本事件の代理人と遺族は、本年4月に続きこの9月初め、再度、甲南大学学生自死事件に関連する通知書を文科省に送付し、その到着を確認しました。そして最近(9月22日)文科省から回答がありました。以下にその通知書と添付した遺族のコメント、及び文科省からの回答を掲載します。
現学長の中井伊都子氏は,来年3月任期終了予定ですが、本事件当時のハラスメント委員会委員長として「ハラスメントは無かった」という事件隠蔽のための間違った判断を公にし、被害学生を自死に追い込んだ張本人であり、このまま事件の責任を取ることなく退任(理事長に昇格!?)することは許されません。
遺族と代理人、及び遺族を支援するチームは、これまでに様々な啓もう・宣伝活動をふまえて、引き続き甲南大学の責任を追及し、謝罪と補償を求める動きをさらに加速する予定です。今後の皆様のご協力を宜しくお願いします。
(事件の漫画版youtubeの1ページ)
これまでに作成したyoutubeのURLは以下の通りです。ご視聴をお願いします。
漫画版:https://www.youtube.com/watch?v=5T350Eik9Zs
テキスト版(日本語):https://youtu.be/JHQ78GyIAlI
テキスト版(英語):https://youtu.be/BE1ChgJfT9E
通知書:
通知書(引き続きの対応の要請)
阿部俊子文部科学省大臣 殿
前略 私は、神戸市東灘区にある私立甲南大学(学校法人甲南学園が設置)に通学していた●●の母○○の代理人をつとめる弁護士です。
平成30年3月、当時甲南大学一回生であった●●が所属していた同大学の○○部の部長及び前年度の部長が、●●が○○部において出店した学園祭の模擬店で売上金を横領した等という事実無根の名誉棄損情報を流し、根拠なく強制退部としました。この名誉毀損情報は、学内の数多くの文化部、文化部に所属する学生、さらには他の学生のほか、他大学の団体にも拡散し、●●は、多数の見知らぬ他者からの心無い中傷を口頭やSNSで受け、本人にとって大切な「信頼」という財産をぶち壊され、将来の社会的生命を絶つ取り返しのつかない事態を招きました。甲南大学は、当時、●●本人から相談を受けていたにも関わらず、適切な名誉回復措置をとらず、さらには、●●が当該名誉毀損情報の拡散がハラスメントであると申立をしたにも関わらず、大学のキャンパス・ハラスメント委員会はこれに該当しないと誤った判断をしたこと等から、●●は、平成30年10月に、抗議の自死に至りました。
【要望の趣旨】
令和4年3月14日付で、御省から当職宛に「大学に対し、御遺族に対して丁寧に説明することなど、真摯に対応するように要請しております。こちらの要請に対して、大学からは、丁寧に対応していくとの回答をいただいております」とのご連絡をいただいておりますが、本日現在、未だに大学側からは、何の連絡もありません。本人及び遺族に対し、大学が真摯に事実関係を調査の上、謝罪するよう指導をしていただきたく改めて要請します。なお、この件について、母○○からのコメントがありますので、
添付します(●●を被害学生と表記しております)。
※本要請に対する文部科学省についてなされた対応や文科省の考えを、本書到達後 2週間以内に書面でご回答下さい。
令和7年9月3日
530-0047
大阪市北区西天満3丁目14番16号西天満パークビル3号館8階
電話 06-6316-1118(代) FAX 06-6316-0685
い ぶ き 法 律 事 務 所 弁護士 岩 佐 嘉 彦
遺族のコメント(付属資料):
母○○のコメント
甲南大学のハラスメント放置により、学生から死者が出たことに対し、文部科学省としても真摯に受け止め、対応していただきますよう要望します。
甲南大学は、2018 年(平成 30 年)3 月、大学が公認するクラブ活動における上級生のハラスメント(被害学生が売上金を横領した等といった虚偽情報の拡散と被害学生に対する根拠のない強制退部)を制止せず、被害学生の声を無視した。そして、当該部への処分を行うどころか、同年4月、大学公式組織である文化会において、秋宗秀俊学生部長指導の責任下で、全文化部に対し、部のお金を横領した人物として、強制退部したことが通知された。秋宗部長は「君やったよね」と被害学生に発言し、伝票を確認するといった調査もなされないまま、事実無根の誤情報が拡散された。その甚大な名誉毀損被害に対して、甲南大学から被害学生への適切な救済処置及び的確な訂正は行われず、逆に、学生の被害が拡大した。さらに、同年9月、甲南大学は、ハラスメント自体が無かったと事件を隠蔽した。
当然、その対応に納得出来ない被害学生は、自身へのいわれなき名誉毀損を払拭するため「ハラスメントを実行した部長の交代、ハラスメントを行った部活動の一時停止」を主張し「自分はダメージを負っている。納得出来ない」とさらに訴え続けたが、大学側は被害学生を被害者として扱うことなく、秋宗秀俊氏は「当時から部活の停止はないことを伝えている」と取り合わず、中井伊都子副学長は「今もなお問題になっているとは判断していない」と、被害救済とは真逆の高圧的態度の対応をし、被害学生は益々疲弊した上、7か月間訴え続けた名誉毀損被害を無かったものとされた。その日々の苦悩を「全力でやってもやっても、、、ちょっと悩みすぎて、、くそ疲れたわ」と随時親友にメールや口頭で語っている。
そして、被害学生は、最終的な抗議の手段として、自身の尊厳を守るため、同年 10 月17日、遺書を残して、自死に至った。
生前のやり取りで、甲南大学のトップとして「ハラスメントは認めない、現在に至ってなお問題視すべき事情まではないといえる」との言葉を繰り返して、被害学生に泣き寝入りを強いた人物である中井伊都子氏(当時ハラスメント委員長、当時副学長)が、学生死亡後の2020年に、学長に就任。事後対応は一切皆無のまま、嘘の情報を発信し、2024年には、再任までしている。
生前から死亡後の一連の大学の対応は著しく被害学生の尊厳を傷つけるものでり、遺族に対する更なる精神的加害行動である。
2018年当時ハラスメントを行った学生らには、2024年神戸地裁、2025年大阪高裁において、賠償命令が出ている。その間、新聞や国会での発信があっても、前文科大臣から遺族に真摯に対応するように通達があっても、教育機関である甲南大学が、クラブ活動で死者を出したこと、大学の対応が不適切であったことへの反省を示したことは無い。そして、事件再発防止のための措置も行わず、自治体に学生の死亡報告もしていないことを遺族は知った。
遺族の告発によるメディアからの取材や、学生への大学HPには「大学の対応に問題はなかった」と発信しており、大学の初動の間違いを発端とする学生の死を軽視したままである。
学生の死の当日より、大学から職員には緘口令が出ており、現在に至って遺族への対応は一切皆無のまま、大学から一人の弔問もなく、7年も放置されてきた。
中井伊都子氏は学長として、笑顔で『人物教育の甲南』や「今後も各組織で『甲南らしさ』を追求していきます。」と大学ネット広告で発信しているが、被害学生の命を慈しむという基本的で常識的な教育から脱線していることは、遺族として否めない。被害学生は生前、自身で大学に対しハラスメント被害を整然と7か月間も訴え続け、抗議と苦悩の言葉を文章で残している。
「このまま何の処置もなしに活動を続行させてしまうと、後々の彼らのためにならないです。今回のことを何も罰せずに、そのままにすると、又、同じことが起こってしまうと考えているので、処分をお願いします(2018年7月)。強制退部の措置について、全体としてハラスメントが行われたと思う(同年 8 月)。強制退部はハラスメントではないのか、納得がいかない、いったい大学のどこに言えばいいのか、自分はダメージを負っている。(同年 9 月)もう甲南にいても何もならない、勉強とか関係なくいい学校じゃない、無駄な学費を払う気にもなれない(同年10月)」その他一連の記録が残されている。事件のあった3月に、被害学生が自ら学生部に被害を届け、中村英雄事務学生部長、秋宗秀俊教授学生部長、中井伊都子副学長、当時父母の会会長、長坂悦敬当時学長、吉沢当時理事長にも、被害学生と母親から報告し悲痛な状況を相談していた。
事件当時の当該部活動、文化会常任委員会、部長会における学生たちの謂れなき高圧的対応も軽率なハラスメントとして反省すべきもので、被害学生を苦しめたが、その後大学から生徒への適切な指導も事件説明も成されていない。驚くべきことにその後は、最悪の結果となった学生の死を隠蔽したまま、甲南大学では当該公認部活動に対し、学長顕彰授与表彰式や祝賀会が繰り返し開催され、ネット上で祝賀会の様子が発信されている。この7年間の『甲南らしさ』?の大学による行為は教育機関として問題視すべきもので、再発防止ができているとは到底いえない。
遺族は被害学生の意志を引き続き、甲南大学に説明責任と被害学生への謝罪を求めます。国としても対応をお願いいたします。
文科省からの回答(9月22日付)
甲南大学は教育機関として、また当時関わった大学職員は人間として、まともな対応をして下さい。甲南大学が誠意ある姿勢を示されることを強く望みます。