20年間続くパワーハラスメント(甲南大学)(3)

公判概要(後半)(引き続き新世紀ユニオン「委員長のブログ」からの引用)

この裁判は甲南大学とK教授を被告とするが、甲南大学側はほとんど争わず、書面も出さない。K教授側は全面的に争い、判決まで行くすう勢にあったが、この勇気ある証人C先生の登場で長年非常勤講師にパワハラを繰り返してきたK教授が敗訴することは決定的となった。原告のBさんは判決を望んでいたので、解決金が高額なものでない限り、裁判官が考えている和解が成立する可能性はなくなった。

 また、原告は2017年2月17日に甲南大学キャンパスハラスメント調査委員会の調査報告書の「提出命令申立書」を提出していた。この調査報告書は原告のB先生が個人で大学に開示を求めて拒否されていたものである。この「調査報告書」が2017年3月に開示された。

  • 2018年12月、大阪地裁で判決、部分的勝利!

判決主文は

1 被告らは、原告に対し、連帯して55万円及びこれに対する平成28年9月9日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。

2 原告のその余の請求を棄却する。

3 訴訟費用は、これを4分し、その3を原告の負担とし、その余を被告らの負担とする。

4 この判決は、第1項にかぎり、仮に執行することができる。

との内容であった。

 部分的な勝利に終わった原因は1名の証人が尋問の段階で証人に出るのをドタキャンしたことによる(証人尋問で原告のBさんは2名の証人を用意し陳述書も出来ていた。ところが不思議な事に、原告弁護士が「1名でよい」といい、この結果裁判官が被告側の証人の証言を採用した)。

 B先生は支持者と相談した結果、原告としては費用等の面から控訴しなかった。被告の内甲南大学は判決を受け入れるとの意向が弁護士に伝えられたが、パワハラの調本人である被告のK教授は高裁に控訴するとともに、金40万円の保証金を積んで強制執行の停止を申請し、裁判所はそれを認めた。高裁ではK教授の控訴人側との争いとなったが裁判の中で甲南大学側が提出した調査委員会報告は、K教授のパワハラを部分的に認めており、この点に限り勝訴となった。被告の甲南大学側が控訴しなかったのもこの報告がパワハラを部分的に認めていたためであろうと推測できる。

  • 2019年5月、大阪高裁で勝訴判決!

 甲南大学K教授の権威主義に基づくパワハラについて、大阪地裁での一部勝訴事案で、一方の甲南大学側が判決を受け入れ、慰謝料を支払ったのとは対照的に、他方の被告側のK教授が控訴した事案の判決が、5月17日大阪高裁であった。(この事案では被控訴人側は代理人なしで闘った)。

 この控訴審では、K教授は非常勤講師達に白紙の紙に署名させたうえで証拠を偽造し、パワハラを否定する戦術に出てきたが、証拠の偽造に反発し怒った何人かの非常勤講師が勇気を奮い起し、陳述書を提出したことが勝訴につながった。判決は、主文「本件控訴を棄却する、訴訟費用は控訴人の負担とする」という、被控訴人(=パワハラの被害者のB先生)の勝訴となった。

 

  • 甲南大学に団体交渉を申し入れ

 2019年7月、ユニオン側は団体交渉申し入れ書を送付した。大学への団体交渉はたいてい時間が取れる夏休みになる。それはこちらの参加希望者も大学関係の組合員が多く、夏休みが都合がよいと判断したからである。

団体交渉の議題は、大阪地裁判決ならびに高裁判決の確定を受けて、パワハラの再発防止、並びに原告側の証人となった、また陳述書を提出した非常勤講師への報復の阻止等になる予定だった。

 

申し入れを撤回!?

しかし、甲南大学のコンプライアンス担当中井 伊都子 氏より、組合員の加入通知書を求められたので、やむなく団体交渉申し入れを撤回した。ユニオン側が送った書面の内容:

2019年7月14日

神戸市東灘区岡本8-9-1

甲南大学副学長

コンプライアンス担当

中井 伊都子 殿

 

 

大阪市福島区鷺洲3丁目9番13号

新世紀ユニオン

執行委員長 ***

 

通知書

2019年7月8日付け貴大学に申し入れました団体交渉は、当ユニオンの組合員であるB先生を原告とする大阪地裁平成28年(ワ)第8478号 損害賠償事件の判決について貴大学は争うことをしませんでしたが、同じく被告の貴大学のK教授は大阪高裁で敗訴し、高裁判決はすでに確定しています。

当ユニオンが貴大学に団体交渉を申入れたのは、このパワハラ事案の再発防止と事案の争議を終結させ、委員長のブログ上の貴大学関連の記事の削除を行うための手続きであり、他意は有りませんでした。当ユニオンは組合員やサポーター組合員が貴大学に何人いるかなどは現時点で公表できません。

したがって貴大学が既に退職している***氏以外に、当ユニオンの加入通知書を求めても現段階では期待に応えられません、つまり労使関係を証明できません。それゆえ、今回の団体交渉申し入れを撤回することとします。

当方は、貴大学の立場上ネット上に甲南大学関連の記事が残る事態はよくないと判断し、団体交渉を申入れたものであり、貴大学が団体交渉を望まないのであれば、決して無理強いするものではありません。

なお、当ユニオンは団体交渉以外の交渉は行わない決まりになっており、したがって団体交渉以外の交渉は致しません、ご了承下さい。なお、この書面への返信は必要ありません。以上