中井伊都子氏(甲南大学長、人権委員会委員)への対応求める、国連人権委員会へ送付した書簡(日本語版)を掲載します。

2つ前の記事の書簡(英語版)に対応する日本語文は以下の通りです:

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国連人権理事会 御 中

結 論

1 国連人権理事会諮問委員会委員(任期2019年10月~2022年9月)としての中井伊都子氏(現甲南大学学長)の委員任命の撤回を要望する。

2 中井伊都子氏の前項の任命について、国連特別報告者による見解表明と勧告の実施を要請する。

国連特別報告者に対する要望

A)自らが学長を務める学内の人権問題にさえ誠実に対応して来なかった中井氏を、国連の諮問委員として任用している理由及びその適格性についての見解を明らかにして下さい。

B)現在、中井氏を学長とする当大学は、今回の事件を検証するための第三者委員会の設置を拒否しています。この設置を求めるとともに、大学が加害者として学生を抗議の自死に至らせたことへの責任を認め、誠実に対応すべきことを中井氏と甲南大学に促してください。

理 由

中井氏の不適切なハラスメント対応によって、2018年10月17日、一人の大学生が自死に追い込まれた。中井氏は、自殺の原因となった重大な人権侵害行為に加担している。

甲南大学が公認する文化会部の課外活動において、被害学生が所属する部の部長を中心とした上級生が、被害学生を活動から排除するため、名誉棄損情報を捏造し吹聴した。

被害学生は、1年生ながら、部活動で統率力を発揮したことによって上級生に嫌われ、半年前の大学の学園祭においてクラブが出店した模擬店の売上金を横領したとの事実無根の疑惑が同クラブに所属する部長らによって、根拠のないまま、大学内外の関係団体にながされた。その結果、被害学生の「強制退部」、更には「入部拒否の要請」が発出され、この大学公認の通知によって、被害学生による横領がなされたとの虚偽の情報が関西一円の学内外に爆発的に広まってしまった。

実際には、横領の事実はなく、最終的には加害学生もこれを認めているにも関わらず、中井氏はハラスメント委員会委員長として「ハラスメント行為はなかった」との判断を行い、加害者学生たちへの処分もなされなかった。被害者学生は中井氏(当時副学長で、現在は学長)を中心とする甲南大学への適切な対応を求め続けたが、甲南大学は、大学のブランドを守ることを優先し、被害者を被害者として扱うこともなく、事件は隠蔽された。

被害者学生は、最終手段として、自身の尊厳を守るための自死を決行した。被害学生は、

「名誉棄損による精神的ダメージ(中略)甲南大学の対応の遅さにより神経が著しく削られ私は自殺します。」と遺書を記し、その被害の記録一式を残している。

当該学生の自死から現在まで、中井氏からの弔意の意思表示・行動は一切皆無である。遺族の告発によって、2020年3月の新聞・TV報道で事件が明るみになったが、取材に際し、中井氏を学長とする甲南大学は「大学の対応には問題は無い」とのコメントを行っており、重大な人権侵害に対する何らの問題意識・反省もない。

中井伊都子氏が国連人権理事会諮問委員に相応しいと言えるのか重大な疑問がある。

2021年8月15日

被害学生の* ****

連絡先:****、*******

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付記

1 当問題は、2021年5月13日、日本の国会(参議院文教科学委員会)において審議されました。審議の内容を資料して添付しました。

また、日本の代表的なメディアの一つである毎日新聞がこの事件をとりあげていますので、参考資料として添付します。なお、日本の主要メディアである朝日新聞、産経新聞でも大きく報道されています。

2 甲南大学とは

兵庫県神戸市に本部をおく日本の私立大学。1951年設置。人文・社会科学と自然科学、いわゆる文系と理系両方の学部を備えた総合大学です(5つのキャンパスをもち、学生数約9000名、教職員数約500名の中規模大学)。

3 中井氏の経歴

中井氏は、本件事件当時、甲南大学のハラスメント委員会の委員長及び副学長の地位にあり、自らの対応により死者を出した当事件から一年も経過していない2019年10月10日に、国連人権理事会(UNHRC)諮問委員に就任しました。就任に際して、この事件に中井氏が関与していることは隠されたままで、中井氏に帯する倫理的な側面に関する事前調査が不十分であったと考えられます。

同時期、今回の事件について、何の検証もせず、死者を出した責任も明らかにしないまま、甲南大学の大学長・理事に就任しています。

今回の学生自死について、甲南大学は、文部科学省や大学が所在している兵庫県に対して、死亡事故報告を行っていません。現在に至っても、被害学生の命の尊さは軽視されたままです。

相手によって、態度や言葉を変える中井伊都子氏に国連人権委員の資格はありません。

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また最近、日本私学連盟が行った「大学の未来へ ー継承と発展ー」と題するオンライン座談会で、中井伊都子氏は次のような発言もしている:

1-4人の痛みを自らの痛みとして知ることができる人間に

植木 さまざまな社会問題を自分事として捉えることの重要性など、田中先生と各務先生のお話は非常につながっていると感じました。中井先生は、国連人権理事会諮問委員会委員を務めるなどのご経験からグローバルリスクを意識する機会も多いかと思いますが、いかがでしょうか。

中井 私は、2020年の4月からこの職に就いており、国際人権法を専門としています。専門の関係で、国連の活動にも一部参加させていただいておりますが、残念ながらコロナ禍で国連の活動はほとんど止まってしまいました。人権、人道問題については危機的な状況を迎えているにも関わらず、意思決定の部分で国連が動けないという残念な状況になってしまっています。私の専門から発言をしたり、学生に伝えたりする際に心掛けているのは、世界で何が起こっているのかを考えるときに、自分と異なる属性や考えを持った人でも、等しく大切だと思える人になってほしいということです。
それを具体的に実践していくことは難しいですが、本学ではさまざまな課題について、すべての学部の学生が混じり合いながら考えることができる基礎共通演習という場を設定しています。また、各専門分野に分かれた後もこれらの問題を自分事として捉え、もっと深く掘り下げたいと考えた時には、どの時点、どの学部からでもプラスアルファで学べるような、より彩り豊かな共通教育の構築を検討しているところです。今地球の裏側で起きていることも自分のことだと、海の中にたくさんのプラスチックがあることは、昨日の自分の行動の帰結なのだと、そういった痛みを感じられるような人間を育成するための仕組みを考えています。

 

3-4これからの社会に向けた大学教育のあり方
中井 人が集う場としての大学の意味も、より一層重要になるのではないかと考えています。多様な人々を受け入れていけるキャンパス、例えば子育て支援や心のケアの場など、多様な役割を探り、実現していけたらと思います。
被害者学生の人権と、人命に何の配慮もないまま、公へは満面の笑顔で理想論を語る。まさに厚顔無恥としか言いようがない。まずは自らが「具体的に実践」、「実現」して欲しいものである。