をふるい、教授会でその学生を嘘つき呼ばわりする

大学院生のCさんは入学後、本人の意思とは無関係にあてがわれた2人の指導教員XおよびYと折り合いが悪かったので指導教員変更の希望をXに表明したところ、Xは毎月行うCさんとの面談で、Cさんを追い詰め、ある日のことついに暴力に及ぶに至った。Xから暴力を受けたCさんはうつ状態となり、文章が書けなくなって、けっきょく進級判定のための論文を遅れて出した。それを根拠として、YはCさんの「進級不可」を判断し、教授会はそれを組織決定した。その後も、XとYはCさんを執拗に攻撃し、Cさんはけっきょく退学を余儀なくされた。

なお、暴力を受けた直後に、Cさんは人権委員会にその暴力を提訴した。人権委員会はおざなりの調査をしたのちに「ハラスメントは確認されなかった」と結論を出した。ところがXは教授会でこのプライベート事案を、Cさんの実名を挙げて報告し、その際に「ハラスメントは認定されなかった」と虚偽の表明をした。Yも「Cさんは嘘をついている」とXを擁護。そのため、全教員は、Cさんが嘘をついたと判断して、結果的にCさんの人権は損なわれた。

パワハラ事例 [p1805-180523](関西、教育機関)

学生が他の教員から助言を受けたことに立腹した指導教員が留年を強要

大学院生のAさんは数年前に某大学大学院に入学後、本人の意思とは無関係に決められた指導教員Bと折り合いが悪かった。しかし半年ほど経って、研究テーマについて他の教員に相談に行き、良いアイディアを得た。そのことをBに相談したところ、勝手に他の教員に相談したことを強く叱責され、それ以降関係がさらに悪化した。結果的にBは、客観的理由なくAさんを「進級不可」と判定して留年させた。

パワハラ事例 [p1803-180520](関西、教育機関)

大学生の自殺について (1)

若年層の死因第1位が自殺の国=日本 

大学での教員によるハラスメントをきっかけとする学生の自殺や精神病の発症は前から気になっていたので、まずは自殺について少し調べてみました。多くの統計や記事等[1][2]で共通に指摘されているのは、1990年代以降の日本における若年層(19‐34歳)の自殺率の顕著な増加です。若年層の自殺率(10万人あたりの自殺者数)は1990年の約7から2014年の15程度に上昇しています(世界トップ!)。同様な傾向は、韓国ではみられるが他の欧米先進国では軒並み10以下まで下がっているのに、です。年代別では、1999年と2014年を比較すると、1999年不景気でピークであった50歳代の自殺でも減っているのに若年層だけが増えていることが解っています。

まさにこの失われた20‐30年、私たちは若い人に困難を押し付けていわゆる「豊かな社会」に固執し、その維持に汲々としてきたようです。消費も増えず出生率も一向に回復しないのは、決して彼らだけのせいではないでしょう。

http://blogos.com/article/60643:  厚生労働省各種統計資料等